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屯田兵


「今日も暑いねぇ。夏も近いと言うか、もう夏だよね」


「そうですね若様」


「ほんと暑いぜ。にしてもこの釣り竿、凄いなジーク」


「だろ? カルなら気にいると思ったよ」


「・・・・カル、言っておくが」


「他の人前ではちゃんとしろだろ? 分かってるよ、オットーの兄ちゃん」


「でも、カルからジークスヴェルト様とか呼ばれるのは・・・・正直気持ち悪いな」


「ほら、ジークもこう言ってるじゃん」


「若様・・・・」


「まあまあ、オットー」


「ですが、カルは少し気をつけた方がいいわよ」


「レメーネの言う通りよ。ジーク様に失礼」


「まあまあ、レメーネもアイサもその辺で」


「もう、ジーク様がそんなだから。カルが調子に乗るんですよ」


「そうかもしれないけど。友達なんだから、遊んでる時ぐらいはいいじゃん」


「ジーク様がそう仰るなら・・・・」


「レメーネもジーク様に甘いんだから。分かったわ」


「じゃあ、そう言う事で・・・」


「おーーい、ジーーーク! 釣れたぞーー!」


「・・・・ジーク様と呼べー!」


「何だ? 急に」


「若様、悔しいからって」


 くっ、何故だ。何故俺だけ釣れない!


「あっ、釣れましたジーク様」


「こっちも釣れたわ!」


「何故俺だけ」


「若様は殺気が出ているのでは? それか、相手を思いやる心が足りないとか」


 思いやりなら持ってるぞ! しかし、釣れなくてイラッとしてしまった自分に反省。心頭滅却するのだ! 精神統一! ふう!


 ピクピク! はっ! 来た! 釣れ・・・・ちっさい。


「ソイツは逃す大きさだな」


「リリースでしたっけ? 若様」


 初夏の川、俺だけ釣れない、るーるーるー(涙)字余り。


 季節は初夏となり、暑い日が続いている。俺は最近、釣りばっかりしている。偶には、子供らしく遊びたい。まあ、そんなに長くは遊んで入れなかったけど。その理由は・・・・。


「今日集まってもらったのは他でもない。諸君らには、屯田兵になってもらいたい!」


「「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」」


 壇上から大勢の前で、演説ぶってみたのだが。どうやら、スベったみたいだ。恥ずかしい!


「あの、若様。難民の男性や、村の男達を集めて、何を言うのかと思えば・・・・何ですか、屯田兵って?」


「簡単言っちゃえば兵士だよ。ただ、普段は田畑を耕して生活してもらうけどね」


「えーと、つまり・・・・どう言う事です?」


「普段は農業をしてもらって、いざ戦争となったら、戦ってもらう人達の事」


「んんー、何となく分かりましたが。しかし、何故急に?」


「オットー、別に急じゃないよ? 父さんには、だいぶ前に許可はもらってるから」


「それなら・・・・いいのですが」


「と言う事で、志願する人はいますかー!」


「「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」」


 反応無し。


「何でだろ?」


「それはそうですよ。いきなり集められて、兵士になれでは・・」


「そうなの?」


「訓練だってありますから、皆嫌がりますよ」


「うーーん、そうかー。訓練には、ご飯も出すし。なんなら給料も払うのになー」


 俺のその言葉に、集まったみんなは目の色を変えた。

 


 そして「「「「「はいはいはいはい!!」」」」こうなった。


 給料を支払うと言った途端。みんなが争う様に、いっせいに手を挙げた。


「はいはい、落ち着いてねー」


「あの、給料が出るって本当だべか?」「訓練はきついのかな?」

「畑仕事があるからなー」「食い物はどんだけも貰えるだ?」

「食事の配給は家族の分も貰えるのですか?」「給料は幾ら貰えっぺ?」


「皆落ち着けー! 落ち着いて若様の話しを聞くんだ!」


 しーーーーーーーん。


「ゴホン、えーと・・・・まず給料についてだけど。給料は、年に銀貨二十枚は払うから。訓練に参加した人に提供する食事は、欲しい人は家族に出すよ。出来る限りで。それと、訓練の日取りは、暇な時に参加でいいよ。とまあ、こんな感じかな?」


「「「「「銀貨三十枚・・・・」」」」」


「大体こんなだけど、どうかな? あっ、言っておくけど。いざと言う時はちゃんと戦ってもらうからね。だから、覚悟を持って志願するように」


「あの、質問よろしいですか?」


 痩せ細った男性が、前に出てきてた。うちの領地の者では無い。

 恐らく、難民として来た人だ。


「はい、何ですか?」


「ジークスヴェルト様は、私達難民の為に、色々手を尽くされたお聞きしています。それには、とても感謝しております。ですが・・戦争が嫌で逃げて来た我々には・・・・」


 難民として来た人達は、戦争の悲惨な現実を見て来た。故に。戦う事に忌避感があるようだ。


「・・言っておくけど、強制じゃないからね。あくまで志願だから。やりたく無いなら、断ってもいいからね」


「ジークスヴェルト様・・・・」


「あくまで、いざって時に備える為だから。正式な兵士は兵士で、募集もしてるし」


「はいはーーい」


 一人の若者が人集りの中で、ジャンプしながら手を挙げた。


「はい、そこの君!」


「訓練てのは、どんな事をするんだ?」


「おい、貴様! 若様に失礼だぞ!」


「オットー、いいから。えーと、訓練? そんな厳しい訓練ではないと思うけど・・・人によるかな?」


「俺もいいでしょうか?」


「はい、そこのおじさん!」


「・・・・そもそも屯田兵って何ですか?」


 また、オットーにした説明をするのか。


「えっとー、普段は田畑を耕すなり、他の仕事をしてもらって。いざ戦争となったら、兵士として戦ってもらう人の事だよ。それが屯田兵、分かってもらえたかな?」


「はい、何となくは・・・・つまり、普段は普通に生活していていいと言う事ですね」


「そう言う事。たまに訓練には、参加してはもらうけどね」


「なら志願します!」「俺も!」「俺だってやるぞ!」

「わしもじゃ!」「おらもやるだ!」「おいらもだ!」


「はいはーーい! みんな順番にね」


 その日、屯田兵に志願した者は、三百人を超えた。

 思った以上に集まって、少し驚いた。


 さて次は、彼等をどう訓練させるかだ。

 勿論、計画は練ってある。ふっ、ふっ、ふっ。


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