注文以上の取り引き
「さてさて・・・・ふむふむ。うん! 頼んだ量より多くない?」
「思ったより、安く済んでな。おかげで取り分は増えたが・・・」
「でも、頼んだ量の二倍近いけど?」
「セブンツェーリが豊作だったのです。ジークスヴェルト様」
「あぁ、そう言う事ね」
今日は、買いつけた作物の受け取りに来ている。だが、頼んだ量の二倍近い作物が、倉庫に積み上げられているのだ。
「オブロン、セブンツェーリって確か・・・・」
「はい、デルグランド大陸の食糧庫と呼ばれていますね」
「豊作だったとしてもさ、これ足りたの?」
「代金か? あぁ、充分過ぎるくらいな。真珠を売った金の六割ってとこだな」
「えっ、そんなに安くで? かなり豊作だったんだなぁ」
「うふふ。えぇ、ジークスヴェルト様。豊作過ぎて値崩れを起こすくらいに」
「うへー」
セブンツェーリの人達は、たまったもんじゃないだろうな。
何故ならセブンツェーリは、農産物で生計を立てている。ナインテイルと違って、山が少なく平野が多い。畑を作るには的した土地がらだ。鉱物資源は少なく、産業も少ない。やる事は農業しかない土地なのだ。なのに、豊作過ぎて値崩れ何て、最悪にも程がある。
まあ、おかげでこっちは助かるけど。
「さて、今回の取り引きはこれで問題ないな。ジークスヴェルト殿」
「はい、勿論です」
「ジークスヴェルト様、また真珠を融通してもらえません?」
「おい、アスタリッサ! 狡いぞ自分だけ!」
「早い者勝ちよ、ローム」
「真珠ですか? 別にいいんですけど・・・・実はまた、頼みたい事があるんです」
「「何です?」」
「実は、ミスリルが欲しくて・・・・」
「ミスリルだって?」
「ミスリル・・・・聖銀をですか?」
「何とか手に入らないかな?」
俺が二人に聞くと、うーんと唸る。やっぱり難しいのかな?
うん、貴重だって聞くからな。
「でしたら、ロームが適任かしら」
「ロームさんが?」
「はい、ジークスヴェルト様。何せロームは、ミスリルの鉱山がある。フィフスラークの、ダルツブルク家の三男ですから」
「えっ、貴族なの?!」
「余計な事を・・・・」
ロームは不機嫌そうに、チラッとアスタリッサを睨んだ。しかしアスタリッサは「うふふ」と不敵に笑っていた。
「はあー・・・・正確には違うがな。まあ、その話しはいい。確かに、ダウツブルク領にはミスリル鉱山があるが・・・・取れる量は少ない。それに、取り引きは一部の商人が独占してるからなぁー。残念ながら無理だろうな」
「そんなぁー」
「・・・・そう言う、スリーヘッズの大商会。金色の雨の娘なら、何とかなるんじゃないか?」
「金色の雨?」
「何と! アスタリッサ殿は金色の雨の?!」
オブロンが驚き声をあげた。何でも、デルグランド大陸で、五本の指に入る大商会らしい。
「うふふ。あの商会は、あくまで父上の商会です。私とは関係ありません」
「そうかい」
訳有りなのかな? まあ、どちらも訳有りだけど。うーん、ダメっぽいのかな。ちょっとでいいから欲しい。触る事が出来れば、後は自分で作れるしな。
「やっぱり無理なのかな?」
「いや、アテがない事もないな」
「えぇ、そうですね」
「うん? どう言う事?」
「「アルパヤだ」よ」
「アルパカ?」
「アルパヤです。ジークスヴェルト様。なるほど、確かにアルパヤなら」
「ちょ、ちょっとオブロン! ひとりで納得してないで説明!」
「申し訳ありません、ジークスヴェルト様。アルパヤはとある島に作られた、港湾都市です。世界中から取り引きの為、たくさんの商船が集まる場所です」
「へぇー、そんな所があるのか」
「因みにだが、ジークスヴェルト殿の真珠も、そこで現金にした」
「直ぐに売れましたわね」
「二人共そこで売ったの?」
「おう」「はい」
アルパヤか。どんな所何だろ?
「兎に角、そこならミスリルも手に入りそう?」
「可能性はあるな」
「世界中から品物が集まりますのから。希少な金属をはじめ、他にも色々と・・・・ジークスヴェルト様の真珠も、宝石商が高く買い取ってくれましたわ」
宝石商・・・・宝石かぁー。触れば宝石が・・・・ふむ。翡翠も作れるようになったし。ダイヤにサファイア、ルビーにエメラルド。母さん達が卒倒するなきっと。
「ミスリルはロームに任すよ」
「ん? 俺にか? まあ、かまわねぇが」
「あら、ジークスヴェルト様? 私はお払い箱ですか?」
「いえ、アスタリッサには宝石を手に入れて欲しい。出来れば、数種類」
「宝石を?」
「うん。大きくなくていいから。種類重視でお願い」
「・・・・種類ですか。分かりました」
「じゃあ代金は前と同じで・・・・オットー」
「はい。ジークスヴェルト様」
「オットー」
「はい?」
「今日、影が薄いね」
「それ、今言う必要あります?」
「いや、今言わないといけない気がして・・・・まあいいや。袋頂戴」
「・・・・はい。どうぞこちらを」
オットー、今日全然喋らないから・・・・影が薄いよ。影の薄いオットーから、真珠の入った袋を受け取る。前のと同じじゃ足りないかな? 今回はアレも使うか。
「それじゃあ、前の真珠と同じ奴と。今回はコレも」
「こ、こいつは!」
「まあ!」
小箱に納められた、ゴルフボールくらいの真珠二つを、二人に見せた。二人は驚き、目を見開いた。
「ぽんぽん、国宝級を出すな!」
「ジークスヴェルト様、全ての種類の宝石を買えと?!」
「えっ、そんなに? じゃあ、コレは無しにしと・・」
「ちょっと待て」
「えぇ、お待ちになって」
「えっ、ダメなんじゃ無いの?」
「ダメとは言ってねぇ。ミスリル買うには必要だろう」
「ミスリルより凄い物ですけど」
「じゃあお願いね」
「おう、任せておけ」
「はい、お任せ下さい」
ミスリルかぁー、早くミスリルの剣とか作ってみたいな。宝石も母さん達が喜ぶだろうし。いや、狂喜乱舞するかな?
兎に角、難民の食糧問題はこれで解決出来るな。次は・・・・アレを実行すか。




