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七歳の誕生日


「ジークスヴェルト、お誕生日おめでとう!」


「「「おめでとう!!」」」


「ありがとう!」


 春中旬、日毎に益々暖かくなってきた。雪解けも進み、花も咲き始めた。そして、俺の誕生日がやってきた。今日は、俺の誕生日会だ。

 

「ジークスヴェルトよ。七歳になったな! おめでとう! コレはわしからじゃ!」


「ありがとう爺ちゃん!」


 何だろ? 大っきいな? 両手で持つくらい大きく、重いので。机の上でひろげる。コ、コレは! 何だ?


 布に包まれた、爺ちゃんからの誕生日プレゼントは・・・・何だかよく分からない物だった。


「どうだ? ジークスヴェルト」


「爺ちゃん、コレ何?」


 ひろげた布の中に入っていた、白い塊を指差し。爺ちゃんを見上げる。


「ん? ジークスヴェルトは見た事なかったか?」


「うん。コレ何なの?」


「父さん。ジークは白硬石はくこうせきなんて見た事無いですよ。と言うか、何処で手に入れたんですか?」


「うむ、ちょっと伝手を使って・・・・」


「何処からそんな金が・・「あなた、まさか?」


 叔父さんが、お金の出所を聞こうと爺ちゃんに詰め寄ると。おばあちゃんがその間に入って、爺ちゃんに詰め寄った。


「いや、ちょっとヘソくりを使っただけだぞ! やましい事などしておらんぞ!」


「・・・・・・・・本当に?」


「本当じゃ!!」


 睨み合う二人。しかし、ばあちゃんに頭の上がらない爺ちゃんは、プイっと目を逸らしてしまう。


「あーなーたー」


「お義母様、その辺で。ジークちゃんの誕生日なんですから」


「はあー、そうですね。あなた、終わったら話がありますから!」


「う、うむ」


 爺ちゃん・・・・ファイト! ・・・・それで、コレは結局何?


「叔父さん、白硬石って何?」


「ん、あぁ。白硬石はな、鉄などに混ぜると、とても頑強になるんだ。だから、剣や鎧に良く使われるんだが・・・・」


「・・・・それなりの値段がすると」


「そう言う事だ」


 うん? つまりコレで剣か鎧を作れと? ・・・・俺の誕生日に贈る物としては、いかがなものか? まあ、それで剣を作ったら、面白そうではあるな。・・・・値段は聞かずにおこう。チラッと爺ちゃんを見ると、少しワクワクした面持ちでこちらを見ていた。


・・・・爺ちゃん、何も作らないからね。

 

「それじゃあ、次は私ね」


 今度は、おばあちゃんの番のようだ。「何を贈るか、凄く悩んだのよ」と、布にくるまれた大きな包みを、メイドにに運んでもらう。


 また、大きなプレゼントだな。なんだろ?


 布を剥ぎ取り、中身を確認すると・・・・。何これ?


 再び、訳分からん物が入っていた。今度は、黒い固まりだった。


「ふふふ。コレはね、黒硬石よ」


 またか・・・・。


「母さん! 黒硬石何て、一体どこから!」


「そうだぞ! しかも、わしの白硬石とかぶるだろ!」


「ねぇ、もしかして白硬石と・・・・」


「はあー。あぁ、そうだジーク。黒硬石も白硬石と同じだ。武器や防具に使う。それにしても、幾らしたんですか母さん」


「あら、買った訳じゃ無いわよ。嫁入りの時に待たされたのよ」


「なっ! わしは知らんぞ!」


 おばあちゃんの説明に驚く爺ちゃん。


 ずっと、内緒にされればそうか。


「あら、だって加工を出来る方が、いらっしゃら無いではないですか」


「そうかも知れんが・・・・数年前から、ドワーフの職人が居るではないか!」


「その時は忘れていたのよ。それに、私の嫁入りに渡された物ですから、どう使うかは、私の勝手でしょ?」


「うむむ」


「ジークちゃん。お誕生日おめでとう」


「ありがとうおばあちゃん!」


 正直、斜め上の贈り物だったが。貰える物は貰っておこうと思う。それに・・・・何か作るのが楽しみだし。


「よし、次は・・「えぇ、私達からね」


 次は叔父さんとアイーシャさん。それに、レミーシャが前に出て来る。


「これは、俺と「私からよ」


 二人がスッと手渡して来た物は・・手のひらサイズの小箱。蓋を開けて、中身を確認すると。


「こ、これは! ・・・・なんだろ?」


 そう、またこのパターン。七歳児に贈る事を、もうちょい考えてほしい。小箱の中に入っていた、豆粒程度の・・・・何か。何だろコレ?


「分からんて顔だな。これは何と! ミスリルだ!」


「えっ! ミスリル!」


 ビックリして、手に持った小箱を凝視してしまう。


 コレがあのミスリル・・・・何と言うか・・そのぉー、小汚いな。


 灰黒色の塊に、とても疑ってしまう。


「ジーク・・・・お前信じてないだろ」


「いや、別にそんな訳・・・・」


「ふふふ。ジーク君、ミスリルは特別な加工が必要なのよ」


 ふむ、つまり加工前だからこんな・・・・小汚いと・・ふむ、面白い。


「それとね、ジーク君。ほら・・・・レミーシャ」


 二人の後ろに隠れていたレミーシャを、アイーシャさんが背中を押して、俺の前に連れて来た。


「ほら、レミーシャ。ジーク君に贈り物があるんでしょ?」


「うぅーー」


 目を逸らし、気まずそうに前に出されるレミーシャ。


「ジークスヴェルト・・・・」

 

 モジモジするレミーシャ。後ろに何か隠しているのか、手を後ろに回していた。どうしたんだ? とレミーシャの顔を見ると、若干、頬と耳が赤い。

 

 何だ? まさか! デレか! 遂にデレが来たのか!


「ジークスヴェルト・・・・コレあげるわ! 感謝しなさい!」


「ありがとうレミーシャ」最後のは、余計だけど。

 

 レミーシャが手渡しできたのは、革製の袋。袋自体は、大きくない。手に持つと、中々重かった。


 また、石なのでは? 俺の勘は・・・・当たった。


「石?」


「そう、綺麗だから拾った石よ。ジークスヴェルトはこう言うの好きだと思って・・・・」


 俺はその石を、只々、見つめた。


「何よ! いらないなら「レミーシャ!」


「な、何よ」


「コレ、何処で見つけたの!」


「えっ?」


「いいから何処で見つけたの!」


「湖畔のお城の近くよ。それがどうかしたの?」


「一体どうしたんだ? ジークスヴェルト」


 俺がレミーシャに詰め寄る様子に、爺ちゃんが思わず尋ねる。ばあちゃんや、叔父さん達も側に寄って来る。


「どうしたのジーク君? もしかして、気に入らなかった?」


「ジーク。その何だ・・レミーシャもお前にと思ってだな」


「ジークちゃん?」


 みんな心配そうに、俺に声をかける。


「うんうん。叔父さん、別にこの石が嫌いとかじゃないよ。逆だよ。この石は凄い物何だよ!」


「? どう言う事だい、ジーク」


「見てよ」


 俺は、手に持った石を、みんなに見せた。手の上にあったのは、薄緑色の石だった。レミーシャが俺にくれた石、それはなんと・・。


「コレ! 翡翠だよ!」


「「「「翡翠?」」」」


 えっ、みんな知らないの? 


「「「「翡翠って何だ?」」」


 この世界・・・・いや、この大陸だと、価値はそうでもないのか?

 一応、説明しとこう。


「宝石の一種なんだけど?」


「「宝石!!!」」


 宝石と聞いて、おばあちゃんとアイーシャさんは、目の色を変えた。


「う、うん。宝石・・・・」


「この緑色の石がか? 価値があるのかジークスヴェルト」


 俺の手の上の石を、じぃーっと見つめる爺ちゃん。叔父さんもちょっと疑っている。おばあちゃんやアイーシャさんも、んーー、と唸りながら、コレが宝石? と言った感じで見ていた。


 磨いても無いし、しょうがないか。綺麗にすれば納得するかな?

 石を机に置き、錬金魔法で余分な部分を削り。子供の拳程の大きさの石を、特に濃い緑色の部分から、ビー玉三つ分の翡翠を削り出した。削り出した翡翠を、今度は綺麗に磨きをかける。


「よし、出来た! 出来たよ!」


 出来たてホヤホヤの、磨かれた翡翠は、美しい緑色に輝いていた。


「「綺麗ね!!!」」


 俺はレミーシャの方に向き直り、「レミーシャ、凄いよ! 良く見つけたね」と、褒めると。


「ふん。と、当然でしょう!」と、顔と耳を真っ赤にしていた。


 ほんと、素直じゃないんだから、と思いつつも。ちょっと、かわいい所が見れて。まあ、良かったとも思ったのである。


「ジークちゃん♡」


「ジーク君♡」


 はっ! と振り返ると、おばあちゃんとアイーシャさんが、ジリジリと近づいてきて、俺の肩をガシッと掴んだ。


「ひぃ!」


「ジークちゃん♡」「ジーク君♡」


 その後、俺がどうなったかは・・・・言うまでもないと思う。



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