新造船と出港
「だーかーらー! 荷物をそんな所に積んだら転覆しゃうよ!
トップヘビーになる事も考慮しないと!」
「なんだ? と、とっぷへいびー?」
「トップヘビー! 船の重心が上にある事! 気をつけないと、船がひっくり返るよ」
「成る程、そいつは困るな」
海賊との戦闘から三日後。ロームの船建造のための話し合いが、造船ドッグでおこなわれていた。ドワーフの親方にトップヘビーについて語るのだが、何か要領を得ない。
ドワーフって、そう言うのに拘るじゃ無いの?
ロームは商人だ。だから船は荷物を運ぶ事が前提だ。
荷物をどこに積むか。つまり、貨物室を何処にするかで揉めていた。
「荷物なんてどこでもいいよ」とか思われるかもしれないが。
かなり大事だ。実際、昔の帆船はかなりトップヘビーだ。
荷物を積んだ商船が、世界中の海で沈没してしまった事からよく分かる。
実際にある話しとして、金や銀、或いは他の鉱山資源など、重量のある物を積んだ船は、特に危険だった。
今とは違い。昔の船は、バランスをとるためのバラスト、今は海水を船内に取り入れてやっていた事も。昔は船に、石を積んでバラストの代わりにさしていた。石じゃ正直、バランス取れてたのか疑問だ。
「ロームはどう思う?」
「あぁ。ジークスヴェルト殿の言う通り。トップヘビー? は怖いな。商船はよく、荷物の積み間違いや、積み過ぎでひっくり返るからな。実際、俺も一度ある」
「えっ、そうなの?! あぶなーー」
「あー、危なかった。波がそこまで高くなくて良かったぜ。
近くに別の商船もいたからな。何とか無事だった」
うむ。バランスが大事だな。いっその事、バランス力のある三胴船に・・・・さすがにそれは無理か。
「後、出来れば武装を何とかしたいな」
「なっ! 小僧はバリスタに不満があるのか?」
「ちょっとだけね」
出来れば大砲を積みたい。けど・・・・現時点では無理。
「兎に角、ロームの船はこんな感じでお願いね。親方」
「あぁー。仕方ねぇな。やってやるよ。まかせな!」
「うん。お願いね。あっ、所でローム」
「ん? 何だ?」
「ニューデルンに荷物を運ぶのは、いつ頃になりそう?」
「そうだな。出来れば船の完成を待ちたいが、そんな事も言ってられないだろうからな。うちの商船とアスタリッサの所の商船。その改装はいつ頃終わるんだ?」
「どう、親方?」
「後、二日もかからんわい!」
「さすが親方!」
「褒めても嬉しく無いわい! ドワーフの労い方はしっとろうが?」
「はいはい。後で酒を運ばせるよ」
「がぁーーっはっはっはっ! それでいい!」
「だったら、俺も参加するぞ親方。ジークスヴェルト殿の酒とやらを、飲んでみたい」
ロームも酒好きなの? えーー、酔っ払いが増えた。
ロームとアスタリッサの船は、現在、改装をおこなっている。
改装と言っても、大規模なものでは無く。武装を取り付けたり、
防御力を上げたりの改装だ。対海賊戦闘を考えてのものだ。
これで、ニューデルンに物資を送れる。爺ちゃん達の手助けになる筈だ。
それから、二週間後。二人の商船と、俺の船は旅立った。
ニューデルンに向かって!
「ふうーー! 風が気持ちぃーーー!」
「若様! 危ないからじっと・・・・おぇーー!」
オットーは本当に、船酔いに弱いな。あっ、そうそう。俺も一緒ニューデルンに向かう。俺の軍船、リヴィアサン号と共に!




