山城はロマン その3
叔父さんの所にやって来て、一カ月が経過した。山々の多くは、山頂部分が雪化粧を纏っていた。
「うー、今日も冷えるなぁー。オットー、薪追加して!」
「はい、若様。それにしても、だいぶ出来上がって来ましたね」
「そうだね。これなら、春までには完成しそう」
完成した模型通りに、今日も小山を山城化する作業中だ。
冷たい風が吹く中、薪を燃やして暖をとりながら作業している。
うぅーー、寒い!
「若様・・・・凄いですなこの城は! 今までの城とは一味違います!」
「はいはい。あんまり興奮しないの、ジィ」
「それにしても、人の目が一番の問題でしたが・・・・」
「峠に雪が積もって、商人が来れなくなったからね。ある意味、助かったね。他領に知られると困るし。バレない為に、クラメルから魔法兵を出して、ここまで連れてくるのは、魔力の無駄だったからね」
ここの関所は、多くの商人が往来している。特に問題なのが、バークレイ領の商人だ。間者が紛れていると見て、間違いないだろう。けど、冬になれば雪で峠は越せない。冬はこの地を天然要害と化す。味方にとっても問題だけどね。
「はい。若様のお力は、あまり知られない方がよいですからな。ある意味、秘密兵器ですな」
「秘密兵器って・・・・うん、悪くないな・・」
「若様、お爺様に乗せられないで下さい」
「ん? 別に乗せられて無いよ。気分が良くなっただけ」
「・・・・それを、乗せられてると言うのです」
うむ? そうなのか? 以後・・・・気をつけよう。
「所で、話が変わるけどさ。ここの砦って、名前あるの?」
「あれ? 言っておりませんでしたか?」
「聞いてないけど?」
「この辺りの地名を、ダベンと言います。ですから砦は、ダベン砦ですな」
「そのまんま・・・・山城ができたら、新しくつけようっと」
「是非そうしてくだされ若様。若様が作り、名付けた城をジィが守ります故!」
「うん・・・・頑張って」
☆☆☆
「うぅーー、寒ーい! ただいまー!」
「あらあら、ジークちゃんお帰りなさい。寒かったでしょう? お風呂沸かしてあるわ」
「ありがとうおばあちゃん。オットーとジィも一緒に入ろうよ」
「いえ、我々は・・・・」
「はい、若様だけで・・・・」
「大丈夫だよ。だって・・・・」
皆んな入った後何だもん。叔父さんや爺ちゃんは、体からホカホカと湯気が出てるし。おばあちゃん達も、お肌ツヤツヤだし。爺ちゃん達より後に入る訳無いし。と言うか、前も一緒に入ったじゃん。何遠慮してんの?
「我々は入浴したから、気にせず入れ! オットー、ルーファス」
「えぇ、寒い中大変でしたでしょ。ゆっくりお湯に浸かって、温まってくるといいわ」
「「・・・・では、お言葉に甘えて」」
爺ちゃんとばあちゃんに促され、オットーとジィも観念して、入る事にしたみたい。と言う事で、寒いしさっさと入ろうよ。
・・・・・・・・チャポン。
「・・・・・冷えた体が温まる。やはり風呂は良いですねぇ」
「良いですなぁ〜。疲れが吹っ飛びますな若様」
「すっかり、お風呂の虜になったね二人共」
湯舟につかり、ため息を漏らしながら、お風呂を堪能する二人。最近、日本人化してきた気がする。
「「「ハァーーー。いい湯だ」」」
☆☆☆
「ジークスヴェルトよ、一人で何をしておるのだ?」
「ん? 爺ちゃん。 うん、ちょっと工作をね」
「工作?」
爺ちゃんが目を細め、にゅうっと首を伸ばして、俺の手元を確認する。風呂から上がり、夕食を済ませた後、俺は一人部屋でとある物を作っていた。
「ジーク? 夕食が済んだら、さっさと部屋を出て行くから何かと思えば、今度は何をやらかす気だ?」
叔父さんまでやって来た。と言うか、やらかすって何!
やらかした事なんて無いよ! ほっぺを膨らませて抗議するが、叔父さんは遠慮なしに突っつく。むーー!
「ん? これは・・・・城の模型か? 山城と違うが一体・・」
「ふむ、ジークスヴェルトよ。どう言う事なのだ?」
「どうもこうも、叔父さんと爺ちゃんの城だよ?」
「「はいぃぃぃ?!」」
「ジークスヴェルト、しかし城はダベンに作っておるではないか!」
「アレは防御用? の城でしょ。爺ちゃん達の住む城じゃないよ?」
「山城以外にまだ作る気なのか!」
「えっ、そうだけど・・・・何か問題でも?」
「大ありだ! まったく・・・・兄からは、やらかさないよう、目を離すなと言われていたのに・・・・」
えっ、父さんって、そんな事言ってたの?! むう、そもそもやらかすって何なの! ただ、お城作るだけじゃん!
「ぶーーー」
「ぶーー、じゃない。まったく・・・・」
「これ、ダスティン! 折角、ジークスヴェルトが我々の為を思って・・・・」
「父さんは城を作ってもらうのが、嬉しいだけでしょうが?」
「なっ、ち、ち違うぞ!」
「「・・・・・・・・」」
「二人してそんな目で見るでない!」
爺ちゃんはほっとこう。後。叔父さんも! 俺の作業は更に増える事にる。まあ、自分で増やしてるんだけどね。
むっ、叔父さん! ほっぺツンツンしないの!




