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ばあちゃんと魔女

 家に着く頃にはもう辺りは真っ暗になっていた。ばあちゃんとご飯を食べながら今日あったことをたくさん話した。


 リンという魔女に会った事、ホウキで空を飛んだ事、そしてリンがばあちゃんが昔会った魔女だという事。


 僕が話す事にばあちゃんは、


 「そうかい、そうかい、それはよかったね」


 と嬉しそうに聴いてくれた。


「そういえば、何でばあちゃんは魔女の名前がリンだって教えてくれなかったの?」


 今日出かける前、ばあちゃんがしてくれた話では魔女と言っていただけで名前は言っていなかった。名前を知っていたなら教えておいてくれても良かったはずだ。


「そりゃ、あれだよほらもう随分昔のことだったから忘れちまってたのさ」


 どこか歯切れが悪い言い方だった。


「ふーんそうなんだ」


「そうだ!明日は、ばあちゃんも一緒にリンのところに行こうよ」


「いや、ばあちゃんはいいよ」


「えーなんで!昔会った事あるなら会いたいんじゃないの?」


「会いたいけどもう会えないのさ」


「それってどういう事?」


「明日その魔女に聞いてみな」


 そう言うとばあちゃんは、そそくさと自分の食器を重ね洗い場へと向かっていった。


 その後、何度か聞いてみたが魔女に聞いてみなさいの一点張りだった。ばあちゃんと魔女の間に何があったのか、何を隠しているのか気になってその夜は中々寝つけなかった。


 翌朝、昨夜寝つけなかったこともあり目が覚めると朝の9時だった。

 ばあちゃんに「もっとシャキっとしなさい」と言われながら遅めの朝食をとる。ご飯と焼き鮭とお味噌汁。何て素晴らしい朝食だろう。

 いつもは牛乳と菓子パンが朝食なのでお米を食べるのはちょっと特別な気がした。


「朝ご飯食べ終わったらリンの家に行ってくるよ」


「じゃあ、おにぎり作ってあげるから持って行きなさい」


 そう言うとばあちゃんは台所へと向かった。


 僕は朝食を素早く食べると身支度を整えリンの家へと向かった。昨日通ったからだろう山道が踏み固められて通りやすくなっていた。すいすい進んで行きすぐにトンネルに辿り着いた。


 このトンネルは昨日と同じで不思議だった。入り口から覗き込んでも出口は全く見えないのに、何歩か進むと途端に出口が見えてくる。


 これも魔法が関係しているだろうか。リンに聞いてみよう。今日はリンに聞きたいことがたくさんある。


 あっという間にトンネルを抜けると昨日と同じように草原が広がっていた。辺り一面が草原のこの場所はどこか違う世界のような気がしてくる。この草原の丘の上にリンの家はある。

 

 風が吹き草原がなびく、草がすれ合う音が心地いい。少し歩くとリンの家が見えてきた。そして僕は駆け足で丘を登りリンの家の玄関に手をかけた。


 


 




 

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