再び爺ちゃんの元へ
「こんにちはー」
「おう? 坊主か」
投石機の完成から二週間。投石機は順調に作られている。
今日は完成した投石機数台を、受け取りに来たのだ。
「どう? 出来たかな?」
「取り敢えず、十五台は仕上がっとるぞ! まったく、急がせおって! 酒をもっと貰わんな、割に合わんぞ!」
「そう言うと思って、また持って来たよ。オットー」
「は、はぁぁい『ゴトッ』ふう、重かった」
オットーは抱えていた酒樽を下に下ろした。
「おぉぉ! コレじゃコレ! ふおっふぉっ! わかっとるな坊主!」
「それじゃあ、完成品は持って行くね」
「おう! って、どうやって持って行く気だ?」
「どうって、こうやってだけど? 魔法兵、レギオン!」
「うおっ! おったまげたぜ! これが噂のやつか」
目の前に現れた魔法兵に、目をまん丸にして驚くドワーフさん。
目がギャロっとして怖い。
「それじゃあ持ってくねぇー」
「おう、気をつけて運べよ」
「はーーい」
*********
「で? 何する気だジークスヴェルト」
「何って、説明したでしょ?」
「城の強化の為だろ? 説明は聞いていたさ、ちゃんとな。それで、どうするのだと聞いているんだ」
「ギフ城に運ぶんだけど? ちょうど、クロスボウを爺ちゃんの所に持って行くらしいから、ついでにコレも届けて、ギフ城と真珠城を完成させたい」
「アレで完成なんじゃ・・・・」
「まだ完成してないよ? もっと、もーーーっと強くしなきゃ!」
「・・・・はあーー。まあ、好きすると良い。それで、何時出発する気だ?」
「明日」
「ぶほっ! 明日?!」
「うん、早く届けたい。それに・・・・」
「それに?」
「おばあちゃん達がうるさいから」
俺は母さんに目をやる。俺のあげたジュエリーを、母さんはうっとりと見つめていた。
「あぁーうん。頑張れ」
「うん」
母さんから手紙で、宝石をプレゼントされた事を知ったおばあちゃんは、その日うちに、こちらに来ようとしたらしい。さすがにそれを爺ちゃんが止めたみたいだが、それも限界との事。爺ちゃんと叔父さんのためにも、早く向かった方がいい。うん、いいのだ。
「行くなら気をつけて行くんだぞ、ジークスヴェルト」
「分かってる」
次の日、俺はクロスボウと投石機を、荷車と荷馬車で運び、クラメルへ向かった。
「爺ちゃーーーん!」
「おぉーー! ジークスヴェルト!」
祖父と孫の、感動の再会!
「ジーークちゃーーん! 待ってたわよーー!!」『ガシッ!!』
祖母に阻まれた。
「お、おばあちゃん、苦しい」
「あら、ごめんなさい。待ちどうしくてつい・・・・」
「ジークスヴェルト、良く来たな。兄さん達は元気か?」
「うん、みんな元気だよ。そうだ! これ、クロスボウね」
「クロスボウか・・・・話には聞いているぞ」
「ジークスヴェルトが開発したらしいな。どれ、見せてくれ」
「あなた! そんな物より、ジークちゃんを部屋に案内するのが先よ! ジークちゃんは疲れてるのよ」
「おぉ、すまぬ。こちらだジークスヴェルト」
「うん! ・・・・ん? そう言えば、アイーシャさんと、レミーシャは?」
「二人は今、真珠城に居るぞ」
答えてくれたのは叔父さんだった。
「ん? 翡翠取り?」
「いや、あちらに移る準備も兼ねて、先に移ったんだ」
「ふーーん、爺ちゃんやばあちゃん、叔父さんは何時引っ越すの?」
「今月中にも引っ越す予定だ」
「へぇー、じゃあ、完成を急がないとね」
「ん? ジークスヴェルトよ。真珠城もギフ城も、完成しとるだろ?」
「爺ちゃん。完成度はまだ、八割くらいだよ。ギフ城は、今回持って来た投石機を配備する事で、やっと完成かな? 真珠城は、外観を白く塗り終わってないから」
「ジークスヴェルトはこだわり派じゃの。投石機とやらは、何台配備すのだ?」
「うーんと、ギフ城に十台、真珠城にも五台配備する予定かな」
「「ほう」」
投石機について、興味深々の二人は、ソワソワしながら話を聞いていた。そんな二人を、溜め息混じりにおばあちゃんが見ていた。
「貴方達、兎に角屋敷に入るわよ」
「「は、はい」」
「ほら、ジークちゃん」
「うん」
おばあちゃんに連れられ、屋敷へと入る。
うーーん、なんか足りない。あのツンツンが居ないからか?
ジークスヴェルトがクラメルに到着した頃、真珠城では・・・・。
「レミーシャ、ジーク君がクラメルに来たそうよ」
「ジークスヴェルトが? ・・・・な、何しに来やがったのかしら」
「ふふふっ、レミーシャ、嬉しそうね」
「べ、別に! 嬉しく無いわ!」
「うふふふ」レミーシャったら、本当に分かり易いわね。ジーク君の事が、本当に好きなのね。うふふ。
「嬉しく無いわ!」 ・・・・ちょっとは嬉しいかも、しれなくもないかも。
「はぁーーっくしょん!! うー、ずずーー!」
「あら、ジークちゃん? 大丈夫?」
「うん、大丈夫」誰か噂してんのかな? まあ、いいか。さて、明日はギフ城に行って、投石機を設置しないとな。




