お城、それはロマン
「と言う事でオットー! 城を作ろうと思う!」
「はいぃぃぃ?」
何を仰ってるのですか? と言う顔でこちらを見るオットー。まあ、そうなるよね普通。
「ど、ど、どう言う事ですか」
「いや、そのままの意味だよ? 父さんの許可も取ったし」
「城の建設って、許可の問題なのですか?」
「兎に角、許可はもらったから作るの! 場所も決まってるんだぁ〜!」
ふふーんと胸を張るが、オットーはとうとうおかしくなられたかと言う顔をした。
おい、主に何て顔してる!
「兎に角、オットーはつい来ればいいの!」
「はい、・・・・分かりました若様」
「ここに作ろうかと思うんだけど・・・・どう思う?」
屋敷のある街から一時間程歩いた場所に到着した。
「ここですか?」
「そう、ここ!」
俺の選んだ場所は、開けた草原地帯で、比較的平らな地形。その真ん中にはボコっと、標高百メートルちょっとの丘があった。
「あの丘の上に城を作ろうかと思ってるんだ。その周りに城下町を築いて、更に畑を開拓しようかと思ってる!」
「あのぉー、とてつもなく大掛かりな物になるのでは?」
「まあね。数年かけて築城する事になると思う。でも、やる! 何故なら・・・・」
「何故なら?」
「何か格好いいから!」
「・・・・・・・・」
では、早速!「レギオン!」
ザザァーっと、五百人の魔法兵が現れる。
「まずは、整地とかかな? 後、石も必要だね。直ぐ近くに岩山もあるし、そこから石を切り出すか。それでは、作業開始!」
「凄いですね本当に・・・・。更に数も増えてま・・・・あれ? あの魔法兵は初めて見ますが?」
「あぁ、アレは工兵だよ。最近使えるようになったんだ。工兵が居れば城だって建てられる」
「本当に凄いです。目を疑いたくなるくらい凄いですよ」
むっふー、褒めても・・何も出ないんだからね!
とは言いつつ、嬉しい俺・・・・。
「それじゃあ、石を切り出しに行こうか」
「はい! 若様」
オットーと共に岩山へ向かう。石を切り出すのに良さそうな場所を探し、見つけると石の切り出しを始める。
『カン! キィンコン! カン キィンコン!』
魔法兵がハンマーと鉄杭や、ノミを使い削り出していく。
「そう言えば、ありがとうございました」
「何なの急に?」
「若様が開拓した土地の事です。一つを我が家に・・・・ありがとうございます」
「決めたのは父さんだから、別に俺に言わずとも」
「いえ、開拓したのは若様ですから! 私の忠義は若様に捧げます!」
「えーと、ありがとう?」
ここは喜ぶべきなのかな? でも、何か喜べ無い。と言うか小っ恥ずかしい。
「それにしても・・・・石を切り出すの早すぎませんか?」
「そう? 魔法兵もだいぶ強くなったからかな?」
魔法兵がどんどん石を切り出していく。確かに、人間の速さではないか。彼等は人間と違い、疲れない。俺の魔力が続く限り動き続けるし、俺の命令は絶対服従する。
そう言う意味では、最強の兵達ではある。
「切り出した石は、工兵隊が綺麗に整えてね」
工兵隊が俺の命令に動きだす。切り出された石を次々と、ハンマーとノミで長方形にしていく。うーむ、速い。工兵だからか、他の魔法兵より断然速い。二倍以上の速度だ。
「所で、切り出した石はどうやって運ぶのですか? 魔法兵を使うのですか?」
「いや、俺が運ぶよ?」
「無茶ですよそんなの! 一体どれだけの重さがあると・・・・」
「大丈夫だよ。簡単に運べるから」
「?」
俺の言ってる事は嘘では無い。あっ、言っとくけどアイテムボックス持ちとかじゃ無いよ。実は、俺の魔法兵が加工した物は、どうやら魔法兵の一部的な感じにとられるらしく。
開拓で伐採した木も、魔法兵の様に出し入れ可能になっている。何故かは・・・・良く分からん。
魔法兵の切り出した石が、工兵隊によって長方形に形成され、長方形石ブロックが、どんどん積み重なっていく。
「おぉー、どんどんブロックが積み重なってく。この調子でいけば、あっという間に必要な分ができるかも」
「速いですが、さすがにそれは・・・・そもそも、どれくらいの規模を考えているのです?」
「・・・・・・・・でっかく?」
「・・・・・・・・設計図とかは・・・・無いですよね」
「まあ、子供の遊びと考えて欲しいけど」
「子供は遊びで城を建てたりしないかと・・」
それを言われると・・・・何とも言い返せない。
二時間程石の切り出しに頑張った後、城の建設予定地に向かう。魔法兵五百人中、三百人程が、整地を行っている。三百人で作業を進めてはいるが、全体の数百分の一も終わって無い。こりゃあー、相当時間かかるかも。
「まあ、地道に進めて行くしか無いよな」
「ですね。ですが、本気で建てる気なんですね」
「もちのろんよ!」
「あの、何言ってるか分からないです」
俺の考えた、夢の城建設がスタートした。