港の市場
「うーーみだーーーー!!」
「あの、若様。・・・・何やってるんです?」
馬車の小窓から見える海に、ちょっと興奮しております。
「オットー君。海を見たら叫びたくなるものだろう?」
「なりませんよ別に。と言うか、何ですかオットー君て!」
「ふぉっ、ふぉっ。ジークスヴェルト様は、面白い方ですな」
「オブロン、今日はよろしくね」
「はい。ジークスヴェルト様のおかげで、商人達も潤っておりますからな。微力ながら、力を尽くさせてもらいます」
「頼むね」
「はい、畏まりました」
「それじゃあ港へゴーーー!」
「少し落ち着いて下さい。若様」
*****
「随分と賑やかですね若様」
「うん。港を建設してから、来て無かったけど。こんなになってるなんて・・・・」
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ! 港が完成したての頃は、150人と居ませんでしたからなぁー。今ではその5倍は居ますよ。大半が、商いを生業とした者達で、残りは漁師等ですねぇ」
「へぇーー。あれ? そんなにたくさんの商人て、うちの領地にいたっけ?」
「はい。バルクルート領の商人は、三割といません。大半が別の領地から来た商人です」
「だよね」一万人も居無いバルクルート領じゃね。それにしても、他所の商人が来てるのか。何でだ?
「ねえ、オブロン。他所の領地の商人が、何でこの港に?」
「それは勿論。これほどの港は、そうそうありませんから」
そう言う事か。つまり・・・・おれが頑張り過ぎたと。
「若様、良いのでしょうか? 他領の商人に港を使わせるなんて」
「別にいいんじゃない? 今の所はね。バルクルートと領で取引きする以上、関税を取られるからウチは儲かるし。でも・・・・」
「でも?」
「ここを狙って、戦争を仕掛けて来るやつとかいるかもねって事」
「となると、北ですか?」
「さあ、それは分からないけど。・・・・うーん、やっぱり計画を早めようかな? 予想を超えて、港が発展しちゃってるし」
「わ、若様? 何をブツブツと仰ってるんです?」
「こっちの話しだよ。オブロン、取り引き所みたいな所ってあるの?」
「はい、ございます。こちらです」
オブロンに案内され、大きな倉庫のような場所へ。
中に入ると・・・・そこはまさに「市場だな」
そこら中で、取り引きの声が飛び交い。麦などの穀物から、鉄製品や装飾品など、多岐に渡る取り引きがなされていた。
「活気に溢れてるなぁーー」
「はい。ですが今日は、まだ静かな方ですよ」
「えっ、これで?」
「はい。今日は、フィフスラークとスリーヘッズの商船しか入ってないですから」
「フィフスラーク地方とスリーヘッズ地方の商船かぁー」
二つ共、海に面している所で、ナインテイルより大きく、しかも人口も多い。ナインテイル地方だと、16の領主、領地があり。全ての人口を合わせても、三十万人以下だ。それに比べて、フィフスラークとスリーヘッズは、軽く五十万人はいるらしい。人口の違いは、発展度の違いにもなってくる。うちは、まだまだど田舎だ。
「それで、ジークスヴェルト様はどう言った取り引きに?」
「うん。食料を買いにね。オブロンも、最近の情勢は耳に入ってるでしょ?」
「それは勿論ですはい」
「押し寄せる難民の食料確保しないと」
「あの、若様。難民の為に、そこまでする必要はあるのですか?」
「勿論あるよ。オットー、この領地を発展させる為には、さらに人が必要だ。だから、今押し寄せて来ている難民は、逆にチャンスなんだ」
「チャンスですか?」
「うん。人口何て、そうそう、増えるもんでも無いからね。来てくれるって言うなら、逆にありがたいよ。ただ・・・・」
「ただ?」
「多すぎだと問題だけどね。うちの領地の許容を、超えちゃうから」
「・・・・さすが若様。そこまでお考えに」
「ジークスヴェルト様は、本当に七歳なのですか?」
「見た目通りの子供だけど?」
「「・・・・・・・・」」
二人は何とも言えない顔をしていた。特にオブロンさんは、驚きのあまり、固まっていた。
「ほら、買い付けに行くよ」
「「は、はい」」
さて、安く買えるかな? そうだ、ついでにひと稼ぎしようかな?




