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船の完成と問題


「まさか、たったの三週間ちょいで完成させるとは・・・・」


「さすがはドワーフ。ですね、若様」


「うん」


「お父さんは凄いんです!」


 俺、オットー、ノノンの三人横に並び、完成した船を見上げていた。船の上に親方がいて「どうだ坊主! 見事なもんだろ? がぁーはっはっは!!」と、船の上で高笑いしながらこちらを見下ろしていた。


「凄いよ親方! さすがはドワーフ工房だよ! あっ! そうだ!

 明日は進水式をしよう!」


「そうだろう坊主! がぁーーはっはっは!」


「凄いですけど・・・・やっぱり無礼ですね」


 オットーの呟きを聞いたノノンは「あわわわっ! お父さん! 若様を上から見下ろすなんてダメです!」と親方に注意するが。


「ああん? 気にすんなノノン! がっはっはっは!」と親方は全く気にしていなかった。


 いや、ちょっとは気にしろよ・・・・まあいいか。それより問題がある。とても重大な問題が・・・・。


「どうされました若様?」


 俺の表情を読み取ったオットーが、心配そうに声をかけてくる。


「・・・・いや、ちょっと深刻な問題があってさー」


「深刻な問題? 一体なんでしょうか?」


「分からない? オットー」


「はい」


 まったくピンときてない様子のオットー。

 あれ? そんなに難しい話しではないんだけど?


「どうされましたか? オットーさん、若様」


「うーーん」と考えを巡らすオットーと、問題発生を訴える俺を心配したのか。ノノンが涙目になりながら聞いてくる。


「あーいや、ノノンが心配するような事じゃないから」


「そう、何ですか? でも・・・・」チラッと、オットーと俺を見るノノン。


「ドワーフ達は最高の仕事をしてくれたよ。ただ・・・・」


「「ただ?」」


「船を動かす船員がいない」


「「・・・・えぇーー!!」」


 そうなのだ。こんな大きな船を動かせる乗組員がいないのだ。

 うちの領地には、漁業をおこなう漁師はいる。しかし、漁師の使っている船は小型の船だ。こんな大きな船を、操舵した者などいないのだ。


「どうするのですか若様?! もう、作ってしまったのですよ!」


「まあ、落ち着きなってオットー。ロームやアスタリッサに、船員については頼むつもりではいたし」


「あの、御二方にですか? 良いのですか? これって、かなりの軍事機密では?」


「そうだけど、こんな船を操舵出来る乗組員なんて、あの二人の所以外無いでしょ?」


「・・・・そうですね。御二方の商会は大きい分、扱う商船も大きいですし」


「この船の操船を頼みつつ、こちら船員を鍛えてもらう事も頼むつもりだし・・・・何とかなるでしょ。多分」


「そうだと良いのですが・・・・」


「兎に角、完成したんだから進水式をしないと! 明日しよう!

 父さんや母さん。それに、ロームやアスタリッサも呼ぼう!」

 

「若様はまた、そんな急に決めて・・・・」


 オットーに「お父君のベルハルト様にに叱られますよ」と言われたが、俺の中ではもう、進水式は決定事項だ。やると言ったらやるの!


「あの、それで進水式って、なんですか?」


 首を傾げ、聞き慣れない言葉の意味を尋ねてきたのは、ノノンだった。あれ? 進水式知らないの?


「進水式は、完成した船を、初めて水に浮かべるのを祝う、儀式かな?」


「その様なものがあるんですね」


「私も初めて聞きました若様」


 オットーも知らないのか。もしかして、この世界に進水式ってないのかな? 知らないだけだよね? 親方にも聞いてみよう。


「親方! 明日進水式やるから!」


「あぁん?! 何だぁー、進水式ってのは?!ー


 親方も知らなかった。あれ? 進水式は一般的じゃ無いのかな?

 まあ、いっか。俺の中ではやるって決まってるし。


「船を水に、初めて浮かべる儀式だよ。完成を祝う、宴とでも思って!」


「宴・・・・つまり酒だな!!」


「「「「「酒!!」」」」」


 宴イコール酒。親方の酒と言う言葉に、ドワーフの皆が、目をギラつかせた。


「やるのは明日だからね? 今日はしないから!! もしかしたら明日より先になる可能性も・・・」


「明日だ! 絶対明日にするぞ!! いいな! 坊主!」


「「「「「「おぉーーー! 明日は宴だぁーー!!!」」」」」


「えっ、あっ、うん」どうやら、ドワーフの心に火をつけてしまったらしい。恐らく、アルコール100%で出来たハートだと思う。面倒な事を言ってしまったかなと、少し後悔したが、言ってしまった以上仕方ない。明日、進水式をやろう!


「ロームとアスタリッサに、招待状出さないと」


「若様。それだけじゃ駄目ですよ。ちゃんと、ベルハルト様に連絡をしないと」


「分かってる。ノノンも来てね」


「はい! 是非に!」


 さて、後誰を呼ぼうかな? その前に、父さんに言わないとな。

 叱られかな? ・・・・大丈夫だよね? うん、大丈夫!


 結局の所、父さんに言った結果、ガッツリ叱られた。


「ジークスヴェルト!! ちゃんと報告、連絡、相談しなさいと、あれ程言っただろう!!!」


「ごめんなさい」


 兎に角、明日は進水式だ!


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