山城はロマン その2
「ここをこうして・・・・ここは、こうかな? うん、いい感じだ。そんでもって、こっちにもこうと」
「ジークスヴェルトは器用だな」
「そうですねぇ、父さん」
叔父さんの屋敷の一室で、山の模型を使って、山城にどう改造するか思案中だ。爺ちゃんに叔父さん。それと、ルーファスことジィが参加している。
「それにしても、とても細かいなぁ。ん? ジーク、この盛り上がってるのは何だ?」
叔父さんが、模型の気になる部分を指さす。爺ちゃんも、叔父さんが指さす部分を、んん? と食い入るように見つめた。
「えーと、これは土塁だよ」
「土塁? 土塁って何だ?」
「土塁? ジークスヴェルトよ土塁とは?」
「えーと、突撃してくる敵の動きを鈍らせる物?」
そんな感じだったよな・・・・多分。
「ふむ、面白いの」
「えぇ、父さん。ジーク、これはどのくらいの大きさに?」
「高さは、二メートルくらいかな? 土を掘り上げるから、お堀の役目にもなるよ」
「ほう、面白い」「良く考えられてるなぁ」
「若様、この段々になっている所は?」
今度はじぃのルーファスが、指をさして聞いてきた。
「畑だよ。この斜面を使って、段畑にしようと思って・・。食料を作る場所があれば、長期の籠城も出来るでしょ」
「成る程! さすが若様!」
籠城を考えると、井戸も必要だな。水は常備しておかないと。
「ジークスヴェルトはこの山城を、何人で守る事を想定しているのだ?」
「大体、五百人くらいかな? 爺ちゃんはどう思う?」
「うむ、五百人か。北の守りを考えるともっと欲しいが・・現状は無理だな。今の関所に配備している兵の数も、精々百程度じゃからの」
少な?! 大事な要所なのに、少な?!
「あれ? でも人口増えてるよね? 最近、他所から人がいっぱい来てるって、言ってなかったっけ?」
「はい若様。確かに他所の領地から、移民が押し寄せてはいますが・・・・」
「いますがって? 何なのジィ?」
「ジークスヴェルトよ。他領の者はそうそう信用できぬ。間者の可能性もある」
険しい顔で、爺ちゃんが俺の疑問に答える。
うーん、そうかそれもあるか。現在、開拓した土地に人を呼び込んでいはるが、自領の領民だけでは足らず、他領からきた人達を呼び込んでいる。その多くが、隣りのテンネイスからやって来た人達だ。と言うのも、テンネイスでは戦が続いている。その為、多くの難民が出ているのだ。
うちの領地、バルクルート領に結構な数が流入している。
人口約六千程だったが、現在は七千弱。千人以上の難民がやって来ている状況だ。恐らく、難民はまだまだ増えそうでもある。
「でもさ、それを使わないのは勿体ないじゃん」
「も、勿体ないって・・ジークよ。そう簡単な話では無いのだが・・・・」
「それは分かるけどさぁー。領地の発展も、その領地を守るのも、人が必要な訳だし」
「まあ、そうなんだが・・北の守りを強化する為にも、考えるべきか・・・・どうですか父さん?」
「うーむ。兎に角、人の選定が必要であるな。しかし、一考に値する。北の守りは最優先じゃしな」
と言う事で、兵の増強案が決定した。あくまでまだ、計画の段階だけど。さすがに、守りが薄すぎるもん。今のままじゃ、簡単に突破されちゃう。
「よし、これで完成」
会話しながらも、手は止める事も無く動かしていた。石や木を、錬金術で加工して出来た、山城のミニチュア模型の完成だ。
「「「おぉーー!!」」」
完成した模型に、爺ちゃん、叔父さん、ジィは、感嘆の声をあげる。
「凄いな! コレがあそこに出来るのか! さすがはジークスヴェルトじゃ!」
「父さん、まだ模型の段階ですよ。しかし・・・・こんな凄いのを建てられるのか?」
「若様! 完成のあかつきには、私に守備させて下さい! 敵を蹴散らしてご覧にいれます!」
「興奮しすぎだよ爺ちゃん、ジィ! 叔父さんの言う通り、模型の段階何だから」
「わっはっはっは! すまん。つい興奮してしまった」
「ダグラス様! 血が騒ぎますな!」
「そうだな! ルーファス!」
「「わっはっはっはっはっは!!」」
二人は興奮し、大声で笑い始める。・・・・何か不安だ。
「叔父さん、これ大丈夫かな?」
「心配いらん。直ぐおさまる」
「あなた! うるさいですよ! ルーファスも! 夜中に大声で何ですか、騒がしい!!」
「「すみません」」
おばあちゃんの一喝により、場はおさまり静かに。
「なっ、心配いらなかっただろ?」
「うん!」
しょぼーんと肩をすくめ、おばあちゃんに怒られる二人を見ながら、叔父さんとバレない様にクスクスと笑うのであった。
「ジークちゃん! もう、夜も遅いのだから早く寝なさい!」
「・・・・はい」




