11.5話 詰問
なんで添枡みたいなのが憂の担当教師に……との、ご指摘へのアンサーとして挿話いたします。
蛇足を多分に含んでおります。
読み飛ばして頂いても全く問題ありません。
8月14日、時系列が乱れていた為、修正しました。
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飛ばさなくていいですか?
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始まります。
その数分後、応接室では学園長と私服の女生徒が向き合っていた。
千穂と佳穂が教室へ戻り、利子と軽く会話し別れた後、中央管理棟に在る学園長室に戻ろうとした学園長を引き止めた生徒が居た。学園長は、見知ったその生徒を応接室へと招き入れたのだった。
女生徒は入室するなり、本日のC1-5の4時間目の授業……数学の様子を捕らえた映像を再生した。録画を示すランプは消灯していたものの、彼女の言葉通り、本当に録画されていたようである。
それを確認した学園長の反応は……軽く眉を顰めただけだった。
「貴女は仕事が早いですね。お陰で総帥閣下にたっぷりと絞られましたよ」
背筋の伸びた長身のロマンスグレー。執事然とした学園長は、楕円形の眼鏡のブリッジ部分を押しながら苦笑する。その授業風景は総帥からの直々の電話で想像出来ていたのだった。
「あないな方を憂さんの担当教師にするからです」
定年が近そうな学園長を相手に、女生徒は毅然とした態度で言い放った。学園長は、さも困った様子で反論する。
「そう言いなさるな。添枡先生はアレでなかなか優秀な教師ですよ」
その言葉に女生徒は目を細める。普段の彼女とは違い、苛立ちを隠そうともしていない。
「あの差別主義者が……ですか?」
「いや、待ちたまえ。そもそも差別とは何だろうか? 全生徒に分け隔てなく接することが差別だろうか? 特別扱いする事こそ差別ではなかろうか? この観点から論ずると彼こそ正しい。そうは思わないかね?」
「詭弁です。話を逸らさないで頂けますか?」
女生徒はうんざりした様子を隠さない。表情にも動作にも如実に表れている。
「哲学めいた話は嫌いかな? そうだな。彼を当てたのは私の失態だ。この通り……」
学園長は深く腰を折り頭を下げる。
「そないに安い謝罪など要りません」
「……はは。TPOを弁えているだけですよ」
そこまで言って頭を上げる。
「彼女に関して、私は協力を依頼された立場。君たちは直接的に動く立場。あの方から見れば、君たちの立場が上だと思わないかね……?」
「立場の話はしていません……」
女生徒はのらりくらりと、はぐらかす学園長に苛立ちを超えて呆れ始めているようだ。
「彼にも配慮はするよう、十分に伝わっているはずなんだがね」
ふぅ……と溜息を1つ付き続ける。
「クラス編成に担任のゴリ押し。可能な限りの動かせる人材は動かした。私は私の出来る事は可能な限りしたさ。あれ以上は余計な疑いの目を向ける事になったんだよ。察してくれたまえ」
―――特進の担任は、それぞれ経験のある教師が担当している。A~C棟それぞれ4クラス。計12クラスの担任たちは、それぞれ受け持った生徒を3年間を担当している。それは基本的に持ち回りだ。添枡は昨年、C3-3組の担任を務めていた。その為、今年度はC1-3組の担任となっている。これを崩すには余程の理由が必要だった為、学園長は諦めたのだった。更に言えば、C棟にこだわる理由はC棟が比較的、新しい校舎の為である―――
「もうええです。ウチは学園の為やなくて、憂さんの為に動きますので……」
女生徒の言葉に学園長は渋面を隠さず言った。
「なるべく穏便な形で頼むよ……」
裏設定として学園長と梢枝ちゃんの対話ってのがあったんです。
それを公開致しました。
会話の内容は頭の中で適当……だったんですけどね。
文章に興すと案外、苦労しました。
でも、いずれ消しちゃうかもです。