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18/27

18.六日目:変化

本日更新 3/3話目

 六日目


 本日の朝食はホカホカのごはんだ。この前スイートポテトを作ったけど、ダンボールにはさつま芋がまだまだどっさりと入っていたので、今日は『さつま芋の炊き込みご飯』にしてみた。


 台所の付喪神さんたちにレシピを知ってる? と聞いてみたのだけど、どうやらうろ覚えらしかったので、アプリを見ながら作ってみる事にしたのだけど……。


「あ、意外と簡単そう! 私がお芋を洗うから、二人は1.5センチ角……えっとね、これくらいに切ってくれるかな? あ、皮はそのままで切ってください!」


 と、包丁さんとまな板さんにタブレット画面を見せ、お願いする。すると包丁さんは、トコトン! と了承の合図にその柄でまな板さんを叩いた。


 そこからはもう簡単。ひたすら綺麗に洗い、切ってもらったさつま芋を水の入った米の上に乗せ、塩を振ってひと混ぜ。あとは竈神さんにお任せするだけだ。



「あ、上手くいってそう……?」


 そろそろ炊けそうなお釜からは、ご飯のほんのり甘い優しい匂いと、さつま芋のホクホクとしたあの甘い匂いが漂ってきている。良かった、美味しく炊けてそうだ。


 あとは炊けた後にゴマを振るのを忘れないようにしなければ。ゴマがあるとないとでは美味しさが変わってしまう。そう、あの香ばしさが味を締めてくれているのだ、きっと。


「炊飯器もあるけど……やっぱり竈神さんのご飯は美味しいもんね!」


 パチパチ! と竈の小枝が爆ぜた。これは嬉しい時の竈神さんの定番仕草だ。


 ――それに、炊飯器じゃご飯が足りないしね。

 最近子狐ちゃんたちがやけに食べたがるので、沢山炊けるお釜でないと間に合わないのだ。銀もよく食べるし……。


「成長期なのかな?」


 もしかしたら()()()()()()()()、沢山食べないといけないのかもしれない。


 

「おお、良い匂いだと思ったら、炊き込みご飯に豚汁か! ああ、小松菜のおひたしも良いな。柚子の香りがまた良い……」

「それ庭になってた柚子なの。刻むとほんと香りが立つよね」


「ではいただこう。……ん? 美詞、豚汁の具が多すぎやしないか? 随分と重い……」

「うん、みんなよく食べるから具沢山にしたの。お代りもあるからいっぱい食べてね! あ、子狐ちゃんたち、フーフーを忘れずにね!」


 毎食のことなのにがっついて火傷をする子がいるので、これだけは毎回しつこく言うようにしている。毎食だけど、八匹もいるのできっと代わる代わるやっているのだろう。多分。


 ずず、と熱い豚汁をすすると、擦り下ろした生姜の良い香りが鼻に抜けた。そして銀杏切りにした大根とニンジン……うん、味もよく染みてる……!


「美味しい~! は~あったまるね」

「そうだな。このゴボウも甘いな? 美味い」

「ね! あ、こんにゃく発見。私好きなんだよね……こんにゃく……っ、あちっ」


 子狐ちゃんたちがチラッと私を見ていた。そして一匹が「ふーふーだよ」と息を吹く仕草をして「きゅきゅっ!」と笑う。

 ああ、私の大人としての威厳が……! 毎食注意しているのに自分でやってしまうとは。


「お、里芋も入れたのか」

「そう。いつもおばあちゃんが入れてたでしょう? あと沢山あったしね」


 ああ、しっとりトロッとしていて美味しい。もう少し煮込めば形が崩れてお味噌が染みて、それもまた美味しくて好きだ。


 座敷に並ぶ銀に子狐ちゃんたち、そして「美味しくできたね」と賑やかに踊っている台所の付喪神さん――。


「あれ?」


 私は少しの違和感に箸を止めた。


「どうした、美詞」

「あ、うん。なんだか……今日はみんないつもより静かだなって……」


「……そうか? ああ、今日は雪が降っているから音が吸われているのだろう」

「そうなんだ……?」


 カタカタ、トントコ。付喪神たちの奏でる音楽は確かにいつも通りに聞こえてはいる。だけど少し元気がないように感じるのだけど……それは私だけのよう。

 銀も子狐ちゃんたちも、そのままいつも通りに食事を続け、これまたいつも通りに綺麗に平らげた。


「ごちそう様でした」

「ご馳走様でした」

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