表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無知な勇者様  作者: 黒猫(ヤマト)
第六章:ハワードの過去
6/11

「誰この少年…」「ハワードさんです(驚)」

今から話すのは五年前のお話……。とある一人の少年が剣の稽古をしていた。その少年とは――





「もっともっと強くなって“師匠”に褒めてもらう!はぁ!でぇぁ!」




少年とはハワードの事である。この時のハワードは十六歳であり、剣術もまだまだ未熟な時の頃である。




「おやおや、ハワード様。まだ稽古をしていたのですか。無理はいけませんぞ?」





ハワードの前に現れたのはクリス達の傷を癒してくれたジャンゴだった。





「ん?ジャンゴか。無理なんかしてないさ?そうだ!師匠を見なかったか!」




二年前のハワードはどうやら口調がそこまで悪くないらしい。簡単に言えば、クリスみたいだ。師匠とは誰なんだろうか?




「むぅ……見かけてませんな。出掛けていらっしゃるのではないかな?」




姿を見ていないので、何となく予想を言うジャンゴ。ハワードは納得したように頷く。「そっか……なら稽古を辞めて探しに行こうかな」




「ハワード様、一人では危険ですのでペイジとベイジを護衛させましょう」




ペイジとベイジを覚えているでしょうか?第三章に出てきたルーダ城の門番兵士である。




「遠くまで行くつもりはないんだけどなぁ~……まぁいいか。あ、門番がいなくなるけど、どうするんだ?」




「ホッホッホ、いやはや……考えてませんでしたな。では、私が変わりにしましょう」




平和な日々が続いてるこの世界なら例えジャンゴが門番でも大丈夫だろう。




「ジャンゴが門番?似合わないなぁ…まぁいいや、とりあえず行ってくるよ!」




「ハワード様は相変わらず元気ですな。先に行っててくだされ。老人は歩いてゆきますじゃ」




ハワードはルーダ城の出入口に向かって走って行った。ジャンゴも同じくペイジとベイジがいる所までゆっくりと歩いて行く。




「やぁやぁ!働いているかね、双子の諸君!」




ハワードは門番まで来て、ペイジとベイジに声をかける。




「ぁん!なんだ、ハワードか。へっ…暇で暇で退屈だぜ」




「無礼だぞベイジ!何度言えば分かるんだ。申し訳ありません王子」




この双子は五年後と全く変わっていない。





「ペイジもそんなに固くならなくていいよ。あのさ、二人に聞きたいんだけど、師匠を見なかった?多分出掛けたと思うんだけど……」




ハワードは師匠についてペイジとベイジに聞いてみた。




「師匠だぁ?あぁ~アイツか……出てってないぜ。城の内部にいるんじゃないか?」




「そうですね、出れば分かりますから。すみません王子、私達は見かけてません」




双子は師匠を見かけていないとハワードに話す。すると、ジャンゴが遅れてやっときた。




「う~ん……だとしたら外に出る意味がないな。あっ、ジャンゴ」




「やれやれ、やっと追いつきましたぞ」




歩いてきたらそうなるだろう。ハワードは師匠が外に出てないことをジャンゴに話した。




「ジャンゴ、師匠は外に出ていないんだってさ。つまり……城の中にいるって訳だ!」





推理した結果を言い出すハワード。さっきベイジが内部にいるんじゃないかと言った筈だが……ここまで来たジャンゴは無駄足だったようだ。




「うーむ……外に出てないのであれば、王座にいるかも知れませんな?」




「なるほど!王座には父さんと母さんがいるからな!よし、早速行ってみるよ。ありがとなジャンゴ!」




そう言って、ハワードは父と母がいる王座に向かって走り去っていった。……この時代ではまだ父母がいるようだ。




「ジャンゴ様、少し疲れているように見えますが大丈夫ですか?」




「あんまり無理はするなよ。歳なんだからさ?」




「な、なぁ~に……少し歩いただけですじゃ。まだまだ若者には負けんよ……うぐ」




ジャンゴは腰を押さえる。双子と老人はしばらく雑談をするのだった。




「あぁ~広すぎる……ルーダ城って無駄に広いよなぁ~」




ブツブツと呟きながら王座に向かって走っている。そして、ようやく王座の前まで来た。




「この奥にきっと師匠がいるはず……行くぞ。父さん!母さん!失礼します!!」




ギィィィと大きな扉を開け、ハワードは声をかけてから王座の中に入った。




「あら、どうしたのハワード?」




「また城の中を走り回っていたんだろう?汗でベトベトじゃないか」




ハワードに声をかけた人物はハワードの父、“フリード”と母の“マリア”だった。




「うっ……その通りだけど……あのさ、師匠を見なかった?って師匠!!」




師匠と呼ばれている人物はハワードの父と話をしていたらしい。師匠である人物がふっと振り向いてハワードに声をかけた。




「何だ、私を探していたのかハワード。私に何の用かな?」




「やっと見つけた!師匠、僕にまた特技を教えてよ!」




ハワードは特技を教えてもらう為に師匠を探していたようだ。




「特技か……俺も若い時はよく使ってモンスターを倒していたな。教えてやってくれないかファンダル」




なんと……ハワードの師匠とはファンダルの事であった。もう一度説明しよう……太刀を持った人物の名は“エルサレム・ファンダル”…ご存知、五年後では大魔王の部下である人物だ。




「やることがあるのだが……まぁいいだろう。ハワード、先に中庭で待ってるんだ」




やることとは一体なんだろうか……ハワードはニコニコと可愛らしい表情で頷いた。




「やった!では、先に行って待っていますね!」




ハワードは一礼して王座から出ていき、喜んで中庭へいった。




「やれやれ……さて、私達は部屋に戻るとしよう」




「そうですね?ファンダル、ハワードを頼みましたよ」




後の事はファンダルに頼み、父と母は立ち上がって裏の階段に行き、寝室へと上がっていった。




「計画が延びそうだな………フフ、まぁいいだろう」




不気味な黒笑い……ファンダルはスタスタと中庭に向かって歩いていった。

一足先に中庭に着いたハワードはワクワクして待っていた。




「どんな特技を教えてくれるのか楽しみだなぁ…あっ!」




ファンダルが来たので、ブンブンとはしゃいで手を振るハワード……なにこのハワード……現代とは比べ物にならないくらい可愛い行動をしている。




「待たせたな。早速だが、剣を抜くんだハワード」




ファンダルは腰にかけている剣を抜くように言った。ファンダルも太刀を抜く。




「えっ?特技を教えてくれるんじゃ……あっ!手合わせですか!」




「フフ……よく分かっているじゃないかハワード。本気で私に向かってくるんだ。いいな?」




ファンダルは太刀を高く持ち上げるような構えをする。ハワードはコクンと頷く。




「よ…よぉーし!相手は師匠だけどやれるだけやってやる!でぇぇぃ!」




ハワードはファンダルに向かって走り、剣を上から降り下ろした。が、簡単に受け止められる。




「どうした?もっと力を出すんだハワード。お前の腕はこの程度じゃないはずだ……手本を見せてやろう」




ハワードの攻撃を受け止めたファンダルは強く押しきりだし、ハワードを容赦なく吹き飛ばす。




「あぐぅ……ッ!?き…今日の師匠は厳しいな……まだまだ!」




壁に激突。吹き飛ばされたハワードは剣を地面に刺して立ち上がった。




「フフフ、いいぞ……その勢いで私に向かってくるがいい」





ファンダルは楽しんでいるようだ。ハワードは再び構えて何かを呟きながらファンダルに向かっていく。





「まだ上手く出来たことはないけど、過去に師匠に教えてもらった特技を使うしかない…行くぞ!“電光石火”!うぉぉぉー!」




まだ完璧に使いこなせてない特技を使いだしたハワード。その名の通り、素早い動きでファンダルに近付き鷹のような速さで剣を横に振るう。




「フフフ……やはり使ってきたか。だが、まだまだ甘いな」




予想をしていたファンダルはハワードが使った電光石火を上回る速さでハワードの背後に立つ。太刀をハワードの背中に向ける。




「うっ…簡単に避けられた!?」




ハワードの頭から一滴の汗がポロリと落ちる。




「これまでだ……。ハワード、今のお前では私に触れる事すら無理だ」




厳しいことを伝える。が、これが師匠というものだ。ファンダルは太刀を仕舞う。




「僕はまだまだ未熟者ですね…。もっと修行して師匠に褒めてもらえるよう頑張ります!」



ハワードは剣を仕舞い、両手を力強く握り締めてまた新たな目標に向けてやる気を見せた。




「あぁ…期待しているぞ。では、私は用事があるので失礼する。そうだ、私に見せた電光石火……なかなか良かったぞ」




そう言ってファンダルは何処かに行ってしまった。




「い…今、褒められたんだよな……やったぁー!」




滅多に褒められた事がないのでかなり嬉しいようだ。




「っとと……師匠にやられた傷が痛むや。今日の訓練はこれぐらいにしておくか」




ハワードは服についた汚れを振り払い、中庭から自分の部屋へ向かって歩いていった。そして時が流れ……深夜になった。




「うーん……うぁぁー!……ムニャムニャ」




ハワードは部屋でぐっすりと眠っている……寝相が悪いようだ。そのころ師匠…または大魔王の部下、ファンダルは計画を進めていた。




「フフフ……あと1日だ……あと1日で待ちに待った時が訪れる……フフフ……フハハハハ」




ファンダルは中庭である事をしていたのだ。すると、ファンダルの背中から二つの黒い翼が出た。これは一体……




「素晴らしい……。私は更に力を得たのだ。全てはあの方の為に………来たか」




ファンダルはいきなり太刀を構えだした。




「そこにいるのは分かっている。私の正体は明日の夜中に全て明らかになるんだ……逃げも隠れもしない。出てくるがいい」




ファンダルは太刀を抜き姿を消している人物に太刀をを向けた。そこに現れたのは…





「クッ…気づかれいたか…だがもう遅い!皆の者!弓(矢)を構えるのだ!」




姿を現したのはハワードの父だった。待機していた弓兵士達がファンダルに向けて弓を構える。




「友よ、その様子だと前から気付いていたようだな?……いつからだ」




「あぁ……今から丁度一週間前だ。お前が城から出ていった時の事だ。俺は久々に外に出て散歩をしていた…。だが、俺は妙なところを目撃してな?お前とモンスターが話していたところを見たんだ。その日から俺はお前を警戒するようにしたんだ。……何故だ!何故、悪を選んだんだ!」




王様だってたまには城から出ることもある。ハワードの父は目から涙が出ている。それもそうだ、親友である彼が悪に染まってしまったからだ。




「なるほど……見られていたのか。だが、もっと早く気付くべきだったな?明日にはこの城は跡形もなく崩壊するだろう……フフフ」




悪になった事を話さず不愉快な事を言う。暫くして、接近兵達がぞろぞろと集まってきた。




「へっ…残念だがお前の思い通りにはならない。“中庭の地面”にモンスターが大量に出てくる種を植えたんだろう?何故、知っているか分かるかファンダル?それはな…一匹だけモンスターが出てきたんだよ。お前がいなかった時にな!」




そのモンスターは兵士達がたまたま出てきた所を目撃し、倒していた。まだ地面の下には大量のモンスターがいる事が分かったハワードの父は兵達に“隈無く”中庭の地面を調べるように言ったのだ。その時はファンダルは二~三日の間、何処かに出掛けていたのだ。




「バカな……一匹だけ出てきただと?……まさか!?」





「そのまさかさ?地面の下には一匹もモンスターがいない。全て我々の手で駆除した。お前の計画は失敗だ!」





すると、ハワードの母が旦那に何かを知らせるような勢いで走ってきた。数百人の兵士に囲まれているファンダルは怒りを爆発させた。




「あ、あなた!ハワードが!」




「マ、マリア!?来るなと言ったはずだ!!」





「丁度いい……親友よ?ここまで私を怒らせたのは生まれて初めてだ。お前を許すわけにはいかないな……夫婦(兵士達)揃ってあの世に行くがいい!」




ファンダルは空高く飛び、右手に溜めていた魔力で何か“丸いもの”を作り出した。




「あ…あぁ…そんな…師匠がモンスターだったなんて……嘘だぁぁぁ!!」




なんと、あまりにも騒がしいので、目が覚めたハワードは中庭にやってきていたのだ。




「なっ!?ハワード!!くっ…全兵士達よ!(ファンダル)に矢を撃ち放て!!」




弓兵士達はファンダルに向けて矢を放った。が、左手に持っている太刀で全ての矢を弾き飛ばしたのだ。




「無駄な事を……消えるがいい!!」




ファンダルは魔力で作った大きな丸い物体を地面に投げた。




「「「う…うわぁぁぁー!!」」」




中庭にいるルーダ兵達は慌てて逃げ出すが逃げ道はない。




「こ、この俺の命なんてどうでもいい……息子は……息子だけは死なせる訳にはいかない!伏せろ…ハワードォォォ!!」




「えっ……」




フリードは急いでハワードに近付き、己の体を盾にしてハワードを守りだしたのだ。そして数分後……中庭の辺りはメチャクチャになっていた。




「残念だが……計画は失敗に終わった。一人残らず全滅させる予定だったのだが……問題ない。私にはもう一つの計画が残っているからな……ぐぅ!?何だ…頭が割れるように痛い……くっ!」




急にファンダルは頭を押さえ、なにか苦しんでいるように見えた。そのままルーダ城からバサバサと飛び去っていった。




「う…うぅ……」




ハワードはゆっくりと目を開ける。だが、ハワードにはあまりにも残酷な風景を見てしまう。そして無惨な姿になった父がハワードに声をかける。




「へへ……無事…だった…か…安心した…ぜ」





ハワードを必死に守ったフリードは体がボロボロになり、ハワードから離れて横にぐったりと転がる。




「と…父さん!?そんな…僕をかばって…すぐにジャンゴを呼んでくるよ!」




ハワードは立ち上がり、どこにいるか分からないがとにかくジャンゴを呼びに行こうとする。




「ま……待て…ハワー…ド…母さんは…ぶ、無事か……」




「えっ!?母さんは……何処にもいないよ!?ね…ねぇ!!母さんは何処に行ったの!?」




ハワードは呼びに行くのを辞めて、母親のマリアを探すが、どこにも見当たらなかった。




「そっ…か…畜生……何があっても…守るっ…て……約束………した……のによ……」




ハァハァと息が荒い……酷い状態だ。フリードの目から涙が流れている。




「ウ、ウソだ……母さん!母さーーん!!」




ハワードは母親を必死に呼び掛けるが返事がない…。マリア(母)はファンダルが放った魔力で跡形もなく消えてしまっていた。




「ハァ…ハァ…ハ、ハワード……いいか……よく…聞くんだ…ハァ……お前に…言って……なか……った事が…ある。ファン…ダルは……ハァ…ファンダルは…俺の…たった一人の…親友だ……奴は…俺達を……ハァハァ…何か……理由が……あるはずだ……俺……には……わ……分かる……もし……もう一度……ハァ…会った……時は……理由を……聞くんだ……何も答えなかった場合……奴は………ぐぅぅ」




「と…父さん!喋っちゃ駄目だよ!後で聞くから…後で聞くから今は何も言わないで!!」




涙を堪えるが、あまりにも悲しいことが続き、耐えれずにポロポロと涙が出ている。ハワードは父の手を握る。




「へへ……ジジイ……城は…アンタに……任せた……ぜ…………ハ、ハワード……強く……なれ……よ」




フリードの体から力が抜ける……亡くなってしまった。




「と、父さん!!ねぇ……返事をしてよ!?嫌だよ…僕を一人にしないでよ……うわぁぁぁぁぁー!!」




ハワードは大きな声で叫んだ後、ショックで気絶してしまった。そして…ジャンゴ達が急いで中庭まで走ってきた。




「ハワード様!おぉ…なんて事だ…フリード様が…ぬぅ…ペイジ、ベイジ!生きている者がいるかもしれん…すぐに運ぶのじゃ!」




ジャンゴはハワードを抱え、腰の痛みなど気にせず、すぐに救護室に向かった。




「わ、分かりました……。まさか……こんな事になるなんて……クソッ!」




「嘘だろ……フリードさん……ち、畜生!何なんだよ!なんだってこんな!!」




フリードを誰よりも尊敬していたベイジはフリードの死体を見てしまう。怒りを堪えてジャンゴに言われた通り、ペイジと一緒に生きている人を捜すのだった




そして、あの悪夢から時が流れて二日。ハワードはジャンゴの回復魔法のお陰で目が覚めた。




「……………………」




「おぉ!目が覚めましたかハワード様!ご無事で何よりです」




ジャンゴは丸二日間意識がなかったハワードが目覚めたので、安心したようだ。しかし、ハワードの様子がおかしい。




「ジャンゴ……僕…いや、俺はもっと強くなる。ファンダルを探しだして何故、裏切ったのかを聞き出す…父さんとの約束を果たすよ」





性格がガラッと変わるハワード。眠っている間に夢の中で起こったことを整理していたのだろうか……父親と全く同じ喋り方になっていたのだ。




「やはりあの方が……分かりました。私はいつまでも貴方に従います」




ジャンゴは立ち上がり胸に手を当て、頭を下げる。




「ありがとうジャンゴ………ごめん、ちょっと一人にしてくれないか…。あと、王については明日話すよ」




やはりまだ元気がないハワード……無理もない。




「承知しました。では、私はこれで………ハワード様、お時間があれば中庭にもう一度行ってみてください。フリード様、マリア様(その他)のお墓を立てました。……失礼します」




そう言ってジャンゴは救護室から出ていった。




「そっか……母さんも……泣いてなんかいられない。俺は強い男になる…そう教えられたんだ。父さんと……ファンダルに。中庭に行ってみるか」




ハワードはベットから降りて、救護室を出て中庭へ向かった。




「兵士達がかなり減ったな……死人が多すぎる……」




ペイジとベイジはあれから寝ずに生きていた数人の仲間を運び、墓を作って、中庭を綺麗にしていた。




「そうだな……。けどよ、俺達がいるじゃねぇか?門番でも兵として全力でルーダ城を守り通そうぜ?」




「お前の言葉に救われた気がするよ……ん?」





暫くして、ハワードが墓を見にやってきた。




「あっ…ハワ―――」





「待てベイジ。今はソッとしておくんだ……一番辛いのは王子なんだ」




ペイジはハワードを気遣ってベイジを止める。




「そ、そうだったな……。ここにいると色々と邪魔な気がしてきた……行こうぜ」




ペイジとベイジはハワードをソッとしておく事にして、中庭から去っていった。




「……父さん、母さん」




ハワードは父と母の墓の前に立つ。そして、先ずは母のマリアの墓にこう伝えた。




「母さん……僕があの時飛び出していなかったら今頃……母さんは……ヒック……本当に……本当にごめんなさい」




悲しみに耐えれず、ハワードは泣いてしまう。目を擦り、涙を拭いて次は父のフリードの墓に目線をやり、こう伝えた。




「父さん……僕……いや、俺さ?父さんみたいな性格になる事にしたよ。前に言ったよね?【僕という口癖はやめろ!!男なら俺と言え!】って……だから俺は今後『僕』という言葉は絶対に使わない事にする。……それと、亡くなる前に俺に言ったよね?【強くなれ】って?父さんの期待に応えるように俺……頑張るよ。そして、20歳を越えたらさ……旅をする事に決めたよ。理由はたった一つ……ファンダルに会って何故、裏切ったのか聞き出す為………必ず見つけ出して見せるよ。……父さん、母さん……天国でも幸せに……」




ハワードは右手を胸に当て、首を上に上げて空を見た。涙を流してハワードは父と母に言った事を神に誓ったのであった。




第六章:ハワードの過去、終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ