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熊と狩猟乙女  作者: 魔王の善意
大騎士
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≪大騎士≫④

 開戦から数時間。

 王都で内乱があったと知らせが入った。

 即座に引き返したいところだが、目の前には2万の軍勢がいる。

 引き下がることはできない。


 騎士団の中から1千の兵を率いて向かわせればという話が出たが、2万と大群だ。

 もともとこちらの兵が少ない現状では兵士を王都にやるのは難しい。


 ならばやることは一つだ。

 僕はそう言って軍議を抜ける。


「待てデイビー。どうするつもりじゃ?」


 ダグラスさんの言葉に僕ははっきりと言葉を述べる。


「全軍で突撃して倒します。一日あれば敵の撃滅は可能だと思います。」


 無茶苦茶な作戦案に誰もが唖然とする中で僕の部下たちだけはやる気十分だ。


「デイビーよ出撃を許可しよう。ほかの部隊にも知らせて短期決戦にも持ち込む。しかしじゃ、全身に黒い鎧を着たものとは戦ってはならん。」


 ダグラスさんの言葉に僕への心配が強く感じられる。

 それほどまでに全身黒甲冑の男は危険なのか。


「ダグラス卿もやはり悪夢の存在は気になりますか。」


「当然じゃ、何せ先代の≪大騎士≫を悪夢は打ち破っておる。警戒せんわけにはいくまい。」



 ~~敵国側視点~


「どうやら王都での反乱を知ったようだな。大急ぎで全軍出撃とはな。こっちは無茶な作戦を取らなくても数の差で圧倒できる。」


 若き軍師がそう言って戦場を見渡す。


「敵の中で元も恐ろしいのは≪大騎士≫ですが、どこにいますかな?」


 年老いた老師が首を掻ながらそうつぶやく


「敵左翼だろう。」


 漆黒の甲冑を纏う男がそう言って敵の左翼を見る。数的優位を持っているがそれでも少しお押されている。しかし、反対側の敵右翼は猛威を振るっている。下手をすれば本陣まで来るかもしれない。


「悪夢殿がそういうならそうなのかもしれませんが、敵の右翼の突撃は恐ろしいものですぞ? それにあれは『青の騎士団』にもかかわらず≪大騎士≫が指揮を取っていないのは正直考えられませぬ。」


 老師の言葉は実に一般的な回答だ。だが、悪夢はそんなことを気にせず敵左翼に向かうため部下に馬の準備をさせた。


「右翼はフェイクだ。大きく暴れているがこちらに向かう余裕がない。それに比べて左翼の奴らはじっくり慎重にこちらに向かっている。故に俺は左を狙う。さぁ、行くぞ。」


悪夢はそう言って馬にまたがり、自身の部下を連れて出陣した。


「悪夢の奴目。勝手に行動しやがって!」


「まぁ、そう言うてやるな。あやつの実力は本物じゃ。昔≪大騎士≫との戦いに仕留め損ねたことを悔いておるのだ。あやつが求めておるのはそのリベンジと弟子がやられたこ不満の解消じゃろう。・・・それにあやつの行動で間違ったことはないでな。右翼にはあやつが行く」


悪夢の身勝手な行動に憤りを感じて暴言を吐く。

そんな軍師の言葉を老師が諫めて、部下に指示を出す。


~~王国側~~


「いくら時間がないといっても全軍出撃は時期尚早でわ?」


「いや、≪大騎士≫を手に入れられなかったのに動いたのは勝機があると判断してのこと。つまり奴らはまだ秘密兵器を隠し持っておるということだ。それが何なのかわからんが使われる前に本陣を落としたいところじゃ。」


若い将官の言葉を一蹴して決断が間違って入りことを否定し、敵を即時に倒すことが重要だと判断を下した。


「戦場の状況は悪くない。作戦道理に右翼に強い兵を左翼に≪大騎士≫殿のおかげで、敵左翼は押し込んでいるし、中央は五分五分、右翼は緩やかに進軍中。最高にいい状態ですな。」


「しかし、敵の切り札が何かわからんいじょうこのまま前進でいいのか少し迷いますね。」


若き将官の言葉にダグラスは少しだけ考え込む。敵兵の数は向こうのほうが多かった。しかし今では数的優位がこちらに傾きずつある。戦況は我が軍の圧勝ムード。

これからの出方によっては作戦を中止せねばならん。


「将軍閣下!伝令です。漆黒の鎧を着た一軍がこちらの左翼に接近中とのことです!」


「漆黒の鎧じゃと?!」


「敵は悪夢の可能性がありますね。」


見張りからの伝令を受け、漆黒の鎧を着た騎士に真っ先に言葉を上げたのはダグラスだった。

それほどまでに彼が驚くのも無理はない、何せ彼は先代の≪大騎士≫と悪夢の戦いを見ていた。

そして、その戦いで≪大騎士≫はひどい怪我をおい敗走することになったことを・・・

このままではデイビーと悪夢が激突することになる。そうなればデイビーでも勝てるかどうか・・・


「すぐにデイビーに撤退の命令を出せ!!」


ダグラスの怒号が本陣内のテントでこだまする。


「却下じゃ。」


そんなダグラスの言葉に対してボロスは平然と自身の意見を述べる。


「なんじゃと!?ボロス!どういうことじゃ!!」


「お主こそ何を喚いておる。こちらは≪大騎士≫を有する部隊だ。問題まい。」


怒声を上げて撤退を指示したのにもかかわらず、それを一刀両断してボロスが止める。


「お前も知っておろう!先代の≪大騎士≫が奴と戦いどうなったか!」


「わかっているさ。しかし、それは先代の話。今代の≪大騎士≫とは関係ない。お主は今は元帥としてではなく、義子を心配しとるだけだろう。しかし、まさか悪夢が出てくるとはかなりの大物じゃな。敵が作戦を決行した理由はこれかのう。」


ダグラスの怒りに対してボロスは冷静に状況をみる。

悪夢は本来、この国とは関係ない国に暮らしているはずだ。それを出してきたということは敵国は別にいるといっていい。間違いなく悪夢の所属国はその第一候補に挙がる。

そして、このまま戦い≪大騎士≫が敗北すれば周辺各国も動くことだろう。

そうなれば最悪だ。

それほどまでにこの戦いの勝敗ははっきりしとかねばならない。

それがボロス元帥の意向である。


「だいたい負けるわけがあるまい。≪大騎士≫に敗北はない。」



~~悪夢~~


戦場は良い。適度な緊張と敵を蹂躙する感覚は最高だ。

そして、何より最高なのは自分を強者だと思っている阿保どもだ。

そういうやつらをなぶり殺しにするのは最高だ。


今回の相手は熊のようにでかいと聞いた。

そして、戦場にはよくわかる巨大な熊が走ってくるこいつが今回の≪大騎士≫か。

だが、まぁ俺の弟分を毒であまり動けない状態で一撃で倒したその力は本物なのだろう。


だが、俺にはそんなことは関係ない。

弟分は俺から見たら雑魚だ。俺だって同じ条件でも勝つ自信がある。

さて、敵も射程圏内に入ったし早速切り刻んでやるかな!

俺は自慢の長剣を引き抜き敵を切り裂く」


ガキン!


俺の攻撃を受け止める剣と俺の切り裂く剣が衝突する音が発生する。

巨体のくせに動きが速い。

だがそれだけだ、俺は連続でドンドン剣を振るう。

俺は高速で剣を振って敵に対して連続攻撃を行

それに対して相手は防御ばかり、防戦一方になqりそこからは俺の独壇場、斬撃は連撃を重ねることでドンドン速度が上がる。これがいつもの俺の必勝スタイル、この状態になれば確実に勝てる。

あとは体力が尽きるのを待つだけ・・・


待つだけ・・・


・・・


なぜだ。


なぜ倒せない。


いや、こいついつまで防御するつもりか?


シュン!


危ない。一瞬だけ連続攻撃がわずかに遅れただけで反撃してきた。

一瞬でも斬撃の速度を落とすと反撃が来る。

だが、まずい。

今までこんなに連続で剣を振るったことがない。

このままでは俺の体力が尽きて・・・


シュン


まただ、剣速が弱まった瞬間にとんで来るカウンターのような突き。

だめだ、腕が疲れてきた。

いや、腕だけじゃない全身の筋肉が悲鳴を上げている。

まずい・・・

このままでは・・・

一度退却を・・・


「じゃ、まだ。どけ。」


距離を取ろうとしたその瞬間。

ほんの一瞬の合間に目の前のクマのような男は剣を振り上げ、振り下ろす。

たったそれだけで俺の命は刈り取ら荒れた。


~~王国~~


「デイビー=フォン・ダビットソンが悪夢を討つ取ったぞー!!」


その声は誰よりも大きく戦場に響いた声だった。

そこから先は一瞬の出来事だった。

敵は撤退の合図も出していないのに戦場から逃げ出したのだ。

どうやらその悪夢とやらが打ち取られたらしい。

だが欲しいのは大将首だ。


そう思い敵を追おうとしたところで待ったがかかった。


どうやら敵将は降伏したようだ。


これでやっと家に帰れる。

リンディさんにお土産の一つでも買って帰ろう。










その後、デイビー=フォン・ダビットソンは戦場での数々の伝説を作り伯爵にまで階級を上げ、妻であるリンディと三人の子をたまわり平和に暮らしたのだった。




何とか完結に持っていけました。

全く書いてなかったので人物を把握するのに時間がかかりました。

あと、最後のほうはけっこう投げやりです。

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