変わり者のヴァンパイア
俺はヴァンパイア。そう、吸血鬼ね。もう良く知っているよね。
昔から色々なお話しがある。ニンニクがダメとか、十字架がダメとか、コウモリになるなんて言われたりしている。
まあニンニクは大丈夫だよ。ラーメンに増し増しで食べている。いいだろう、ラーメン好きなんだ。 苦手なのは太陽なんだ……
俺は日本生まれのヴァンパイア。日本っていいよね、夜の遊びには困らない。
今は、夜でも明るいから、俺達にとってはいい時代になった。
カラオケ最高! 漫画喫茶なんていうのもあるから、昼間は入り浸っている時もある。
十字架は? って、あんなただのアクセサリーじゃん。それと、食事、血液しかダメって事はないんだ。何でも食べる!
人間の血は美味いらしいが俺は噛んだ事は無い。夜のお店で働いている仲間は、お客から貰っているらしい、美味い物の味を知ってしまうと……って感じかな? なので、俺は噛まないと決めている。
それに噛まれたらバンパイアになるなんてそれも可笑しいくないか? 何かの未知のウイルスかよ。
夜の仕事は需要が多いから、仲間には夜のお仕事だけして昼間は寝ている奴は多い。だが、俺は、昼も遊びたい! だって人間達は気持ち良さそうにベンチや芝生で昼寝をしている。それを、羨ましいと思ってしまう。あそこで、俺も寝てみたい! 太陽の下で!
だから、何度も太陽に挑戦するが……日の光はやっぱり痛い……今日もコンビニのバイトに来た。夜しか仕事しないバイトです。仕事時間は21時から翌朝4時までのバイトです。
子供の頃は、何故昼間外に出てはいけないのか分からず、出た事があった。勿論火傷した。
だが、今でもまだ諦めてはいない! いつか太陽を克服して芝生やベンチで昼寝がしたい。
笑われてもいいんだ。こんなバンパイアがいたっていいと思うのだが。さて、お仕事お仕事、帰りは薄っすら明るく太陽が上がる。そこを、これ位なら……と足や手を出してみる。家に着くと軽い日焼けになっている。
家族も今は何も言わない。また、やってる……位かな。
いつものように仕事を終わって帰ると、海外の親戚が遊びに来ていた。
親戚の子供が俺と同じように何故昼間はダメなのかと、親を困らせていた。
日光は俺達にとって、命そのものを燃やしてしまう危険なものだから。と言っているようだ。
遊ぶ時はいつも夜の公園、昼間は沢山の子供が遊んでいるのに出られない。誰もが通る道かな?
あっと、子供が飛び出した! 俺はその後を追ってその子を庇う、
皮膚を焦がす痛みが走る。子供を連れて家の中に慌てて駆け込む。子供は痛みで泣いているが、軽い火傷で済んだようだ。
俺達は長寿な為人間の様に子供を授かる事は難しい。なので、子供が無事でよかった。
ほっとする。さて、自分も薬を塗ろうと手足を見る!?
何と、焦げていない! 流石に赤くはなっているが、焦げてない! これは、毎日の成果が出たかも知れない‥‥‥う、嬉しい!
もしかしたら、いつか、太陽なんて怖くないと言える日が来るかも知れないぞ!
親戚の話だと、稀に日光を浴びても大丈夫なヴァンパイアが出てくるらしい。
何百年に1人みたいな感じらしいが、当然長寿だ。不死に近い今の長老もその1人だ。今何歳だ?
まあいいや、後天的にでも日光に耐えられる身体になれるかも知れないのだ。頑張るぞ!
今日も深夜のコンビニでの仕事が俺を待っている。
帰りは、Tシャツで帰るかな? 今は寒いだろう? って、だからいいんだよ。この時期は日光も軟かい。
ここだけの話し、深夜のコンビニバイトって、俺達の仲間、結構多いですよ。
だから優しくしてあげて下さいね。