春が来た。両親も来た。使者も来た。
「ジークスヴェルト!」
「ジークちゃん!」
「父さん! 母さん! 久しぶり!」
春となり、雪解けと共に、父さんと母さんが、叔父さんの屋敷のある街クラメルにやって来た。
「クリメラの方は変わりない?」
「あぁ。城の方も順調だぞ。夏までには移れるだろう」
「あなた、ジークちゃん。久しぶりだから、お喋りしたいのは分かりますけど、ご挨拶が先ですよ」
「そうだな。ジークスヴェルト、話は後でな」
「うん!」
数ヶ月ぶりの再会を邪魔しない為に、少し下がった場所にいた叔父さん家族が、前に出てくる。
「ベルハルト兄さん、シエナ義姉さん。ようこそクラメルへ」
「お久しぶりです。ベルハルト義兄様、シエナ義姉様。ほら、レミーシャ。ご挨拶を」
「はい、お母様。叔父様、叔母様、レミーシャです」
「大きくなったなレミーシャ」
「あらあら。レミーシャ、アイーシャさんに似てきたわね。
美人さんになったわ。ほら、リィーナもみんなにご挨拶ね」
「あうー」
「義姉さんに似てるなぁー」
「レミーシャの小さい頃を思い出すわね」
「ジークスヴェルトなんかより、かわいい!」
「おぉ、リィーナ! じいじにおいで」
「あなた、お髭を近づけないで下さい! リィーナちゃんの柔肌に、傷がつきます! リィーナちゃん、ばあばにおいで」
くっ! 妹にみんなを取られた。って、レミーシャ! なんかとは何だ! 俺だって、赤ちゃんの頃はもっとかわいいもん! ぷん!
「・・・・それで、父さんと母さんは何しに?」
「そりゃ勿論・・・・なあ?」
「・・・・えぇ、そうね」
「あうー」
父さんと母さんは、互いに目を合わせると、何か含みのある発言をした。
「うん?」・・・・何だろう?
***
「「おぉーーー!! いい眺めだ「眺めねえ」」
成る程、そう言う事ね。ほぼ完成した山城の物見台から、
現在、景色を堪能中だ。気になるからって、わざわざ来なくても・・・・まあ、楽しそうだからいいか。それに・・・。
「あうー!」
「リィーナもご満悦だね」
「あううー!」
「はいはい」
「凄い! 凄い眺めよジークスヴェルト!」
「何でレミーシャが居る」
「うっさい! 来てあげた事に感謝しなさい!」
「何で感謝せにゃならんのじゃ! ぷん!」
まったく! ツンツンばっかで、デレがまったくない! 可愛げの無い奴! ふん!
「あっ! 所で叔父さん」
「ん、どうしたジーク?」
「ここって誰が守るの?」
「うーん、それ何だが・・・・兄さん」
「あぁ・・・・うむ。ダスティン、お前が信頼出来る者に任せよ」
「いいのですか、私が決めて?」
「北の事はお前に任せている。ダスティンの裁量に任せる」
「分かりました。ではその様に・・」
「いっその事、わしが・・・・」
「親父は!「父さんは! 大人しくしていて下さい!!」」
「むうー!!」
「さて・・・・次に行くぞ」
「えっ、次って?」
「ジークスヴェルトはもう一つ、城を建設し始めたと聞いたが?」
「・・・・明日でいいじゃん」
「見れる内に見ときたい。直ぐ行くぞ」
「えぇーー!!」
「ふふふっ。私達は先に戻りますね、あなた」
「あぁ、そうしてくれシエナ。春になったとは言え、まだ冷えるからな。リィーナと先に戻っていてくれ」
「レミーシャちゃんも一緒に戻りましょう?」
「はい叔母様」
「義姉さんは俺が送るよ兄さん」
「頼む。ほら、ジークスヴェルト! 行くぞ!」
「はーい。母さん、リィーナ、行ってきまーす」
「気をつけて行くのよ」
「爺ちゃんも行くぞ」
クラメルの東にある湖に、建設途中の城を、父さんと爺ちゃんも一緒に見に行く。父さんはまたとんでもない物を、と呆れられ。爺ちゃんは、ジークスヴェルトは凄いんだぞ、と褒められた。
クラメルに帰る時には、夕方になっていた。二人共、あーだこーだと、城に関して意見してくる所為で、遅くなってしまった。
作ってるのは俺なんだけどなぁ〜。
帰ったら帰ったで、問題が発生していた。うちの領地から、北東に位置する領地から、使者が来ていたのだ。
「フラメール領、領主。オルド・フォン・ナインテイル・フラメールより、書状をお持ちいたしました」
「うむ」
屋敷の応接室にて、父さんと叔父さん。それに爺ちゃんが対応していた。俺は子供だから、ダメと言われたので、談話室でレミーシャと遊んでいた。仕方なく・・。
「はい王手」
「むむむっ! ジークスヴェルトの癖に!」
レミーシャ相手に、将棋っぽいチェスをしている。
将棋っぽいチェスとは、言葉の通りの物だ。この世界に将棋だと不自然過ぎる。日本語が入ってる訳だし。こちらの言葉で、駒に文字を入れるのも違う気がする。なので、駒の形をチェスにして、ルールや駒の動きは将棋にしている。
ん? 将棋っぽいチェスじゃなくて、チェスっぽい将棋かな? ん? ・・・・・どっちでもいいか。
「もう一回よ!」
「はいはい」
もう一戦勝負と思い、駒を並び直していたら。父さん達が部屋に入って来た。
「あなた・・・・一体どうしたのですか?」
「あぁ、別にたいした事ではない。そう心配するなリーファ」
「何だったの? 爺ちゃん」
「うむ」
爺ちゃんはチラッと、父さんを見た。領主のお前が話せと言う事だろう。
「お袋、安心してくれ。悪い知らせ所か、良い知らせだ。エルナが無事、子供を産んだと言う知らせだ」
「まあ! 良かったわ!」
「エルナさん良かったわね。ね、アイーシャさん」
「本当に・・本当に良かったですね、シエナ義姉様」
わいわいと盛り上がる中、ふと思った。
「エルナって誰?」
「「「「・・・・・・・・」」」」
俺の呟きに皆黙る。
「そう言えば、教えてなかったな。エルナは、俺やダスティンの妹・・つまりジークスヴェルトの叔母にあたる人だ」
「へぇー、そうなんだ。で? 今、フラメール領に?」
「あぁ、エルナはフラメール領に嫁いだ。フラメール領主にな。今回、待望の後継が産まれたと、連絡が来たと言う訳だ」
「おぉー、めでたいじゃん!」
「あぁ、めでたい。めでたいが・・・・」
「ん? めでたいが何なの?」
「祝いの贈り物をどうしたものかと思ってな」
「そうじゃの」
「難しいですね」
「どうしようかしら? 何かいい案はありませんか?」
「困りましたね。お義母さん」
「どうしましょう? エルナさんのお祝い」
ん? 何をそんなに困るの? そして、何でこっちをチラチラ見るの? 俺にどうしろってのさ!
何かを期待して、みんなこちらを見てくる。
うーーんと、この状況は一体何なのーーー!




