密通
天の入り口に立ったリリスは、正門を守るヨルミエルを見るなり抱きついて言った。
「助けてください、わたしは魔族のリリス。サタンの元から逃げて来たのです!」
迫真の演技に疑うことを知らないヨルミエルは見知らぬ魔性の女の匂いを嗅ぎ、性器は隆々と立った。
「落ち着け、ここまで来れば安全だ。マクベル、ベリアル、しばらくの間留守を頼む」
「わかった」
「……」
ベリアルはそう答え、マクベルは沈黙で答えた。
「なにか言いたそうだな? マクベル?」
「いや、怪しいとは思わんのか? 地獄の軍勢は13億、その女が逃げ出せるはずもなし。ましてや魔族にとっては貴重な女だ」
「見捨てろと?」
「そうは言わん。だがな? ヨルミエル、お前の欠点はその有り余る女への情だ。それはいつか命取りになりかねんとだけは覚えておけ」
「そうだな。不覚にもこの女の色香に欲情した。それは認める。だが、お前が危惧するようなことにはならん」
そう言うとヨルミエルはリリスを抱いて飛んだ。
一路天の幕屋へと。
リリスは抱かれながら魔性の言葉でそっとささやく。
「あなたがヨルミエル? 噂よりは良い男♡」
「茶化すな。俺が醜いのは自認している。やはりサタンの罠だろう?」
「全てお見通しというわけ?」
「俺の主人はクリスティナ内神王だぞ? 神がなぜ俺を愛娘の夫に選んだと思う?」
「抱いてくださいませ、天の最強騎士、断罪天使の男根で、わたしを犯してくださいませ!」
そう言うとリリスはヨルミエルの唇を奪う。
「内神王でさえ知らぬ真実を見せてやろう。ヨルミエルとは仮の名、わたしの真名は……憎悪の天魔王フェイト・グランロード! サタンの知らぬ竜族よりも古い血脈のもの! 神ラエルは無窮の空間で久遠の時をただ過ごしていた」
「わたしの魔性が効いていない? お前は? お前もまた魔性の?」
「全ての魔なるものは! わたしを母として生まれた! リリス。自分の娘に欲情する女はいない! 見よ! 天衣無法の天魔王フェイト・グランロードの男の証を! そして孕め! 産め! 運命の奴隷たるわが獅子の子らの母となるがよい!」
そしてヨルミエル、いや、フェイトは男性器と女性器を兼ね備え持つ裸体を晒した。見る見るうちにぽってりと太った腹の肉が持ち上がって乳房となり、両性具有のアンドロギュヌスに姿を変える。
その顔は言いあらわせぬほどの美女。
ミロのビーナスもかすむ美しさをたたえた微笑みと、狂気故に縦に割れた爬虫類の瞳。
「ま、待って! わたしはいや、あなたの子など欲しくない! サタンを、彼だけを愛しているのよ!」
フェイトのそそり立つ男根がリリスの花園をかき乱す。
一突きごとに絶頂し、萎え、そしてまた絶頂の快楽地獄をリリスは味わう。
「だ、ら、め、っ、て! 死ぬ! いや! や、め! な、い……く……」
意識を失ったリリスをたっぷりと犯すフェイトは、十三時間かけて性交し、気を失いかけて久遠の快楽に全身をゆだねるだけになったリリスを逆に篭絡した。
かつて意識なき神、ラエルに目覚めを促す狂気の快楽地獄を味あわせ、彼を正気に戻したように。
性行為とは聖なる行為、お互いの生気と愛を交換する行為。
これまでの全てはラエルとの打ち合わせ通り。
これでサタンの一族は、『愛』という弱点を持つにいたる。
フェイトは射精し、リリスは同時に666人の運命の騎士を孕んで産むことになる。
おそらく出産時にリリスは死ぬだろう。
そして、妻リリスを失いはじめてサタンは自分の弱点を知るのだ。
その花の名前は、あい。




