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264.0話 デイユースで:温泉でいちゃいちゃ

 


「どうする? どっち持ってく?」


「2種類も用意されているんですか。凄いですね」


「……それ、知らないかも」


「最近、始めたサービスみたいだよ。千穂と来た時には浴衣だけ」


「それも知らないです」


 一体、千穂と愛さんはここで何をしたんだー?

 変な事はしてないだろうけどさ。憂ちゃんも一緒だったらしいし。


「佳穂はどうするの?」


「浴衣!」


「即答かい!」


 ん? ちょっと待てよ? バスローブも捨てがたい。温泉の後は、そのまま過ごすんだろー?

 どっちのほうが魅力的に映るんだ?


 んー? 分からん! こんな時、男だったら男の子の心理が分かるのに!


 あれれ? 憂ちゃん、女の子け? 男子だったからセクシーなののほうがいいのか?

 バスローブと浴衣。どっちが好みなんだー?


「憂は?」


「――?」


 そか。憂ちゃんと同じにすればいいんだ。


 ……それでいいんかな? 憂ちゃんの男心で判断。

 ………………?

 男として、選んだものが見たいもの? 着ると見るじゃ違うのけ?


 ………………。


 もういいや。よく分かりませーん。


「風呂だ。風呂。その後、着るんだ」


「――――え?」


「どっちがいい?」


「――こっち」


 浴衣かー! 意外だぞー!?


「佳穂さん……。バスローブは一部男性が。浴衣はどんな男性でも着ますえ?」


 何で分かったー!? 梢枝さん? いつもの事だけど、時々怖いぞ?

 言った事には納得した。うん。ホテルとか普通に浴衣のおじさん歩いてるよ。


「あたしと同じだー!」

「わたしも」

「私も」

「ウチもそうしますわぁ」

「なんだなんだ? みんなしてあたしの真似するのかー?」

「あんたの真似違う。憂ちゃんの真似」

「……だね」


 千晶はともかく、千穂も梢枝さんも憂ちゃんとお揃い時間多いじゃんかよー。制服、あたしも真っ白にするかー? 似合う自信ないけどー。

 あれは梢枝さんみたいなキレイ系か、千穂と憂ちゃんみたいな可愛い系しか似合わんねん。

 活発系のあたしにゃ無理だー。


「はい。佳穂の浴衣」

「さんきゅー」

「……困ったぞ」

「愛さん? どうしました?」

「憂のが子どもサイズだから色違い。拗ねるわ。絶対」

「あー」

「あぁ……」

「あーあ……」


 色んな『あー』だね。こいつは使えそだ。千晶と今度、これで遊ぼ。


「たくし上げて着せてあげません? 帯で上げれば出来ますよね?」

「そうしよー!」

「千穂。素晴らしい提案です」

「ほな、行きましょうかぁ……」


 やばい。笑いこらえられない。


「ぷくく……」

「佳穂の変態」

「お前もだろー?」

「…………?」


 千穂は分からんでいいのだ。

 千穂は純粋に1人だけ子ども用じゃ可哀想……だろー?

 あたしと千晶は、大きいサイズの浴衣着た憂ちゃんの色んな姿が見たい! ぶかぶかの浴衣だったらチラチラ見える!

 梢枝さんはもっと酷いぞ? 千穂に考える暇を与えたくないからお風呂直行だぞ?


「出撃ー!」


 お姉ちゃん、ノリノリ。






 上にあるのかー。どんなお風呂なんだー?

 オラ、わくわくすっぞ!


 付いたー。一番上の階!


 エレベータが開くと……普通。普通に廊下。

 家族露天風呂はこちら。やじるし。


「こっちかね?」


 姉ちゃんも初めてかー。


「いい感じだね」


 千晶? あー……。千穂と憂ちゃんね。

 エレベータ内では手を離したけど、また握ってる。


 ……で、あたしが同意すると思ってんの? 千晶、忘れてないか? あたしゃ、恋敵だぞ?


 嬉しいから困ってんだけどさ。

 あたしってやっぱり憂ちゃん本気って訳じゃなかったのけ?


 突き当たりに到着ー。

 家族露天風呂はこちら。やじるし。


「……ちょっち不安になってきたぞ」

「合うてますえ? 調べは付いてますわぁ……」


 ……梢枝さんってさ。今更だけど何者?


「このドアみたいだね」


 また貼り紙。家族露天風呂ご予約のお客様はこの先の階段をお上がり下さい。だって。


 がちゃり。

 ドアを開けると……「さむっ!」


 ぴゅーって。ぴゅーって風吹き込んだ。


「うわ……高っ……」


 こわっ! 何ここ? 天国への階段?

 お姉ちゃんの後に付いてドアを通過すると……。壁に沿った階段。凄いとこきた。


 うわぁ……。


 手すりを掴んで下を覗くと……。たかっ……。あたしは高いとこ平気なほうだけどさ。それでもこれ「かーほ!!」


「うひゃあ!!」


 ちちちちちあきさん? 今、何した?

 さすがに肩を押したらやばいですぞ?

 ってか、おまいは苦手だろ? 高いとこ。


「こらこら。落ちたら助からんぞ?」


「憂? ……気を付けてね」


「――たか。こわ――」


「ちょ、ちょっと! 千穂?」


「ぎゃあ! 狭い狭いぞー!?」


 普通の非常階段みたいな鉄の階段ですぞ!? やめれ!


 くっ……。千穂と憂ちゃんが千晶との間に。

 あたしと千晶を引き裂いたー!


 ……って、冗談はともかく、なして憂ちゃんが千穂の手を引いてるん? ビビったんか?

 千穂って高いとこ苦手だっけ?


「……高いところ言うのは、年齢を重ねれば重ねるほど。大切なものが増えていけば増えていくほど、苦手になっていくそうですえ? 落ちたらただじゃ済まない。それが慎重さに繋がり、恐怖心に変換されるんです。ウチも怖くなってしもうたわ……」


 へー。じゃあ、みんな恐がってるってことはみんな大事なんだなー。


 ……憂ちゃんか? みーんな。


「嘘ですけど」


 ………………。


「嘘つきっ!」


「さぁさぁ行きますえ? 嘘じゃありませんわぁ。ウチの予測です。現にウチは平気やったのに今は怖くなっていますえ?」


 置いてかれてるっ!


「待って! 酷いぞー!?」


 ……みんな手すりじゃなくて壁際歩いてる。やっぱ怖いんだって。


「そうそう。ウチの言うことは信じず、進みますえ?」


「それってどうなんだー?」


「どうですかねぇ?」


 いい笑顔。くそぅ。なんか悔しい。さっきのが本当なのか嘘なのか謎のままじゃないか。






 30段ほどの階段を上がって、平面に辿り着くと通路。その通路をまっすぐ行ったら受け付けがあった。従業員さん。女性なのは、あたしらが女所帯だからかー?


「ご予約の立花様ですね?」


「はい。これ、チケットです」


 寒いぞ。みんなカタカタ震えてるぞ。さっきの階段と違って壁があるからマシだけどさ。


「ありがとうございます。確認致しました。ご利用時間は1時間となっておりますのでご注意下さい。この時期でしたら最初は内風呂のご利用をおすすめ致します」


 こちらへどうぞ……って、質素なプレハブ小屋風ドアを開けると……おぉ!! 露天風呂があるぅ!! 湯気がもくもくしてるぞー!! 広いぞー!! 外が見えるぞー! これって、山から見えるぞ?


「あちらが更衣室です。その奥に内風呂がございますのでご利用下さいませ」


「はーい」


 ん? 鍵、渡された? そういうシステム? 普通なんか?


「ごゆっくりとお楽しみ下さいませ」


 受け付けに戻ってくお姉さん。


「あの……」

「何? 千穂ちゃん?」

「ここって高いんじゃ……」

「まぁたこの子は! 黙って奢られなさい!」


 わかるぞ千穂ー? でも、それは言わないほうがいいぞー? お姉ちゃんの誕生日にお返しすればいいんだ。


 う。やっぱ寒い。


「……寒いね。向こう行くよ?」


 向こう。脱衣所あーんど内風呂? 受け付け通って、1つだけある建物。

 露天風呂だけで大きいのと、なんだあれ? ツボみたいなお風呂ー。めっちゃ楽しみー!


「裏の山はこのホテルの私有地ですので、見られる心配はほぼありませんわぁ……」


 …………。


 ありがと。教えてくれて。






 ちゃらっちゃっちゃー!

 脱衣たぁーいむぅ!


 おー! 梢枝さん脱ぎっぷりいいー!


 あったけー! 暖房入れてくれてるとか気遣い最高ー! 当たり前かもだけどさっ!


「おぉ。梢枝ちゃんグラマー」


 言いながら脱ぐ。お姉ちゃん。

 おー! 千晶よりおっきいぞー!

 それでか。憂ちゃんの視線は千晶の胸に行かん。前よりしぼんだからだけどなっ! ダイエットも考えものだー。あははは!!


 あっちゅーまに梢枝さんも愛さんもすっぽんぽん。

 すげーな。あたしも負けられんっ!

 でもでも! 憂ちゃんがががが!!


 んにゃ? 憂ちゃん、脱ぎ始めた。


「………………だよね」

「…………………………ですねぇ」


 スタイル凄い2名さま、ヒソヒソ話ちゅう。

 憂ちゃん、上着脱いで……。服脱いで……。肌着も脱いで……。

 だ、だいたん。周りはちっとも見ないけどね。


「…………南無三っ!」


 千晶が脱ぎ始めたー! なんか聞こえたぞー?

 どうなってんだ!?

 あたしゃ、恥ずかしゅうて……。


 憂ちゃん、ブラも取ったぁ! キレーな背中ぁぁ!! 真っ白だぁ……。きちんと女の子してるなー。やっぱり。


 ちちちちほも脱ぎだした! 顔、赤いけどっ! ちぽちぽの場合は、自分の体に自信がないからなー。千穂の場合、可愛くていいと思うぞ?


 言ったら呪われそだけど。


 ゆゆゆ! ゆーちゃん! ぷりてぃおしり! いっぺんに脱いだぞぉぉぉ!!

 あ。視界に千晶。


 ……のおっぱい。くそぅ。そこは勝てん。


「邪魔だぁー!」

「はよ脱げ! お姉さんも梢枝さんも待ってる! そろそろ憂ちゃんも!」

「……はーい」


 でもさ。恥ずかしいんですけど。()しの人に意図(・・)せず見せるのよ? あははは! 上手い! 座布団1枚!


「ヘラヘラせんと脱げっ!」

「ぎゃああ!! やめてー! あたし、今日はウエストゴムのズボンー!!」





 しくしく。

 脱がされたぁ……。

 千穂のバカぁ……。パンツまで一緒におろしやがったぁ……。


「Aカップの癖にぃ」

「違いますっ! 関係ないしっ!」

「はいはい。みんな脱いだし、入るよー。時間制限あるんだぞ?」


 ……。

 よし。

 憂ちゃんを。


 誘惑だぁぁぁ!! みんな裸だ。憂ちゃんも! 怖くないっ!


 今こそっ! 開き直る時っ!!


「いちばん! 佳穂! 行きまーす!」


「あ! あんた待ちだったのに!!」


 関係ないしっ! 千穂から言葉借り。

 横開きの曇ったガラスがはまったドアを開けると……!


「すげー!! 全員いっぺんに入れるサイズだぞー!!」

「いいから中に……」

「うん。確かに佳穂が邪魔で入れない」


 おおぅ! お姉ちゃん、厳しいご意見。1歩2歩とカニさん歩き。さすがに前は……もちょっと恥ずかし。

 出る頃には見せたげるから……。待ってね。


「あちゃー。洗い場4つかー。私、先に奥行くわ。若いのが先に洗いなさい?」


「それじゃあ、ウチがお付き合い……ですえ?」


「そゆことー」


 奥に歩いてく、キレイな女性の後ろ姿。何があるん?


「首傾げるな。脱衣所に書いてあったでしょ? 奥にサウナって」


 ……今日は千晶が叩かない。なんで? まぁ、いいや。


「脱衣所に書いてあったんかー? 紙が貼ってあったんちゃうんかー?」

「屁理屈を……」

「理屈だ!」

「それを屁理屈だと」

「佳穂? 千晶? 洗お?」

「おっ、おう……」

「……そだね」





「………………」


「………………」


「………………」


「――――――」


 無言だー。

 みんな前見て洗うだけー。

 頭も洗ってるぞー? いいのんかー? あたしも洗ったけどー。


「……憂、洗えるようになったんだ」


 ……洗えなかったのか。思わず千穂を挟んで向こうを見る。

 憂ちゃん、シャワーを引っ掛けたまま、頭をわしゃわしゃ。ギュッと目を閉じててかわいー。千穂に散ってるぞー? でも、全然、怒る気配なし。

 胸ちっちゃーい。千晶と比べたら女性と幼女だー……って千晶も覗き込んでるし。


 憂ちゃん、千穂、あたし、千晶。

 憂ちゃんを千穂が見てて、あたしは千穂が邪魔だから覗き込んで、そのあたしが邪魔でもっと前かがみで。なんか面白いぞー? 順番も面白いぞー? バストサイズ順だー。


「ぷぅ――」


 ぴゃああ! ぷぅって息吐き出したー! 悶え死ぬ!


「シャワー……。押したら勝手に止まるタイプだから洗えるんだ。家もシャワーも変えたのかな?」


 千穂の感想。

 立ったり座ったりの必要なくって、シャワーを持ったままの必要もなくて。なるほどなー。シャワー持ったままだと洗いにくいだろうしなー。


 ……って言うか、千穂め。何度も一緒に入ってるって主張してんのかー? 当て付けかー? 


 単なる天然だ。知ってた。


 顔の水分を両手で落とした憂ちゃんは、千穂の声でこっち見た。いやん。


「――――」


 無言で入ってきたほうに体ごと向く。あたしらから見て、ちょい斜め。見ないため? 見せないため?

 今度は、タオル。タオルを掴んで石けん……。ボディソープをプッシュ。


「憂? コンディショナー」


「あ――」


 うんうん。あたしもあるぞー?

 千穂の世話焼きが復活してきてるぞー!


「あっついわ! いつまで洗ってんの!!」

「ウチら、みなさんが終わるまで思うてましたけど……。無理ですわぁ……」

「ごめんなさい!」

「はい! 洗っちゃいます!」


 にゃにゃにゃ! 急ぐべし!






 ひゃー! 涼しー!


 内風呂でしっかりあったまってなかったら超寒いんだろーなー。


「佳穂? 足先からゆっくりね?」

「はーい!」


 分かってるよー。千晶も何気にお母さん入ってるよなー。

 お。この石、座りやすそ。

 座ってー。足先ちょぴっと。

 あったけー! はやく入らないと冷えるー!


 よっと。

 わぁ。中と一緒で底のほう、ぬるぬるしてるー。ここも温泉だー。

 浸かろっと。


 んにゃー! きもちいいー!!


「憂? 気を付けて……?」


「――うん」


 お。きたきた。手を繋いだ千穂と憂ちゃん。

 めっちゃ自然じゃないかー。

 妹のお世話する姉ちゃんみたいだぞー?

 憂ちゃん、ピンク色だー。


 ……頭以外のほぼ全身。

 ホントに生えてなかったー!


 千穂はきょろきょろ。どっから入ろうかなー……ってか?


 広いぞー? どこでもいいぞー?


「あ。佳穂? その岩から……」


 目、付けた場所同じだぞ?


「はい。お願い」


 千穂が憂ちゃんの手をあたしに差し出してきた。


「…………え?」


「『え』じゃなくて、憂入れてあげて?」


「お、おう! 任せろー!」


 開き直った! だいじょぶ! 立つ! 立つさ! 恥ずかしいけど!!


 ざぱーって水音。どうだ! 立ったぞ! 湯気、すげーから隠してくれてる! たぶん! 外で良かったー!


「憂ちゃん?」


 手を伸ばす。転んだら大変だ。


「佳穂――」


「憂? ほら」


 千穂が促したら手を取ってくれた。感激。感無量。


「そこ、左足」


「うん――」


 指示通りに動いてくれるぞー?


「同じく右足」


「うん――」


「座って?」


「うん――」


 見えた見えた見えた見えた。ごめんー! 見ようと思ったわけじゃないんだー!!


「佳穂――?」


「ごめん! ゆっくり……左足から……」


 転ばないようにだぞー? 底は滑るぞー?


「うん――」


 ……なんかさ。恥ずかしがってないぞ?

 お肌、ピンク色だし、わかりにくいだけ?


 次に右足……。入った。


「おっけー」

「佳穂? お疲れさま」

「案外、的確な指示」

「案外ってなんだよー?」

「ほら? 憂ちゃん? しゃがんで?」

「ぬるぬるしてるからなー」

「あったかい――」

「だね!」

「千穂? 急ぐと転ぶよ?」

「だぞー? 気をつけろー?」


 なんか……。めっちゃ、女子同士な感じだ。


 ……なんで?


「気持ちいいー!」

「来て良かったね」


 温泉のお湯を腕に塗り塗りする千穂と千晶。


「うぅ――。こっちも――ぬるぬる――」

「内風呂も温泉だからね」

「そりゃそーだ」

「憂ちゃん、嫌そう」

「上がった後が楽しみだね」


 千穂、普通に笑顔出てるなー。慣れてるから? もう羞恥心、吹き飛んだのか?


「あ。わかる。温泉出た後って、わたしでもついつい肌触るから」

「だよね。私もだよ?」


 これは触りっこせにゃいかんなー!

 ムダ毛処理もばっちりだし! 千晶も腕の毛、無くなってたし。千穂はマメだからしてるけどなー。冬くらいサボってもいいじゃんかよー。


「千晶って肌きれいだよね」

「千穂もじゃん」


 もう始めてやがるっ!


「当たり前だっ! 高校一年生たちが何言ってるのっ!! 私への当てつけっ!? 若いピチピチの肌してからにっ!」


 あははははー! 怒られてやんの!


 遅れて到着のお姉ちゃんと梢枝さん。

 何、話してたんかなー? サウナでも何か話してたんだろーしなー。


 ……あ。あったけー!


「佳穂――かた――出てる――」


 掛けてくれるのかー! 頭だけ出した憂ちゃん。

 うむうむ。あたしもちゃんと座るぞ?


 ちょっと深いなー。

 座ったら憂ちゃんと同じで顔しか出ないよ。


 ……あれ?


 そっか! 憂ちゃん、正座してんのかー!


「――いっしょ」


 にっこり。


 ……やば。可愛すぎる。


「こっち……おいで?」


 成り行きでかな? 隣に座ったままの憂ちゃんの腰に手を回して引き寄せる。


「正座。しんどいでしょー?」


 ちょっと棒読みなった。


「佳穂――!?」


 今ならいける。裸が当たり前のこの状況。一生懸命、女の子に馴染もうとしてる今なら……!

 足を伸ばして、石に背中を預ける。

 憂ちゃんのお尻をあたしの太ももの上に……。


 やった……!


 憂ちゃん、力は無い。浮力も手伝ってくれたし、憂ちゃんもきっぱりと拒絶しなかったからできた。


「――――――」


 憂ちゃんのお尻、やわやわ。

 憂ちゃんもあたしもそのまま停止。


 たぶん、嫌いじゃない。

 それどころか好きなはず! あの時! 梢枝さんの部屋であたしの足に間違いなく釘付けなったんだからっ!


「お。お姉ちゃんと妹そのものだね。おねろりかな? 同い年なのは知ってるけど」


「――――?」


 めっちゃ早口。愛さん、聞かせないつもりだ。

 千穂は複雑そうだなー。あたしだって負けてないぞー!

 千晶はクスって笑った。千穂を煽ってるとでも思ってんのかな?


 甘い! 甘いぞー? ワ○ソンくん!


 今のあたしは単に欲望に忠実なだけだー! ふわははは!!

 譲るものかー! 佳穂流は捨ててないぞー!


 よいしょ。


 ちょっと後ろに反ってた体を起こす。頑張れあたしの腹筋。


「――――!?」


 ドキドキしてるかな? してくれてたら嬉しい。

 あたしはめっちゃドキドキしてんだぞ!


 そっと手を回す。


「――――!」


 お腹、やらけー。すげーな。ぺったんこ。内蔵入ってるの? これ。


 さ……。最後の仕上げだ。

 いつもの通り。いつもみたいに冗談っぽく勝負!


「憂ちゃん、ぎゅううう!!」


「うひゃあ――――!!」


 一気に腰に手を回してギュー!!

 予想以上に腰が細くてビビったけど、ぎゅー!!

 あたしの形のいいチチ押し付けてるけど、気にせずぎゅううう!!


「あ――あ――!」


 ふみゅ? 暴れない。固まったのけ?

 にしても、やっぱり全体的にちっちゃいなー。あたしの両手にすっぽり収まるサイズだー。


「あ――はは――!」


 笑った!? 笑おうとしてる!?

 なんなんだー!?


 ん!? つねられた! 手! 痛くないけど。

 でも、離しちゃった。離したって言うか、力ゆるめた。


 ひゃっ! 憂ちゃんの手があたしの膝にっ! 両手!!


 ……体重掛けた。両膝に。


 ざぱ……。立ち上がるちっちゃい憂ちゃん。


 可愛すぎるお尻が目の前。あ。向きかえちゃった。残念。

 あたしの足を右足がまたいで……。右の太ももに憂ちゃんの指先が触れてくすぐったかったり……。

 そのまま反転。

 ぜーんぶ見える。


 …………。


 こっちきた……。すぐそば……。


 ど、ど……。どうすれば……?


「めっ――! じょうだん――やりすぎ!」


 右手であたしの頭をペチン。


 …………。


 …………?


 …………!


 …………!!


 ツッコミ入れられたぞー!!


「ていっ!!」


 ぎゃあああ!!

 ぶくぶくぶくぶく。


 誰だ!? 足、つかまないでーー!! 沈む!! 沈むからぁぁ!!



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