王都急変
病気持ちの女を抱いたばかりに王位継承権を剥奪されて少し下頃。
俺の前に急報が飛び出してきた。
俺の愛しの恋人であるリンディが熊のような怪物と結婚させられそうになっているとのことだ。
なぜそうなったかは不明だがこれは由々しき事態だ。
愛しの彼女を取り返さねばならない。
そのためにはどうするべきか。まずは王都内の情報を詳しく知る必要がある。
俺は早速、マヴィウス家に連絡を取り事の詳細と現状をする。
「こちらがマヴィウス家からの書簡です。」
そう言って書簡を持ってきた兵士から書簡を受け取り目を通す。
そこにはとんでもないことが書かれていた。
リンディの夫になる男はただの平民で、戦で上げた戦功で叙勲するらしい。
そんな歴史も伝統も持たない屑貴族が彼女の相手に選ばれるとはこれは何かの罠に違いない。
そう俺にいい感情を抱いている誰かがこんなことをしたに違いない。
こうしてはいられない。リンディをこの手に取り戻すために計画を立てなくてわ!
こうして、俺とマヴィウス家の共同での作戦が開始された。
それから数か月。
本来ならこちらの手のものが用意した男が≪大騎士≫なり『青の騎士団』を奪うつもりだったのかだが、そううまくはいかなかった。マヴィウスが用意した奴はとんだ大罪人だ。
俺が大会に出ることができれば優勝は間違いなかったのだが仕方ない。
こうなったら内部に仲間を忍ばせて内乱を起こすか。
ついでに王位継承権も手に入れ・・・
いや、国王と時期継承者をつぶせば王国は俺のものだ。
ならば、作戦を決行することに迷いはない。。
さぁ今すぐ彼女に行こう。
俺は辺境地から離れ王都にやってきた。
王都には現状戦力はない。
なにせ隣国との戦争中だからな、今なら国王も王太子の首も手に入る。
だが、俺の狙いはリンディだ。
彼女を救い、王国をわがものとし完璧な王国を再建する。
最高のプランが俺を待っている。
「王子。リンディ様の居場所がわかりました。やはりデイビー邸ではなくリードザッハ邸です。」
「そうか。やはりリードザッハ邸に向かうぞ。」
部下の言葉を聞き俺はすぐさまリードザッハ邸に向かおうとする。
「よろしいのですか?王宮の方に向かわずに」
「王宮には別動隊が動いている。問題ない」
部下の発言を一周してリードザッハ邸に全速力で向かう。
リードザッハ邸は武門の一族。メイドや執事さえ戦闘に参加できる。
中には強者も存在するが、俺の敵ではない。
「待っていろリンディ!今行くぞ!!」
怒声を発しながら兵士の士気を上げてリードザッハ家に突撃する。
リードザッハ邸は当然ながら館の四方に鉄格子のような壁がある。
一番抜きやすそうな玄関には当然ながら兵たちが待ち構えている。
「貴様ら!私は暴力の塊であるデイビー=ダビットソンから我妻であるリンディ=フォン・リードザッハを救いに来た!急ぎこの門を開けよ!」
俺の声を聴いても兵士たちは全くいうことを聞く気がないようだ。
仕方なしに俺は兵を率いてリードザッハ邸に進軍を開始した。
リードザッハ家の使用人たちや兵士の練度は凄まじかったが、この俺がいる時点で勝敗は決している。
俺は、生まれた時から【できない】という感情が理解できない。
この世で俺にできないことがあるといえば、それは他人を理解することができないことだろう。
その時々で感情が上下する人間は見ているだけで価値がない。いっそ無惨にに死んでほしい。
門を破っての強行突入を図ったが皆大した腕ではない。
だがそれも、当然ことだ。
その辺の凡人と俺のような天才が同じ地表に立つわけがない。
俺は外の敵を部下に任せリードザッハ邸に下馬したから足を踏み入れる。
ここには王妃候補であったリンディが部屋の案内をしてくれたので屋敷の見取りはすぐにわかる。
そこから計算して最も安全な場所は来客用の部屋だ。
俺は迷わずにその場所を突き止めると扉を破壊して中に入った。
「やけに早かったわね。」
中に入るとリンディが兵士たち共に待っていた。
「迎えに来たよ。リンディ。さぁ、ここから出よう。そうすれば、あの熊のように貧層のない男と違って次期国王たる俺の伴侶になれるぞ。」
「あなたが何を言っているのか分からないわ。次期国王って正気なの?」
「もちろんだよ。今日は新しき国ができる建国日だ。僕の才能に嫉妬した者達を排除して、この国を生まれ変わらせる。」
俺の言葉を聞いても彼女も彼女を守る兵士たちも好戦的な態度をとったままだ。
ま、凡人が何人詰まっても僕の神秘眼はわからないだろう。
リンディはベッドの中で再教育をするとして、他の奴らは全員死刑でいいかな。
「「かかれ!!」」
僕のことリンディの声が同時に響いた。




