山城はロマン その1
「さて、今日は山城に適した場所を調査する! 準備はいいかねオットー君」
「何ですか? その口調」
「何となくだ! では! 出発!」
「・・・・はい」
馬に跨って・・・・そんじゃ、出発! 俺は爺ちゃんと相乗りだ。
「爺ちゃんは兎も角、叔父さんまで行くの?」
「あぁ、この地を預かる者として、当然だろ?」
「そうだけど・・二人が、その大事な場所から離れていいの?」
「心配いらんぞジーク。優秀な部下を残してあるからの」
爺ちゃんも叔父さんも、気になって仕方ないんでしょ二人共。
「それで若様。まず何処に向かいますか?」
「えーとね。実は、もう目星をつけてるんだ」
「うむ? 何処なのだジークスヴェルトよ?」
「この辺り一体の地図を見た時、ここしかない! って場所を見つけたんだぁ爺ちゃん」
「一体、何処なんだジーク?」
「着いてからのお楽しみだよ叔父さん」
「それは楽しみですなぁー、若様。若様はこのルーファスがお守りします故、存分に励んでくださいませ」
「・・・・ありがとうジィ」
馬に揺られる事、三十分。到着した場所は、接する三つの領地との領境に近い場所だ。うちの領地から続く道、一本と、他の領地からの道、三本が交差して、四叉路になっている。ここは、うちの領地において最も重要な場所だろう。しかも、山城にちょうど良い小高い山が、道を見下ろすように聳え立っている。この辺りは山城に囲まれた盆地で、平坦な平野の場所に、この小高い山だけが盆地の中央にある。見晴らしはさぞ良いだろうと思う。
「まさかジークスヴェルトよ。ここに作るつもりか?」
「そうだよ爺ちゃん。ここなら、攻めてきた相手にすぐ対応出来るよ」
「じゃがここは・・・・」
「えぇ、ここに城など建設したら、北のバークレイ領を刺激するのでは?」
「そうですな。ダスティン様の言う通りかと。しかし、ここは非常に重要な場所です。ある意味一番必要かと」
「確かにそうだが・・・・」
「と言うか、既に砦みたいのはあるじゃん?」
俺は指を差して指摘する。ちっこいが、数百人規模の人が暮らせる町が既にある。
「うむ。しかしあれは・・・・関所としてあるようなものじゃからの」
「うん、あくまで関所だからな。砦としてある訳じゃ・・・・」
「でも、ここって重要な場所でしょ? 作った方がいいと思うけど?」
「そうなんだが・・・・」
叔父さんと爺ちゃんは、ちょっと渋りだした。確かに必要な場所ではあるが、作ったら作ったで問題になりそなのだ。
「この場所はある意味、最前線だもんなぁ。山城を作ったら、ここを拠点に攻め込むと思われるかな?」
「その可能性が高い。それにしてもジークスヴェルトよ」
「ん? どうかした爺ちゃん?」
「お前は本当に子供か?」
「どう見ても子供でしょ?」
「うむ、そうなんだが・・・・」
「分かりますグスタフ様。若様はたまに、自分より年上なのではと思う時が・・・・」
オットーが遠い目をしながら、青空に浮かぶ雲を見つめた。
「いたいけな子供に何言ってるのオットー?」
「若様はどう考えても、いたいけな子供に見えません」
な、な、何だと! 俺はこう見えて! 近所で評判の可愛さで有名なんだからな! 主におばちゃん受けは良いんだぞ、プンプン!
ホッペを膨らませて抗議すると、叔父さんが横からツンツンしてきた。
もう! 叔父さん! ツンツンダメ!
「ジークよ。そもそも作るとして何処に作る気なんだ? さすがにあの険しい山では・・・・」
「あの険しい山に作るつもりだけど?」
「「「「なっ! なんだってぇー!!」」」」
皆んなが一斉に驚く。えっ? そんな驚くこの言ったっけ? 確かに崖とかあるけど・・・・逆にいいじゃん。
「兎に角、調査しないと! 地形の調査開始!!」
「あっこれ、若様作る気満々ですよ。若様、有無言わさず作る気ですよ」
「「ジーク・・・・」」
「若様! ルーファスは何処までも着いて行きますぞ!」
その日の一日は、山の地形調査に費やした。標高約二百メートル。山の周囲が一キロ半くらい? の山をぐるりと一周したり登ったりと、調査を行なった。山頂までは登ら無かったが、辺りを一望出来て見晴らしは最高だった。
帰り道。
「あそこから見張れば、直ぐに対処出来るんじゃない?」
「確かに悪くは無いが・・・・出来るのか? ジークスヴェルト。あんな場所に城など」
「まあ何とかなるでしょ。取り敢えず、多少の地形は分かったし。地形の簡単な模型も作ったから、じっくり考えるよ」
「それ、本当に良く出来ているな。魔法でこんなのが作れるとは」
山の地形を見ながら、土魔法を使って簡単な模型を作った。そこまで精巧では無いが、大まかには把握できる。
「オットー、壊さないでよソレ」
「分かっています。ですが、もう少し小さく作れなかったのですか?」
オットーは馬から降り歩いている。その代わり、馬の背に
模型を乗せいる。模型の大きさは、80×80センチって所かな。これ以上は小さく出来なかった。
「ソレ以上は無理。あまり小さくすると、地形が分かりにくくなっちゃう」
「成る程! さすが若様!」
「それにしても、だいぶ遅くなってしまった。早く帰ろうジークスヴェルト」
「うん、叔父さん」
「そうだな。早く帰らねば、リーファに叱られてしまう」
「おばあちゃんに怒られちゃうのは、爺ちゃんに任せるよ」
「ちょ、ちょっと待て! ジークスヴェルト!」
「そうだな。母さんに怒られる役は父さんに任せよう」
「なっ! ダスティン! お前まで!」
「そもそも、城を築きに来たジークスヴェルトの責任では?」
「僕、小さいから分かんない?」
「おい! ジークスヴェルト!」
「「「あはははっ」」」
結局、帰ったら皆んな怒られた。爺ちゃんと叔父さんは特に・・・・。俺は、ばあちゃん達の機嫌をとる為に、お風呂を沸かした。多少、機嫌は良くなったみたいだ。
「ふうーーー。生き返る」
俺は現在、男五人で風呂入っている。爺ちゃん、叔父さん、ルーファスにオットーの四人とだ。
「ハァーー、湯に体が溶けてしまいそうだ。疲れがとれていくぅー」
「・・・・やっぱり若様は、子供と言うよりオッサンですね」
「極楽極楽・・・・」




