38、覚醒! エターナルフォース!
四天王のひとり、土の王、ゴロロイン。敵は巨大化し、その大きさはなんと118.5m!
それだけ巨大な相手ならと、俺はエターナルブレイカーを放ったが、敵はバリア装置を開発していて、エターナルブレイカーを消し去ってしまった!
「くっ! エターナルブレイカーが、きかないなんて!」
「ふはははは! この俺を怒らせた事を、後悔するがいい! おそらくこの姿になってしまったからには、もう元には戻れん。内政ごっこは終わりだ。ならば! お前達を倒して、力でこの国を征服するのみ!」
「さすがです! ご主人様!」
いつの間にか復活していたケモ耳幼女が、ゴロロインのそばではしゃいでいた。
「アリーシャか」
ゴロロインは手を伸ばし、ケモ耳幼女をにぎって持ち上げた。
「ご、ご主人様?」
「アリーシャ、俺とひとつになろう」
そう言うとゴロロインは、ケモ耳幼女を口の中に放り込んだ。
「ご、ご主人様あああああああああああ!!」
ゴロロインはケモ耳幼女を飲み込んだ。
「あ、あんた、何を?」
「ふははは! 敵を倒せない奴隷に用は無い。ならば、俺とひとつになる事こそ、本望だろう? ああ、おいしかったよ、アリーシャ」
「……狂ってる」
こいつは、自分を慕っていた仲間を食ったのだ。食われたあの子がどうなるかはわからないが、無事では済まないだろう。
「やっぱり私、あんたの事、嫌いだわ」
「俺もだ! このやりとりも2回目だな!」
対峙する俺とゴロロイン。だが、必殺技のエターナルブレイカーがきかないとなっては、どうすればいいのか?
「エターナルキルで、切りまくるしかないわね」
俺はエターナルのキルモードを発動させる。全ての物を切り裂く、エターナルキル。エターナルが赤く染まっていく。
「はあああああああ!」
俺は敵に向かって走り、敵の足を切り裂く。
「無駄だ!」
その前に、敵の鉄拳が迫ってくる。
「くっ!」
俺は後ろに飛びのくが、思った以上に敵のスピードが速い。これでは近づけない。
「ど、どうすればいいのよ!」
「落ち着いてユミル、やつはバリア装置と言った。なら、どこかにその装置があるはずだ。それを壊せば」
「あ、そうよね!」
俺は敵をにらんで、バリア装置の場所を探す。
が、パッと見では全然わからない。全身が岩におおわれている。
「ああもう! ちょっとあんた! バリア装置はどこにあるのよ!」
「それを言うと思うか? この脳筋の馬鹿者が」
「なんですって!」
「大体、場所がわかったとして、俺が装置を簡単に壊させると思うか? 今も近づく事すら出来ないくせに」
言われてみるとそうだった。相手の身体は大きく、スピードも速い。近づいて攻撃すら出来ない状況だ。たとえバリア装置の場所がわかったとしても、それを破壊できるのだろうか?
「ユミル!」
俺が悩んでいると、城からデュノス達がやってきた。
「みんな! 無事だったのね!」
「ああ、こいつが敵の本当の姿か!」
デュノスが敵を見上げる。こうして見ると、いつも大きなデュノスが小さく見える。
「おのれ、本当に脱出してきたのか。うっとうしいやつらだ!」
ゴロロインはデュノス達の方に振り向くと、口から光線を放った。
「ぐああああああああああ!!」
「や、ヤラレーーーーーーーーール!!」
光線はヤラレールの身体を貫いた。カマッセの叫びが響き渡る。
「リーノ!」
「ああもう! 私の回復魔法は、ユミッチほど万能じゃないんだけど!」
リーノが急いでヤラレールに回復魔法をかける。
「破砕旋風斬」
デュノスが斧を振り回し、たつまきを発生させる。
たつまきがゴロロインを包み込む、だが。
「無駄無駄無駄あああああああ!!」
たつまきがアッサリと吹き飛ばされる。
「な、なんだと!?」
「デュノス! 敵はバリア装置を持っているの! 私のエターナルブレイカーもきかなかったわ!」
「え、エターナルブレイカーがでござるか!?」
俺の言葉に、みんなが驚く。
俺の必殺技も、デュノスの必殺技も通用しないだなんて、ほんと、どうすればいいんだよ!
「わかったよユミル、あそこだ!」
そう言って、クリーナが敵の右肩を指す。
「あそこって、クリーナ、何かわかったの?」
「今デュノスの技をはじいた時、敵の右肩辺りが光ったんだ、多分、あそこにバリア装置がある!」
「そ、そっか! なら、あそこを狙って……」
俺はエターナルを構える。
だが、いざ攻撃しようとした時に、固まってしまった。
「……ねえ、どうやってあそこを攻撃するの?」
俺の言葉に、みんな無言だった。
高い。肩まででも100mくらいはある。どうやってあそこまで行けと言うのか。
「ユミルさん! あなたのエターナルウイングなら、あそこまで飛べるのでは?」
「うっ」
キミッチがこちらを見てくる。
エターナルウイングであそこまで飛ぶ? 確かに出来なくはない。けど……
「た、高い所、怖いんだけど」
「ああ、ユミル殿は高所恐怖症でござったな」
「そ、それじゃあどうすれば?」
何か他に手は無いか? そう考えていると、敵が攻撃してきた。
「ふははは! 何を考えているのかしらんが、貴様らには勝ち目など無い! この俺にたたき潰されるのだ!」
敵の鉄拳が地面をえぐる。
その衝撃で、俺達は吹き飛ばされる。
「ああもう! わかったわよ! とっとと決着をつけないと、街がめちゃくちゃになっちゃうわ!」
俺は覚悟を決める。こうなったら高い所怖いとか言ってられない。
「それじゃあ、私がエターナルウイングであそこまで飛んで攻撃するから、みんな援護よろしく!」
「待って! ユミル、私を連れて行って欲しいんだ」
クリーナが待ったをかける。
「クリーナを?」
「うん、やつの岩の皮膚は固そうだ。なら、私の鎧通しで、貫いてやるさ」
「私のエターナルキルでもいいと思うけど?」
「ユミル、高い所に飛んで、ちゃんと正確に攻撃できる?」
「うっ」
無理、かも。なんか今日は俺、良いとこなしだな。
「なら私も行きます! ユミルさんを守らないと!」
「じゃあ拙者も!」
「重量オーバーだって!」
ロミリアちゃん達も一緒に行くというが、さすがに何人も抱えて空は飛べない。
俺はクリーナを抱えて、エターナルウイングを発動させた。
背中から、光の羽が生える。
「それじゃあ、いくわよ!」
俺はエターナルウイングをはばたかせ、飛翔した。
「何をする気かしらんが、無駄だ! この俺には、誰も勝てん!」
ゴロロインの鉄拳が俺に迫る。
「破砕衝撃斬」
デュノスが斧をふるい、その衝撃が鉄拳をとらえる。
「ちっ! 邪魔をするな!」
ゴロロインの口から、再び光線が放たれる。
「させません! 絶壁!」
ロミリアちゃんの絶壁が光線を防ぐ。みんな無事の様だ。
「この、貴様らあああああああ!」
「粘着砲!」
ランランが粘着砲を放ち、敵の足を止める。
「な、なんだ! 動かない! おのれ! 邪魔ばかりしやがって!」
そうしてみんなに気を取られている間に、俺は敵の右肩付近まで来ていた。
「それじゃあ、クリーナ!」
「ああ!」
俺はクリーナを敵の右肩に向かって離そうとする。
が、ゴロロインがそんな俺達に気付いた。
「なんだ? まさかバリア装置に気付いたか! そうはさせるかあああああ!」
ゴロロインは再び口を開き、俺達に向かって光線を放った。
「死ねええ! 三本角おおおおおお!!」
「ユミル!」
「……っ!」
俺とクリーナに、敵の光線が迫る。
さすがにこれを食らったら無事では済まないだろう。
だが、負けるわけにはいかない。
ロイの事を信じていたあの子を食べたこいつを、仲間達を牢屋に入れたこいつを、俺達を罠にはめたこいつを!
何より、この期に及んでまだ俺の事を、三本角って呼んでくるこいつを、許さない!
「私のこれは、トリプルテールだって言ってるでしょうがあああああ!!」
その時、俺のトリプルテールが金色に輝きだした。
俺の頭の中に、言葉が浮かんでくる。
「エターナル・フォース!!」
俺がそう叫んだ瞬間、金色のオーラが、全身からあふれ出した。
金色のオーラは、敵の光線をはじき、消滅させた。
「な、なん……だと?」
ゴロロインの動きが止まる。
その隙に、俺は一気に近づき、クリーナを敵の右肩めがけて放った。
「クリーナ! あとはよろしく!」
「任せて! はああああああ!!」
クリーナの一閃が、敵の右肩を貫いた。
「鎧通し」
クリーナの一撃が決まり、敵の右肩は粉砕した。
「ガウアアアアアアアアアアアア!」
これで敵のバリアは消えたはずだ。後は……全力で倒すだけ!
俺はクリーナを回収し、みんなの所に降りていく。
気分がハイになっているからだろうか? いつもより、降下するのは怖くなかった。
「みんな離れてて、これからこいつを、ぶっ飛ばすから!」
みんなが俺から離れる。それを確認し、俺は再び、エターナルの力を解放する。
「エターナル、全力解放!」
エターナルが金色の輝きを放つ。先程と違うのは、俺自身も金色のオーラを放っている事か。
「全身に力がわいてくる、いける。これなら……あいつを倒せる!」
俺はエターナルをふりかざし、あらたなる必殺技を叫んだ。
「エターナル・フォース・ブレイカーああああああああああ!!」
金色に輝くトリプルテールから光が発動し、エターナルへと集まり、閃光が敵に向かって放たれる。
敵が金色の光に包まれる。
「グアアアアアアアアアアアアアア!!」
そして、爆発し、閃光は空へと舞い上がった。
「バカな! 俺は……俺は、内政チートで成り上がって、ハーレムを、成功を、王に、神に……」
ゴロロインは光の中に消えていった。
残されたのは、巨大なクレーターだった。
「ゴロロイン、あんたがやった事、全部が間違いじゃなかった。少しやり方を間違えただけなのよ」
俺は跡形もなくなった敵に対して、そう告げた。
「ユミル」
デュノスが声をかけてきた。
「デュノス」
「ユミル、さすがにこれは、やりすぎだ」
「えっ?」
あらたなる技、エターナル・フォース・ブレイカー。
それはこの国の半分を、クレーターに変えていた。
どうやらやり方を少し間違えたのは、俺も一緒の様だ。
「や、やりすぎちゃった?」
「バリアを壊したんだから、普通のエターナルブレイカーでよかったと思う」
クリーナにも突っ込まれた。
「でも、お疲れ様。がんばったね、ユミル。それに……涼も」
「あうっ!」
クリーナがまた俺の事を涼と呼んでくる。どうもあれから、クリーナに涼と呼ばれると照れてしまう。
「な! 何ですか今のは!」
「く、クリーナ殿、一体何があったのでござるか!」
ロミリアちゃんとランランが、いち早く反応した。
「ふふふ、内緒。ね? 涼」
「だからそれ、やめてってばー!」
クリーナが俺をからかってくる。
俺は恥ずかしさのあまり、気付いていなかった。
この時、ロミリアちゃんが、ランランが、そしてデュノスが、殺気を放っていた事に。
敵を倒したが、戦いはまだ、終わっていなかった。
その事に気付かず、トリプルテールは恥ずかしそうになびいていた。




