クロスボウ部隊の設立
「今日は天気も良くて、訓練には良い日だね」
「そうですね若様。所で、今日は屯田兵の初日の訓練ですが。一体どんな訓練を?」
「ふふふっ、今日の為に準備しておいたのだ! この、クロスボウを!」
ジャジャーンと、効果音がしそうな動きで。木箱に入った、大量のクロスボウをオットーに見せる。
「何ですかコレ? クロスボウとは一体・・・・」
「まあ、見てて。よいしょっと・・・・」
「若様? 一体何を・・・・」
「いいから、いいから! 兎に角、見てて! あそこの人型模型を狙うよ」
「ん?」
『カチ、シュバァーーン! シューーーードスッ!!』
「あれ? 外しちゃった。うーーん、結構難しいな」
「「「「「「おぉーー!!」」」」」」
見ていた者達から歓声が挙がった。矢は的を外れたが、八十メートル以上先まで飛んだからだ。
「若様、コレは一体! 簡単にこれほどの距離を!」
「ふっ、ふっ、ふっふ! 凄いでしょ。ドワーフのおっちゃん達に頼んで、作ってもらったんだ」
このクロスボウは、ドワーフに頼んで作ってもらった。こんな感じにと頼んでみたら、あっさりと作ってしまった。さすがは、ファンタジー世界の名職人である。ただ、問題もあった。当初、作ってもらったクロスボウの張力が強すぎて、矢をセットするのが大変だったのだ。力もちの、ドワーフ基準で作られた為だ。
「人間はひ弱だなぁー」と言われ、ちょっとカチンと来たけど。
作ってくれてたので、文句は言えず。しかし、コレだと困る。
次射に時間がかかり過ぎるからだ。なら、クロスボウの張力を弱めれば、とも思ったが。それだと威力と射程が落ちる。考えに考えた結果。張力の強弱を、簡単に調節出来るようにすればいい、と考えた訳だ。調節装置を回さす事で、簡単に張力を弱めて矢を設置でき。撃つ際は、張力を強くして威力と射程を上げて放つ!
これなら、次射にかかる時間が極端に短く出来た。
「こんな物まで、さすがは若様!」
「作ったのは、ドワーフ達だけどね。兎に角、訓練を開始しようか」
「はい。よし皆の者! 並んでクロスボウを受け取れ!」
取り敢えず、今日用意した百個のクロスボウで、訓練がおこなわれた。今日訓練に参加した人は、初日とあって、屯田兵に志願した全員だった。なので、順番に交代して訓練に励んでもらった。
*****
「あー、ジークスヴェルト。オットーから聞いたんだが・・・・お前、とんでもない兵器を作ったらしいな?」
「とんでもない兵器? あぁ、もしかしてクロスボウのこと?」
「そうそれだ」
訓練から数日後、何故か父さんに廊下で呼び止められ。部屋に来るよう言われた。何かと思えば、クロスボウの事だった。
「クロスボウの事がどうかした?」
「どうかしたじゃない! あんな物作ってどうする気だ? 戦争でもする気か?!」
「そんな気は、さらさら無いげど? 単に、備えあれば憂い無しって言うじゃん?」
「初めて聞いたが・・・・まあ、お前の考えは分かった。それで相談何だが・・・・」
「何?」
「あれを、ギフ城に常備したい」
「えっ、まさか戦争?」
「いや、今の所は大丈夫だ。しかし、隣りのテンネイスは大変な事になりつつあるからな。念の為だ」
「別にいいけどさ。ギフ城には、別の物を置く予定なんだけど?」
「なんだと! まさかクロスボウ以外にも?」
「まだ、開発中だけどね。でも、早めに完成させるつもりだよ」
「うむ、そうか。兎に角、クロスボウのことは頼めるか?」
「ドワーフさん次第なんだけど・・・・まあ、明日にでも様子を見に行くよ」
「頼む」
こうして、バルクルート領は増強されていく。後に、死のクロスボウ部隊として恐れられていく事を、ジークスヴェルトはまだ知らない。
「うーん、ギフ城にはクロスボウより。カタパルト・・・・投石機を設置したいんだよね」
そしてギフ城は、難攻不落の城として、ナインテイルに知れわたる事になる。




