世界遺産?と折れた剣
今日も寒い中、山城の完成を目指して頑張っている。
作り始めて二ヶ月が経過した。山城の方は、順調に建設が進んでいる。現在、小山の尾根沿いを削り、城壁を築いている。ただそれが・・・・。
「・・・・まるで、万里の長城」に見えるのだ。
「え? 何ですか若様。その何とかの長城と言うのは?」
「何でもないよオットー」
ここの山は一つの山では無く、二つの小山から出来ている。小さい山と、更に小さい山の二つだ。片方の更に小さい山の頂上には、石造りの物見台を建設した。そして、その二つの連なる山の尾根、約百五十メートル程を繋ぐ様に城壁を建設し。更に、もう一方の高い小山の方は、頂上近く付近に広く平らなな場所があって、そこに小城を建設している。ただ、石造りりの風景が・・マチュピチュなんだよなぁ・・。
「これは・・・・天空の城的な?」
「どうされました若様?」
「うんうん、何でもないよジィ」
千年、いや二千年後には、世界遺産になってたりして・・それは無いか。
「ジィ、オットー。今日はこれくらいにして、そろそろ帰ろう」
「よろしいのですか?」
「うん。それに、向こうの様子も見ときたいし」
「ほほう。ダスティン様の新しい城ですな。直ぐに参りましょう若様」
何故か凄く急かすジィ。そんなに見たいの?
「お爺様が城を見たいからって・・・・」
「オットー! 任務中は!」
「はい、ルーファス様・・・・」
叔父さんの住むクラメルから、東に二キロ地点。
「いい眺めだね」
「はい、美しい湖ですね」
「若様。ここで取れるマスは絶品ですぞ!」
「へぇー、暖かくなったら釣りもいいかもね」
「「はい」」
俺達の目の前には、大きな湖がある。結構大きな湖で、一周四、五キロはある。ここなら水に困らないので、お城をここに建設する事にした。建設場所は、湖畔の小高い丘の上。
湖を一望出来て、ここにお城があれば、とても良い風景だろう。勿論、それだけの理由じゃない・・・・他にも理由はある。一応。
「それにしても・・・・さほど進んでませんな」
「こっちはまだ、始めたばかりだから。そんな直ぐには、お城は建てられないよジィ」
こっちは造り始めたばかり。まだ城壁すら、半分と完成していない。
「いえ、若様ならと・・・・」
「既に、ここまで出来てる時点でおかしいですけどね。若様を見てると、通常の感覚が麻痺してしまいます」
「そうかなぁ?」
「はい」
「こらっ! オットー! 申し訳ありません若様。孫の口が過ぎまして」
「ん? いや、別にそんな謝る事は言ってないよ? んー、まあいいや。・・・・あれ、叔父さんが居る? 何で?」
「えっ? あっ、確かにダスティン様ですね」
「さすがはダスティン様! 自ら人頭指揮を!」
「いやいや。叔父さんがする事、特に無いでしょ」
「・・・・まあ、城の建設は若様がやってますからねぇ」
何しに来たんだ? 城の建設は、俺の魔法兵が行なっている。なので、叔父さんがする事は、これといって特に無い。
「おや? 若様。どうやら、グスタフ様も居られるようです」
「爺ちゃんまで・・・・楽しみで仕方ないのかな?」
「だと思います・・・」
「ぐわっはっはっは!! うむ、これがわしの城か!!」
建設途中の城壁の上で、高笑いする爺ちゃん。えーと、叔父さんとお爺ちゃん、二人の城だからね。 あっ、ほら! 叔父さんが怒ってる。
「父さん! これは私の城です!!」
「何を言うか! ジークスヴェルトはわしに、作ってくれておるのだ!!」
互いに、ぬぬぬと睨み合う。いい歳して何やってんの。
「貴方達! いい加減にしなさい!」
喧嘩する夫と息子を叱るおばあちゃん。
「・・って! おばあちゃんも居るじゃん! 何で?!」
「見に来られたのでは?」
「見に来たって・・・・おばあちゃんも気になったのかな」
「恐らく・・・・」
ハアーー。おばあちゃんまで、しょうがないなぁ。
「おや・・・・ジーク! 来たのか!」
「ジークスヴェルトよ!」
「あら、ジークちゃん!」
俺に気がついた三人が、城壁の上から手を振る。手を振り返して、それに応える。
「三人共仲良くねぇー!!」
「「「はーーい!!」」」
仲良く返事をする三人。本当に仲良くね! 部下の人とか困った顔してたからね!
「それにしても、何故この場所に城の建設を?」
「うん? えーと、湖があったから?」
「それだけですか?」
「他にも理由はあるよ。・・・・一応」
「・・・・・・・・」
「・・・・本当にあるよ」
何か言ってよオットー!
「魔物がでたぞーー!!」
オットーと喋っていたら突然、魔物存在を知らせる声が!
「若様! ここに居て下さい! オットー! 任せたぞ!」
「はい! ルーファス様!」
ジィは部下を数人連れ、声のした方へ向かった。
「オットー。護衛頼んだよ」
「どちらかと言うと、若様にお願いしたいですが・・・・」
『ガサッガサッ・・・・バサッ!!!』
森の茂みから物音がしたと思ったら、何かが飛び出して来た。
「・・・・うわっ!」
「落ち着きなよオットー。ただの・・・・どてかい猪!」
茂みから出て来たのは、牛より大きいな猪の魔物だった。
「なっ! こいつは・・・・。若様! グスタフ様達の所まで走って下さい! 私が時間を稼ぎます!」
「えっ、うん。でも、そんな暇無いと思うよオットー。ほら・・」
「えっ?」
オットーが振り返った時には、猪の魔物はこちらに向かって来ていた。
「ピギィぃぃぃ!!」
「なっ! 若様!」
「レギオン! 重装盾兵! 五体!」
身の丈ニメートルの体躯を誇る、重装歩兵の盾兵が、オットーの目の前に現れ。猪の前に立ち塞がった。
「こ、これは! 若様?!」
「ほら、来るよ」
『ドガギィィィーーーン!!』
強烈な突進だったが、重装盾兵はそれを受け止めた。
「オットー! 今のうちに、横からやっちゃって!」
「は、はい! おりゃーー!『バギィン』へっ?」
オットーの放った攻撃は、猪のよう頭に当たったが、オットーの剣は・・・・ポッキリ根元から折れた。
「えっ? どうしたのオットー?」
重装盾兵が壁になって、まったく様子が分からない。
「剣が!」
「剣が? 何?」
「剣が折れましたーー!!」
「へっ?」
「剣がポッキリ折れたんですぅ!!」
「折れたの? えーと、そう言われても・・・・取り敢えず逃げて!」
「は、はい!!」
「プギィ・・・・プギィィィーー!!」
『ガァーン! ガコーーン!』
巨大猪が暴れて、盾に何度も体当たりを繰り返す。
ヤバっ! ふぬぬっ! ・・・・って! 俺が力んでも意味無いじゃん。えーと、あーと・・・・そうだ!
「レギオン! 重装槍兵! 五体!」
ガシャンと、重装な鎧の音が鳴り。ロングランスを持った
魔法兵が現れた。
「やっちゃえーー!!」
重装槍兵は、盾に突進する猪を、横と後ろに周り込む。そこからはまさに蹂躙状態。
「プギィャーーーー!!」
猪の魔物は、重装槍兵のロングランスに、命尽きるまで槍を突かれ。辺りは血の海に・・・・。
「うげえぇぇぇぇ・・・・これ、夢に見そう」




