商談
「ジークスヴェルト様、こちらがフィフスラークの商人、青き海原商会のローム殿。そして、こちらがスリーヘッズの商人、白い海鳥商会のアスタリッサ殿です」
「どうも、よろしくお願いします」
オブロンに、フィフスラークとスリーヘッズの商人を紹介してもらっている。ロームさんは男性で、その姿は船乗りって感じだ。正直、海賊と言われても頷ける。もうひとりのアスタリッサさんは、妖艶な美女で、右手に扇子のような物を持ち、口元を隠していた。
「あぁん? オブロンさんよー、あんたが紹介したいと言うのは、このガキか? あぁん」
うん・・・・怖い。やからかよこの人。
「あら、ロームさん? お嫌ならお帰りなられたら? お話しは私がお聞きしますから」
「別にそんな事言ってねぇーだろうが! あぁん」
「まあまあ、お二人共。兎に角、ジークスヴェルト様のお話しを聞いて下さい」
「・・・・なら早くな。忙しいんだこっちは」
「さて、どのよう要件でしょうか?」
二人と、オブロンが、こっちをジッと見てくる。その空気に、少し唾をゴクリと飲んでしまう。
・・・・何かちょっと緊張するな。一方は怖い人で、もう一方は美女。よし、やったる!
「えーと、今回はお時間を作っていただき、ありがとうございます。では早速ですが、商談のお話しをさせていただきます。お願いしたいのは、作物を買いたいのです」
「「・・・・・・・・」」
あれ? 何か間違えたかな? 二人は沈黙し、目をまん丸にしていた。
「おい、ガキん・・・・いや、ジークスヴェルト殿。お前さん・・・・本当に子供か?」
「・・・・ジークスヴェルト様。実は[小人属]ハーフフットだっりしませんか?」
「いえ、普通の人間の両親の元に産まれた、普通の子供です」
「そんな返しする時点で、普通じゃねえよ」
「うふふ、ジークスヴェルト様は、大変利発な方ようですね」
「お二人のお気持ち、良く分かりますよ。ジークスヴェルト様は、常識では測れないお方ですから」
オブロン、それはどう言う・・・・まあいいや。兎に角、商談だよ! 商談!
「それで、どうですか?」
「作物については・・・・別に問題ねぇな」
「はい、私の方も特に問題はありませんわ。それで、取り引きする量はいかほどですか?」
「そうですねぇ・・・・大体三千人が、一年は食べていける量が欲しいです」
「ほう・・・・それは難民を想定してか?」
さすがに知られてるか。さすが商人、情報は常に仕入れてるよな。商機にも繋がるし、情報によっては、店が潰れる事だってあるだろうし。
「まあ、そんな所です」
「・・・・ジークスヴェルト様? 商談は了解しましたが、お金はきちん払えますの?」
「はい、勿論です。ただ・・・・」
「「ただ?」」
「出来れば、お金以外で支払いたいのですが?」
そう言った途端、二人の眉がピクッとした。お金以外、そこに反応したように思える。
「ほう、金を払わないと? じゃあ、一体何で払う気だ?」
「ジークスヴェルト様、物々交換と言う事ですの?」
「はい。あの、安心して下さい。ちゃんと価値ある物ですから。
オットー、預けてた袋」
「はい、若様。どうぞ」
オットーから皮袋を受け取り、その中から、手の平サイズの小さい皮袋を取り出す。縛ってある袋の紐を緩め、中に入っている物を、少しだけ机の上に転がした。
「こ、こいつは!」
「まあーー!」
二人は中身に驚き。ロームさんは立ち上がって、机の上に転がっている物を確認し。アスタリッサさんは、扇子で口元を隠すのを忘れる程に、机の上にある物を見つめていた。机の上に転がっていた物それは、真珠であった。比較的小粒の物ではあるが、少し歪んだ丸をした真珠が、机の上に二十個は転がっでいた。
「これで支払いたいのですが」
「こいつでか!」
「・・・・ジークスヴェルト様、手に取って見ても?」
「はい、構いませんよ」
「お、俺もいいか?」
「はい」
二人は、恐る恐る真珠を手に取る。ロームさんは、手に取った真珠を、上から下から横からと。あらゆる角度から見ていた。アスタリッサさんは、ルーペのような物を取り出し、それでじっくり確認するように見ていた。
数分、真珠を確認していた二人は、真珠を机に戻し、沈黙したまま椅子に座り。何か考えこんでいた。
「・・・・本物に間違いない様ですね。ジークスヴェルト様・・」
最初に口を開いたのは、アスタリッサさんだった。
「なら、取り引きは問題ないですよね? アスタリッサさん」
「・・・・アスタリッサで構いません、ジークスヴェルト様。
・・・・一つお伺いしても?」
「何ですか?」
「何処でこれほどの真珠を手に入れたのですか?」
「そ、そうだ! 何処で手にいれた!」
アスタリッサの質問に、ロームさんも加わる。あまりに勢いよく、ロームさんが立ち上がったので。オットーが反応して、剣に手を置いた。
「オットー、大丈夫だよ」
「しかし、若様に対して、あまりに無礼かと」
「大丈夫、大丈夫。ロームさんは、顔が怖いから迫力があるけど。
子供をどうこうするような人じゃないよ。多分」
「顔が怖いは余計だ。・・・・すまん、少し熱くなり過ぎた。こんな物見せられたらな」
「オットー」
「はい」
オットーに座るよう言い、話しを続ける。
「ロームさんのお眼鏡に叶ったかな?」
「ロームでいいよ。・・・・あぁ、勿論だ。こんないい物はそうそう出会えねぇ。それで、何処で手に入れた?」
「それは・・・・」
「「それは?」」
「ひ・み・つ!」
「「・・・・・・・・」」
「そんな顔しないでよ。それで、どうするの?」
「・・・・決まってるだろうが。いいぜ」
「私も問題ありません」
「じゃあ、商談成立だね」
椅子から立ち上がり、机の前へ。二人も立ち上がり俺の元にやって来る。
「よろしく」
「あぁ、こちらこそ」
「うふふ、よろしくお願いします」
商談成立! これで、難民の食料問題解決に、目処が立つな。
あっ、そうだ。
「前金にいるよね? オットー、袋取って」
「はい、若様」
「これで足りるかな?」
袋から、真珠が三十個入った小袋を一つずつ二人に渡す。二人はその行動に「「えっ?!」」と驚いていた。
「おい、ジークスヴェルト殿」
「あの、ジークスヴェルト様」
「ん? どうかした?」
「どうかしたじゃねぇー。前金には多すぎだ! この小袋一つで、頼まれた品物の代金には十分過ぎる!」
「ジークスヴェルト様。逆に、そうホイホイ出されても困ります。
こちらは、買い取りとさせて頂きます」
「おう、俺もだ。おい、金持ってこい」
「誰か、私の資金をここに」
二人は、自分の商会の人達に、お金を持って来るように命じた。
俺の目の前に、金貨と銀貨の入った、袋の山が出来た。
「おぉー、真珠ってこんなに価値が・・・・」
「あの、ジークスヴェルト様。是非わたくしオブロンの、苔むす岩商会にも、真珠を卸して欲しいのですが?」
「えーと、オブロンに今回の取り引き関連を頼むから。上手くいったら考える」
「分かりました! このオブロン、全力であたらせてもらいます!」
「うん、お願い」
さて、取り敢えずこれでいいかな。それにしても、真珠が中々の値段になったな。この世界の市場の物価、ちゃんと知らないといけないな。勉強するか。




