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湖畔のお城、完成


「ふう。ポカポカと暖かくなってきたなぁー」


 春の暖かい陽気の中、湖畔のお城の建設は、最終段階えと入った。

 ふむ、今日にも完成するな。でもなぁー、何か足りない。なんだろ? 湖に映えないと言うか。・・・・お城を、真っ白にしたら綺麗かな? なら・・・・漆喰かな? 闇貝の黒い部分を削って、白い所だけ使えば・・・・いける! 持ってきた量で足りるかは、分からないけど。


 それにしても・・・・「何やってんだ?」城壁の上から、湖を眺めて思わず溜め息がもれる。


「アイーシャさん、そこにもあるわ!」


「あらお義母様、お義母様の足元にも」


「あらほんと」


「おばあ様、お母様! 私も見つけたわ」


「奥様! ここにも」「若奥様! こちらにもありました」


 おばあちゃん、アイーシャさん、それにレミーシャの三人は、メイド達を引き連れ、湖の岸辺で、翡翠採取の真っ最中だ。


「何をやっておるのか。まったく・・・・はあーー」


 俺の左隣りで、更に深い溜め息がもれる爺ちゃん。


「まったくです父さん。はあーー」


 右隣りの叔父さんからも、深い溜め息が。


 分からんでもない。けど・・・・採取も嫌いでは無いけど。

 翡翠を触ったから、錬金チートでもう、作れちゃうしね。


 翡翠に関して、ちょっと問題があるんだよね。

 何かと言うと・・・・「ねえ、爺ちゃん。翡翠の事、内緒にした方がいいよね?」


「うむ? 内緒とは?」


「いやだって、翡翠が取れるなんて知られたらさ。戦争とか・・」


「ジークの言う通りだな。可能性はある」


 真剣な顔で、叔父さんは頷く。


「うむ。来るとしたら北のバークレイ領だが・・・・今はギフ城があるしの」


「そうだね」


 ギフ城とは、俺が建築した山城の事だ。・・えーと、つまり・・・岐阜城なんだけど。険しい山に作られた、岐阜城から名をとった。


「そう言えばジーク。ここの城の名前は決めたのか?」


「うーーん、真珠城?」


「真珠城か? 確かに闇貝が、この湖で取れるとは言え、その名はな・・・・」


「うむ。それに、真珠っぽくないぞ? ジークスヴェルト」


「えーー。でも、真っ白にするつもりなんだけど」


「「真っ白に?」」


 爺ちゃんと叔父さんは、どう言う事だ? という顔だ。

 これは・・・・説明よりも。


「うん。見てもらったほうが早いかな?」


 漆喰作りを、爺ちゃんと叔父さんに見てもらう。闇貝の、黒い部分は取り除き、白い部分だけを粉にしていく。本当なら、色々混ぜる必要があるが・・・・俺には別に必要無い。何故なら、錬金魔法があるから。それに、作り方は良く知らないし。消石灰では無く、貝でも漆喰が作れる事くらいしか、知らないのだ。


「後は、これに水を加えて混ぜて。城の石壁に塗って、魔法で固めると・・・・出来た! 成功だ!」


「「おぉ!」」


 壁に薄く塗った、お手製漆喰が、錬金魔法で固まり、お城は白く美しい壁になった。ただ、真っ白では無いが。まあ、仕方ないか。


「ほぉー、綺麗な物だな。だが、ジークスヴェルトよ・・・・」


「うん、コレ全部を塗るとなると・・・・さすがに量がな」


「まあ、直ぐに完成はしないだろうね。ゆっくり、作るよ」


「うむ」「だな」


「どうしました? あなた達」


「「「おわっ!」」」


 急に背後から話しかけられて、思わず三人共驚いてしまった。


「おばあちゃんか、ビックリした」


「母さん・・・・」


「リーファか。ビックリさせるで無い。もう良いのか?」


「えぇ、沢山採れたわ。それで? 何をしているのかしら?」


「母さん。ジークが城を白く塗ってる所だよ」


「白く?」


「ほれ、ここを見てみろ」


 爺ちゃんが手で、「ここだ」と手招きして、おばあちゃんに漆喰を塗った部分を見せた。


「あら、白くなってるわね」


「出来れば、お城全体をそうしようかと思ったんだ」


「真っ白なお城って綺麗だと思うんだ」とおばあちゃんに説明すると。「確かに綺麗ね。でも、さすがにお城全体は無理じゃ無いかしら?」と苦笑いしながら首を傾げた。


 むう! そうだけど、やりたいの! それに、いざとなったら錬金魔法で作るもん!


「お義母様? どうかなさいました?」


「ジークスヴェルト! また、何かやらかしたわね!」


むっ!」失礼な! また、やらかしたとは何だ! やらかした事など・・・・・無い・・・・事も無い。


「まあまあ、レミーシャ。それで? 翡翠は採れたのか?」


「はい、一杯採れたました! お父様!」


「ほう、それは良かったな」


「はい!」


 ・・・・・・親子の交流を見ていて、何かこう・・・・うん、寂しさが。


 レミーシャと叔父さんを見ていて、家に帰りたくなって来た。

 数ヶ月経ってから、ホームシックになるとは・・・・いや、そんなものか。

 

 湖の方に向き直り、水面を見つめながら、しみじみ思う。


 うんうんと頷き、思いに耽っていると。湖を見てふとある事を考えてしまう。それは・・・・確かこの湖、川が流入していたな? 


「爺ちゃん、この湖ってさ、川が流入してたよね?」


「ん? あぁ、そうだが・・・・それがどうかしたか? ジークスヴェルトよ」


「うん。その川って何処から来てるの?」


「うむ、あの川は確か・・・・フラメールからじゃが・・それがどうかしたのか?」


「・・・・えーと、多分だけど。翡翠の産地が分かった」


「ジーク、まさかと思うが」


「多分、フラメールに翡翠の鉱床があると思う」


「「「「・・・・・・・・」」」」


 皆、何故か黙る。別に問題は無いと思うけど? 鉱床が領境いに無ければだけど。


「ジークスヴェルト、それって何か問題なの?」


 レミーシャが、頬に手を置き、首を傾げながら聞いて来た。


「特には無いけど・・・・ただ」


「ただ?」


「領境いに鉱床が無ければね」


「「「「・・・・・・・・」」」」


 数秒程、沈黙に包まれた後、爺ちゃんと叔父さんが口を開いた。



「「それは・・・・困るな」」


「「困るわね、それは」」


「? えっと・・・・どう言う事よジークスヴェルト! ちゃんと説明して!」


「領地の境界は、結構あやふやなんだ。そんな近くに、翡翠の鉱床なんてあった日には・・・・間違い無く戦争になるね」


「戦争・・・・」


 俺の戦争発言に、レミーシャは顔を真っ青にした。そりゃ、戦争は怖いよね。


「安心しなさいレミーシャ。フラメールは友好を結んでいる」


「えぇ、お父さんの言う通りよ。フラメールとの戦争は起こららないわ」


「本当に? ほんとの本当に?!」


「大丈夫じゃ、レミーシャ。爺ちゃんが守るからな!」


「まあ、大丈夫だと思うよレミーシャ。それに問題なのは、何時、フラメールに翡翠の事を伝えるかだし」


「ん? どう言う事なのジークスヴェルト?」


 叔父さんの言う通り、フラメールは友好を結んでいる。叔母さんも嫁いでるし。翡翠の鉱床が、領地の境界近くだとしても、流れて来たのはうちの物だし。だから・・・・。


「ある程度採取してから、フラメールに伝えれば良いと思うよ。出来れば、領地の境界ギリギリまで、調査してみる方がいいかもね」


「んーー、成程?」


「「「「・・・・・・・・」」」」


 レミーシャは眉を八の字にしながらも、納得したようだ。ただ、爺ちゃん達は・・・・。


「ジークスヴェルト、お前は本当に七歳か?」


「ジークちゃん・・・・」


「ジーク、お前の頭はどうなっているんだ?」


「ジーク君・・・・」

 

 えっ? 何か変な事言った? ちょっと叔父さん! 頭をツンツンしないで! おばあちゃん!「変な物でも食べたのかしら」って何? アイーシャさんも、「ジーク君は変わってますね」って!

何なのもう! 


「ジークスヴェルトよ」


「へっ、何爺ちゃん?」


「さすがわしの孫じゃ」


 うわっ! 爺ちゃん! お髭が痛い! ジョリジョリは禁止!

 ひゃぎあぁーーー! 爺ちゃんのジョリジョリは痛かった。


 あっ、そうだ。言い忘れてたけど、湖畔のお城は無事、その日の夕方に完成した。うーー、まだヒリヒリする。


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