難民対策
テンネイスから押し寄せている難民について「どうにかしなければ」そう思って、オットーと共に、とある所に向かっていた。
「・・・・五、六百人はいるかな?」
「そうですね。続々と来ているようですから」
やって来たのは、難民キャンプ場だ。春とは言え、まだ冷える。しかし、難民キャンプには、簡素なテントしかない。テントすら無い人もいる。ニュースでもよく目にする、悲惨な現状だ。
何とかしなければならない。近くに、彼等が住める場所を建設するべきかな?
「おや? ジークスヴェルト様?」
「ん?」
うーん、と頭を捻っていると、名前を呼ばれた。誰だ?
「ジークスヴェルト様、何故ここに?」
「えっと、確かレメーネの・・・・」
「はい。レメーネの父の、ライネルです。ライネル・サー・スタルツです」
「そう、ライネル。あれ? ライネルこそ何でここに?」
「私は、テンネイスの出身ですから。難民の対処を仰せつかりました。今日は、難民を順次、ジークスヴェルト様が開拓された土地に、受け入れを行う為の選別に来たのです」
「足りそう?」
「正直、ここの難民だけで一杯になるかと」
「やっぱり、そうなんだ」
うーむ、開拓地を増やすべきか。いや、その前に難民キャンプ場の施設の拡充を図るべきかな?
「ねえ、ライネル」
「はい」
「近くに難民達ようの施設を建設していいかな?」
「難民用の施設ですか?」
「うん。これからまだ増えるだろうし。それに、ここの環境はあまり良く無いからね。屋根のある建物があった方がいいと思う」
「そうかも知れませんが・・・・私の一存では何とも。御領主の許可が必要かと」
「うーん、父さんには後で伝えておけばいいかな?」
「若様。それ、後で俺が叱られませんか?」
「主の為に叱られるのも、臣下の務めだと思う」
「いえ、それを務めにしないで下さい。それに、若様も怒られるのでは?」
それはそうかもな。でも、別に悪い事する訳じゃ無いし。
「ジークスヴェルト様。私の部下を、御領主の元へ送りましょうか?」
「あっ、お願いしてもいい? 一応、父さんに許可貰っといた方がいいよね。お願い」
「はい。それでは」
ライネルは、部下の兵士の元へ行き、部下の兵士に何か伝え、兵士は何処かに駆けていった。
「さて、オットー。難民施設の建設に入るぞ」
「許可がまだ出てませんが?」
「父さんなら良いよって言う・・・・と思う。事後承諾でも大丈夫。ほら、行くよ!」
「やっぱりこれ、後で怒られるパターンなんですね」
*******
「この辺りならいいかな?」
「そうですね。この辺りなら・・・・」
難民キャンプから、少し離れた場所にやって来た。やって来た場所は、あまり高低差が無い平地。木は生えておらず、草原が広がっている。
「それじゃあ、魔法兵!」
工兵部隊を含めた、魔法兵を召喚する。何をするのかと言うと、家の建設だ。
「それじゃあ、開始!」
身軽な歩兵部隊が草を刈っていき、パワータイプの重装歩兵隊が、スコップやツルハシなど使って地面を慣らしていく。
あっという間に更地に変わり。その場所に建設物資を取り出すと、工兵部隊が動き出す。
「相変わらず、規格外ですね若様は・・・・」
「もう、見慣れたものでしょ?」
「・・・・慣れませんよ!」
そう? ずっと見て来たじゃん?
『コンコン、カンカン』
簡単な作りをした、家の建設が始まる。広さは六畳一間程度。それを最低でも、五十軒は建てる予定だ。
「ん? 若様。誰か来ます」
「誰かって誰?」
「馬に乗ってますね。恐らく、領主様では?」
「父さん?」
遠くの方から、馬に乗った一団がやって来た。
「じゃあ頼んだよオットー」
「頼んだじゃ無いですよ若様!」
「ジークスヴェルト!」
やって来た一団は、やっぱり父さん達だった。
ライネルさんの部下が、俺の話を伝え、それを聞いてやって来たらしい。
「ジークスヴェルト! 何をやってるんだ!」
「何ってそれは・・・・難民達用の施設?」
「まったく、帰ってきてすぐこれか。はあーー」
父さんは、現状を確認すると、深い溜め息を吐いた。
既に、十軒以上の家か建っていたからだ。
「父さん、作った物はしょうがないよ」
「お前がそれを言うな!」
「若様、たまには自重して下さい」
俺は結局、父さんから雷が落ちた。でも、俺が建設した施設は採用になった。父さんも、寒い夜に屋根も無い場所に寝泊まりする人達に、心を痛めていたらしい。
「ジークスヴェルト、今度からちゃんと言うんだぞ!」
「はーーい」




