夫婦喧嘩?
「お待たせ、朔空。」
「よし、朝ご飯行こっか!」
朔空と並んで食堂に向かう。さりげなく隣を見ると、そこには驚くほど、端正な顔が。かなり整ったち小さなお顔に、程良く締まった身体。成る程、こりゃ王子と騒がれるのも当然だ。だって、綺麗なんだもん。多少馬鹿でもそれぐらい許容範囲か。
私の視線を感じたのか、朔空に
「もー、俺に見惚けるのも仕方ないかもだけど、あんまり見すぎると見物料請求するよ?」
と言われた。お金払いたくないし気を付けよう…。
「おはよー、理世ちゃん!朔空ちゃん!」
食堂に着くと、沢山の子供たちに声をかけられた。彼等も、何かしらの事情により、この施設に引き取られた子達だ。
「みんな、おはよう!」
「みんな、何回言ったら分かるの?俺、男の子…。だから、ちゃん付けはやだ!」
「やだっ!て、子供かっ!」
後ろの方からクスクス笑い声が聞こえた。
「あらー、二人とも仲良いわねー。」
「…荒木さん!」
ベテラン従業員・荒木さんだ。
「んー、そうだよ。俺達、仲良しなのー。」
そう言いながら、朔空が擦り寄ってくる。
「ちょ、朔空、近寄んないでよ!気持ち悪い。」
「リセ、酷い…。」
朔空が顔を両手で覆い、泣いたふりをする。折角格好いいのに、そういうところが残念なんだよ、朔空。
「クスクス。ほら、二人とも夫婦喧嘩してないで、早く食べちゃいな。」
「荒木さんっ!私達夫婦じゃないからね!?…はーい。いただきます。」
モグモグ食べながらふと思った。ここが危ないってもしかして、荒木さんが殺人鬼だったとか?それか、食事に毒が入ってたり…。