進水式
完成した次の日に・・・・と言う事になっていたが、さすがに次の日は、と言う事になり。三日後になった。
「おぉ、なんかお祭り騒ぎになってるな」
多くの人が集まった様子に、ちょっとワクワクしていると。
「ジークスヴェルト、お前の所為だ。こんな物作るから・・・・」
と、父さん言われた。・・・・・ごめんなさい。
「はあーー」と深い溜め息を出すと、父さんは遠くを見るような目で、チラッと横を見た。そこには・・・・。
「おぉーー!! コレがジークスヴェルトが作った船か!!」
「まあ、凄いわ! ジークちゃん!」
「ふん! ジークスヴェルトのわりにやるわね。褒めてあげなくもないわよ!」
父さんの視線の先に居たのは、爺ちゃん、おばあちゃん、そしてレミーシャの三人。叔父さんと、奥さんのアイーシャさんは来て居ない。さすがに、全員で来るは無理だったようだ。
「爺ちゃんとおばあちゃんは兎も角、なんでレミーシャが?」
「悪い?! 来てあげた事に感謝しなさい!!」
何故俺が、感謝せねばならんのか。
「ジークスヴェルト様! お二人をお連れしましたよ」
「あっ、オブロン」
「ジークスヴェルト殿。来たぜ」
「ジークスヴェルト様。ご招待していただき、ありがとうございます」
「ローム、それにアスタリッサ! 来てくれたんだ!」
バルクート領御用商人のオブロンが、ロームとアスタリッサの二人を連れて来てくれたようだ。
「あれ? ロームが正装してる。いつも荒くれ船乗りみたいな格好なのに!」
「悪かったな、荒くれ船乗りで! こう言う場は、普通正装するだろうが!」
「こんな時は、貴族の子息っぽいな」
「うるせぇ」
「ふふふ。では、私はどうですか? ジークスヴェルト様」
「すっごく綺麗だよ。何処かのお姫様みたい」
一応、お世辞を言っておく。言っておくが、嘘ではない。
ドレスを着たアスタリッサは、本当にお姫様のような美しさだった。
「うふふ、お上手ですね。ジークスヴェルト様」
いえいえ、本当に凄くお綺麗です。
「それにしても・・・・これがジークスヴェルト殿が建造した船」
「えぇ。・・・・こんな船、見た事ないわ」
二人は目をまん丸にして、完成した船をマジマジと見ていた。
「うーーん、コイツは凄いな。ジークスヴェルト殿。船の販売はしてないのか?」
「今の所は考えてないけど・・・・頼みを聞いてくれるならいいよ」
「頼み? どんな頼みだ」
「えーとね「ちょっと待て!」
「ん、何? 聞いといて」
「いや、ジークスヴェルト殿の事だから、とんでもない頼みなのではと思ってな」
「んー? 別にたいした頼みじゃないけど」
「・・・・どんな頼みだ?」
「あら、私も気になりますわ。ご一緒に聞いても?」
「別にいいよ。実はね・・・」
「あぁん? 船を動かせる乗組員がいない?」
「まあ!」
俺の話しに、驚く二人。
だって仕方ないじゃん! こんな大きな船、今まで無かったんだから!
「・・・・あーごほん。まあ、仕方ないか。バルクート領には、こんなデカイ船を操れる奴は、いないだろうからな」
「ですわね。小さな漁船ばかりですから」
一瞬、驚き取り乱すが、直ぐに平静に戻る二人。そして、バルクート領の現状を察してくれる。
「あぁー頼みってのも、もしかして・・・・」
「うん。船員を鍛えてほしいんだ」
「成る程、それでロームになんですね」
アスタリッサも納得して、うなづいた。ロームの船は、うちの港に来る船の中で一番大きい。次がアスタリッサの船だ。
「ううん」とロームは悩むように手を顎に当てる。
えっ、もしかしてダメ?
「ダメなの? ダメならアスタリッサに頼むけど・・・・」
「ダメとは言ってねぇ」
「じゃあ何?」
「見返りは?」
「お金なら払うよ?」
「金はいらない。その代わり・・・・」
「その代わり?」
「船を売ってくれ」
「えぇーー! ・・・・いいよ」
「よし! 交渉成立だ!」
「あら、私もその件。加わっても?」
「アスタリッサも? もしかしてアスタリッサ・・・・」
「いえ、私は船にさほど興味はありません。今の船で満足してますから」
「じゃあ、何が?」
一体何を欲してるんだ? 真珠かな? それとも他に何か・・・・。
「そうですね、ジークスヴェルト様に、何か新たなお売り出来る物の、独占交渉件でどうでしょう?」
「えっ、そんなのでいいの?」
「はい。では交渉成立ですね」
「お、おい! ちょっと待て!」
次に俺の取引する物品の、独占交渉件と聞いて、ロームが慌てて割って入ってくる。
「あら、ロームは新造船の売買で、交渉は成立したでしょ?」
「ぐっ、そうだが・・・・。商人として、見すごせない!」
バチバチと、商人魂をぶつけ合う二人。その逞しさには、俺もちょっと引いてしまう。
「でも、新たな取引出来る物と言われてもなぁ・・・・」
特に無いのだが・・・・。
「そんなに急ぎではありませんから、いつでも構いませんよ」
「うーーん。考えとくよ」
「はい」
「ジークスヴェルト殿。独占交渉件は、あくまで取引する物の、交渉に関しての独占件だ。取引物に関してでは無いからな?」
「俺にも融通しろ」と恐らく言ってるのだたろう。横でアスタリッサが「私が全て買い取れば、結果として同じでわ」と微笑んでいた。
商人怖い。にしても・・・・何かあるかな? まあ、それは後で考えるとして、兎に角、船員の訓練を受けてくれた。
ふっふっふ。大海原へ、レッツでゴーだ!!
「若様ー! 進水式を始めますよー!」
「おっと、その前に進水式・・・・って! 俺がスピーチするの?!」
「当然だろ? ジークスヴェルトが作ったんだから」
「えぇー! 何も用意してないよーー! 父さん代わりにやってーーーぇーー!」
「無茶を言うな!!」
結局、俺がスピーチをして式典は終わった。
問題という問題も特には・・・・あっ、一つあったか。
浮かべる際に、酒の入った瓶を船に投げつけるのだが、ドワーフが必死の抵抗をおこなった。
「酒を捨てるとはどういつもりだぁーー!」
「勿体ねぇだろうがぁーー!」
「船に投げるくらいなら、俺になげろー!」
仕方ないので中身を水にして投げつけた。中身の酒は、ドワーフ達にしっかり飲まれた。
まったく、ほんと酒の事となると、面倒な。
「あっ、いい忘れてた。親方、もう一隻作ってくれる?」
「「「「「はぁぁぁぁーー!!!」」」」
「よろしくねぇ」
「「「「「ちょっとまてぇぇーーー!!!」」」」」




