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プロローグ


 現在、俺の目の前に、立派な髭を蓄えた白髪のお爺さんが立っていた。普通のお爺さんでは無い。何と言うか、凄くオーラを放っていて、薄っすらと光っている。


 そのお爺さんが、口を開いた。


「すまん。間違って殺しちゃった」


「へっ?」


 こ、殺しちゃった? どう言う事?


「混乱しているようだが、落ち着いて聞いてくれ。わしは神じゃ。そして、君はもう死んでいる」


「はい?」


 何言ってんのこの爺さん? ボケてるのか?


「ボケとらんわい! 言っておくが、神は心が読めるからの! いいか、大真面目に話とる! よく聞くように! 思い出しみよ、お主は何でここにいる」


「ん? 思い出せも何も・・・・あれ? ここって、どこだ? あれ? え? 確か俺・・・・車を運転してて・・」


「ふむ、思い出して来たようじゃのぉ。お主は車の事故で死んだのじゃ。それも間違って」


「ちょっ、間違いって何です!」


「本来、交差点で信号無視の車に追突される筈だったのは、別の者だったのじゃ。あの時、死ぬ運命にあったのは、お主の横を走行していた者での。こちらのミスで、お主の車に追突してしまったのじゃ。因みに、間違ってしまった相手は、母親と子供二人が乗っていた車じゃ」


「つまり、ミスによって俺が死に、親子三人は無事と・・」


「うむ、そう言う事じゃ」


「何すかそれ! 怒るに怒れないじゃないですか!」


「重ねてすまん! お詫びとして、お主を転生させる事になった」


「ハアー・・・・分かりました。せめて裕福な家庭にして下さいね。後、日本がいいです」


「えーーと、すまん。地球には転生できぬ」


「えっ、何でですか! まさか異世界転生なんて、ラノベみたいな話じゃ」


「・・・・大正解!」


「・・・・異世界って、何でまた」


「まあ、色々あるのじゃ。兎に角、後は異世界担当の神に聞いてくれ」


「聞いてくれって理不尽ぃぃぃぃぁぁぁぁぁーーぐほっ」


 突如、ブラックホールの様な物に吸い込まれた。そしてゆっくり目を開けると・・・・そこには見知らぬ人?


「どうも、異世界の神です」


 異世界の神を名乗る若い・・? いや幼い? そこに居たのは、小学生くらいの子供だった。


「・・・・・・・・あのぉー、ここは?」


「えっ? もしかして地球担当の神から、聞かされて無い?」


「・・・・えーと、異世界で転生すると言う事だけは聞いてます」


「まったくアイツ! ちゃんと説明しろや! ・・・・ハアー、あーごめんね。見苦しい所見せちゃって・・・・」


「いえ、異世界の神様の所為では無いですから」


「まあね。じゃあ早速説明何だけど・・・・君は僕の担当する異世界の星アスール。そこで暮らしてもらうから」


「アスール・・・・あの、そこって人間いるんですか?」


「勿論いるよ。それだけじゃなくて、獣人やエルフにドワーフもいるよ。君らの世界で言う所の、ファンタジーな世界だよ」


「マジか」


「マジだよ」


 俺も魔法使いになるの?


「なれるよー。地球の神からは迷惑かけたからサービスしろって言われてるし。スペック高めにしてあげる。あー後、異世界から転生する人にはあげるんだけど。この中から、欲しい物選んで!」


 そう言うと、紙の束を渡された。


「そこの中から選んでくれる? 強力な武器とか、怪力とか強力な唯一無二の魔法とかあるよ」


 へー、じゃぁ早速。・・・・うーん、コレは無いな。こっちは・・・・おっ、コレはいいかも! あっ、こっちも!


 紙に書いてある色々な事柄に目移りしてしまう。


「じゃあ、この強力な雷撃魔法で!」


「えーと、あっ、ごめんそれダメ」


「ダメ?」


「うん、前に来た人が選んでるから。他のにして」


 前に転生した人が選んだ奴はダメなの? あれ?


「あの、前にも転生した人いるんですね?」


「うん、意外といるよ」


「じゃあ今もいるんですか?」


「いや、いないよ。転生は大体百年から二百年ごとなんだ。

前に転生した人は、既に亡くなってる」


「そうですか」


 いいととるべきなのか? それとも悪いのか?


「それじゃあ・・・・こっちで」


「あっ、それもダメ」


 これもかい! それじゃあ・・・・「こっちは」


「それも無理」


 その後、ダメと言われる事二十数回。


「いいのは取られとる!」


 俺は膝から崩れて、地面に突っ伏した。


「ごめんねぇ。ダメなのは抜いておけば良かった」


 ぐう、どうする。このままでは、異世界で残念な人生を送ってしまう事に! くそ! 何か、何か無いか!


 ・・・・・・・・ん? これは・・・・。


「あの、この魔法って?」


「ん? あぁ、それは魔法兵を作り出す事が出来る特殊な魔法だよ。極めれば、凄い強力な魔法になるよ。・・・・多分」


 最後の余計だよ。しかし、この魔法・・存外使えそうだな。


「あの、魔法兵ってのは?」


「えーとね、召喚魔法に該当するんだけど。最も近いのはゴーレムかな?」


「ゴーレム・・・・」


「正確に言うと、疑似精霊なんかに分類されるけどね。それで、それにするの? 確かに良いかもね。今、戦争だらけだから。魔法兵の軍団となれば、かなり役立つかも」


 戦争だらけなの? 俺、戦国時代に送られるの?


「・・・・よし、コレでお願いします。出来れば、オマケになんか他のも下さい」


「えー、いいよ」


 いいんかい! ・・・・言ってみるもんだな。


「はははっ、いや、人気無いのが余ってしまって、どうしたもんかと困っててね。そんなのが余ってる所為で、前に選ばれたのが復活出来なくてさ」


 ん? そう言う仕様なの?


「まあね。この世界で一番偉い神に決められた事だから、変更出来なくて・・・・それで、何を選ぶ?」


「えーと、うん! コレだな! この創造錬金てので・・・・あれ? あのぉー、説明に魔力変換錬金生成てのは?」


「ん、あぁ、魔力を元にして物質を生成する魔法だよ。つまり、魔力を元でに鉄とか或いは金だって作れる様になるよ」


「マジで?」


「マジで!」


「でもそれって、魔力が切れたりとか、魔法効力が切れたら消えたりとかは・・」


「しないよ。魔力を物質化させて、現実世界に存在させる魔法だから、君が死んでも消えたりしないよ」


「へぇー、ならコレでお願いします!」


「了解。それじゃあ転生させるねぇ。赤ちゃんからのやり直し、頑張ってねぇー」



 光りに包まれ、俺の意識は遠のいていく。異世界の神様が、笑顔で手を振っている姿が転生前に見た。最後の景色だった。


 そして現在、俺は赤ちゃんである。


「あぶぶばぁーー。ほーらパパですよー」


「あなたったらもう。あぶぶばぁーー、ママですよー」


 どうやら、そうとうの親バカの家に産まれたらしい。


「「あぶぶぶばぁーーー!!」」


 それ、やめい!!




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