お城建設から五ヶ月後
「なあ、ジークスヴェルト」
「どうかした、父さん?」
「お前、本気で城を建設するつもりだったんだな」
「えっ? だからそう言ったじゃん」
「いや、本気とは普通思わんだろ!」
城は着々と建設が進んでいる。城本体を建設する前に、色々整備しなければならない事がある。
水道に下水設備、特に城下街の区画整理とやる事は沢山ある。水道は近くの川から水を引く予定だ。ただ、敵に攻められた時を考えたら、井戸水も必要と思い。数カ所掘っている。
現在、城の城壁はほぼ完成した。高さ七メートル、長さ二キロの城壁が完成した。作って思った‥‥万里の長城作った人達、マジ凄すぎ! 大変だったなほんと・・・・俺は何もして無いけど。
「何も無かった所に、いきなり城壁が出来たから、大騒ぎになったんだぞ」
「でも、オットーから報告は聞いてたんでしょ?」
「いや、まあ。報告は確かに受けてはいたが・・・・信じられんだろ普通」
まあ、確かにそうだな。俺だったら、報告して来た奴に、疲れてないかとか、体調でも悪いのかとか聞きそうだ。
「お城建設の話になったから丁度いいや。父さんに頼みがあるんだけど」
「ん? まさか金か!」
「いや、違うから。だいたい、今まで金の無心なんてして無いじゃん」
「確かにそうだが・・父としては、逆にそれが怖いのだが・・・・その内とんでもない願いがあるのではと」
「そんなたいしたお願いじゃ無いよ。城の城壁もほぼ完成したから、お城と城下街の建設に入りたいから、大工さんとか、城の護衛に兵士を借りたいんだけど」
「あぁ、そう言う話か。それなら構わんぞ。兵の手配もしておく。一度、俺も見に行く必要もあるしな」
「いつでも来ていいよ」
☆☆
「だからって、昨日の今日じゃ無くても」
「早く確認したくてな。それにしても・・・・凄いな!」
「でしょっ! 完成予定はまだ先だけどね。所で・・・・何で母さんまで?」
「あら、私が来ちゃいけない?」
「別にいいけどさぁ、あんまり興味無さそうなのに」
「だって、完成したら新しい住居になる訳だし。だったら、私の希望も聞いて欲しいじゃないの」
「あぁ、それが目的ですか」
「一応、完成予定の城の模型、作ってあるけど・・・・見る?」
「えぇ、見せて!」
「用意がいいな。どれ見せてくれ」
「「・・・・・・・・・・・・」」
模型を見た父さんと母さんは、その規模に絶句した。
「えーと、ジークスヴェルト? 本当にコレを作る気なのか?」
「一応、そのつもりだけど・・・・」
「ジークちゃん、ここは何?」
「そこは、晩餐会とかパーティーを開いたりする場所」
「ここは?」
「えーとそこは・・・・お風呂!」
「「・・・・・・・・」」
二人だけではなく、護衛に来た兵士の視線も突き刺さる。
何だよ! 俺の城に何か文句でも!
「ジークスヴェルト、コレはとんでもなく凄いが、金がとんでも無くかかると思うが?」
「ジークちゃん凄いわ! 所で私達の部屋は何処になるの?」
「えーと、ここかな」
「へえー、ここ私達の部屋に!」
気に入ったのか、母さんは偉く興奮していた。逆に父さんは、とんでもない物を作っている事への驚きと、金の心配をしていた。
「一応、今の所タダだよ?」
「しかし、今後はかなり金がかかりそうだぞ!」
「あなた、ジークちゃんがこんなにも素晴らしい物を作っているんですから、そこは親として、協力してあげて下さい」
「しかし、幾ら何でもコレは・・・・」
まあ、そりゃそうだわな。六歳児の工作と言ったら精々積み木で、城を作るぐらいだろう。まさか、石作りの本格城砦を作るとは、夢にも思わんよな。
「まあ、お金は大丈夫だと思うよ」
「何故大丈夫なんだ?」
「既に、城下街の土地を買ってくれた人とかいるから」
「土地を売ってるのか?」
「うん。うちに出入りしてる商人さんが、喜んで買ってくれたけど」
「因みに幾らくらい売れたんだ?」
「えーと、金額にすると・・・・金貨五十枚くらいかな?」
「「そんなに?!」」
「ゴホン! ジーク、子供がそんな大金を持っちゃいけません。お父さんに預けてなさい」
「・・・・・・・・」
「ジークちゃん、お母さん欲しい物があるの。ジークちゃんは優しい子だから、お願い聞いてくれるわよね」
「・・・・・・・・」
ジィーーーーーーー。
「「・・・・・・・・」」
「・・・・今のは冗談だぞ」
「・・・・えぇ、冗談よ」
「・・・・・・・・さて、作業の続きを」
「「ジーク?!」ちゃん?!」
二人は、放って置こう。さて、今日の作業開始!