軍船建造 その2
「はぁー、はぁー。なんで、ぜぇ、ぜぇ。あの・・短足で、ぜぇ。
なんで・・・あんなに・・・足が速いんだ? はぁー、はぁー」
「さあ? はぁー、はぁー。職人魂とかなんじゃない? ふう、こんなに走るの久しぶりだ」
「若様、ぜぇー、はぁー。以外とタフですね。はぁー、ふうー」
「まあね。ジィと父さんに鍛えられてるからね。にしても・・・・別に走って追いかける事無かったよね?」
俺達の後ろから、遅れて馬車がやって来る。それを、オットーと二人で眺めつつ、何してんだ俺の達? と二人して思うであった。
「若様が走って追いかけるから・・・・」
「いやー、だってさー・・・・なんとなく追いかけないといけない気がして・・・・」
不安からか、それとも好奇心? 或いは・・・・特に何も無いのか。
よく分からないが、後を追わないといけない衝動にかられてしまった。
ドワーフ達を追ってやって来たのは、造船ドックを建築した。領地の最大の川のすぐ側だ。そこまで大きな川と言う訳では無いが、河口近くになると、深さと幅がそれなりにある。ここからなら、それなりに大きな船も浮かべられるし。そのまま海へと出る事も出来る。
「ふう、着いた」
「オットーは、鍛え方が足りないんじゃない?」
「これでも、走り込みもしているですが」
ドワーフ達の工房があったのは、旧クリメラの街。かつての領地の首都的場所だ。その近くに流れる河川の下流に、造船ドックが建設されている。それと俺の作った新たな街は、シン・クリメラと名付けられ、今では首都的扱いになっている。
それから、ドワーフの工房の一部は、シン・クリメラに移っているのだが。多くのドワーフは、旧クリメラに残っている。
なんでも、使い慣れた工房を離れるのが嫌らしい。それに、近くに大きな川がある事も理由らしい。鍛治に、火と水は不可欠だからだそうだ。
「おーーい、何やっとる?! さっさと来い!!」
到着した造船ドックの高台指揮所の上から、ドワーフの親方の叫ぶ声が、ドック内に響く。
「えぇーー! ちょっと休憩させてよー!」
「材料持ってんのは坊主だろうが!! さっさと来いやー!!」
俺、ここの領主の息子なんだけど?
酒と物作りには、手を抜かないのがドワーフだ。もう、船の建造にしか目がいってない。
「あまりに無礼です。若様諌めた方が・・・・」
「色々無理言ってるのはこっちだし。それに・・・・」
「それに?」
「親方達が、畏まった態度でこられると、ちょっとキモイ・・・」
「・・・・確かに」
親方達が、畏まった態度で挨拶した所でも想像したのか、オットーは軽く身震いさせていた。
「おーーい!! 坊主!!」
「はいはーーい! 今行くよーー!」
小走りでドックの中央の、ドワーフ一団が集まっている場所へ向かう。ドワーフの一団に合流すると、高台指揮所から親方が降りきた。
「それで? まずは何からするの?」
「取り敢えず、材料の木材だ。坊主ならたくさんあるだろ?」
「あるよー。じゃあ、真ん中に出せばいい?」
「おう、頼む」
既に加工してある木材を、ドック中央にパッと出す。
すると「おぉ!!」とドワーフ達から声が上がる。
「相変わらず、どうなってんだそりゃあ?!」
「まだまだあるよ?」
「まずは、これだけでいい。逆に邪魔になるからな! よーーし、
おい! 野郎共! やるぞーー!!」
「「「「「おぉーーー!!」」」」
うるさいなぁー。
思わず、耳を塞ぐ程の声がドックに響いた。
「さて、坊主。前に書いた設計図は?」
「ここにあるよ」
「うし、まずは竜骨からだな」
「どのくらいで完成するかな?」
「うーーん、そうだなぁ。早くても一月といった所だな」
「結構早いよね? それ」
「そうか? そんな物だろ。ホレ、坊主達は下がった下がった」
「じゃあお願いねー」
親方に軽く、邪魔と言われたので。職人モードになったドワーフの邪魔にならないよう、隅っこに座って作業の様子を見ていた。
「凄い速さで作業してますね。足場をあんなに早く組み立ててますよ若様」
オットーが「おぉ! 凄い」と漏らす程のスピードで、ドワーフ達の作業はおこなわれていた。
「さすがドワーフ、と言った所だね」
これなら本当に、一月でいけるかも。それと出来れば・・・・大砲積んでみたいよな。まだ無いけど。
搭載予定の武装は、バリスタなどを予定している。大砲を積んでみたい所ではあるが、火薬の作り方なんてしらないし、魔法でどうにかするのも、今のところ無理だ。
「バリスタが限界かな? それと、投石機・・・・投石機は無理か?」
「何をぶつぶつ言ってらっしゃるんです?」
「ちょっと考え事をね」
声に出ちゃってたか。気をつけないと・・・・。
「あの!」
「ほえ?」
突然、声をかけられて、変な返事をしてしまう。声の方をに視線を向けると、一人の少女が・・・・いや、幼女?
「初めまして! ゴルドン・・・・親方の娘のノノンです!」
そう、親方の娘さんなんだー。・・・・ちょい待って、今娘っていった? 親方の娘?! えぇーーーー!!




