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熊と狩猟乙女  作者: 魔王の善意
大騎士
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≪大騎士≫③ 

「隣国が我らの領土内に向けて兵士を派遣しただと?!」


それは青天の霹靂へきれきだった。


隣国とマヴィウス家の暗躍は僕が≪大騎士≫になれば、隣国は攻めてくることはないと思っていたからだ。

奴らの本来の狙いは自分たちの陣営の人間に≪大騎士≫の地位を与えて、その上での侵略と王都の陥落であったはず、にも関わず侵攻を開始するとは、余程自身がるのだろう。


「敵兵の数は2万。想定よりも数が多い。」


ダグラス元帥が葉巻に火をつけて苦々しく声を上げた。


「『青の騎士団』を使えなくなったためにより多くの戦力を用意したのだろう。」


そう。結局は僕が≪大騎士≫の座をとっても戦争は止まらず、寧ろ敵の戦力が増大してしまった。


「うむ。しかし、御前試合から数日しかたっていないのにもう攻めてくるか。」


ボロス元帥が悪態をつきながら盤上の駒をにらむ。


「おそらくは、こちらの軍編成が終わる前に手を打ったといったところかな。」


国王陛下も盤上の駒を見て告げる。


「なるほど、確かに軍の編成は完全ではない。演習も何もしていない部隊なら烏合の衆と変わらん」


ボロス元帥がどうするか悩みながら頭を掻く。


「では、編成をせずに出発しましょうか。」


「それはならん! 今の『青の騎士団』に」お主の背中は任せられん!」


僕の案をダグラスさんが一蹴する。


「編成はともかく、まだ開戦すると決まったわけではない。

安全のためすべての騎士団と兵士達を集めて国境付近に待機させよ!

もしもの場合に備えるのだ。」


「「「は!」」」


こうして僕たちは開戦に備えて準備を行う。

しかし、この戦略がマヴィウス家の者達が仕組んだとするならば、もしかしたら王都も戦果に見舞われるかもしれない。リンディさんは大丈夫だろうか・・・。


そんな僕の心配をよそに戦に行くための準備を終えた僕たちは早速行軍を開始した。


「デイビーよ。、娘のことは心配するな。事の次第を伝えてリンディはわしの家で預かる。私兵や警兵で守りを固めておる。心配はいらん。」


そんな僕の不安を払拭する言葉がダグラスさんから紡がれたそれを聞いて僕は安心して行軍を開始した。




それから数日国境付近に近づいてくる。

場所はまだまだ先のはずだが、遠くからでも敵の布陣が見える。

どうやら敵は山に布陣し、城を立てたようだ。


「交戦はまだ行われておりませんが、敵は完全にやる気です。」


早馬でこちらより先に来ていた兵士がそう報告を行うと同時に、何か書簡のようなものがダグラスさんに渡される。その中身を見たダグラスさんは激怒した。

どうやらかなり挑発的なっ宣戦布告だったようだ。


「全軍出陣じゃ!!」


ダグラスさんの一声によりすべてが動き出した。

僕は『青の騎士団』を率いようとした時。


「待てデイビー。今回は私が『青の騎士団』を率いる。」


そう言って僕と止めたのは同期のチャール君だった。


「まだ、決まったことじゃないが、上に掛け合ってそうしてもらうようにする。お主もいきなりの主戦場で見知らぬ兵たちに背中は預けられまい。その代わりお主には『緑の騎士団』を率いてもらう。」


それだけ言い残してチャール君は去っていった。


僕は急いで『緑の騎士団』向かい準備をお整えると出陣したのだった。




出陣してから間もなく僕は『緑の騎士団』所属のまま戦線に立つこととなった。

確かに僕に兵を操る戦略はないに等しい。

これでよかったのだろう。そう思っていくことにした。


戦場につけばすでに敵は布陣を完成させており、こちらにいつでも攻められるようになっている。


「敵はやる気十分みたいですね。」


「何かかつ算段があるのかもしれん。ここはじっくり攻め手を見せてもらおうか。」


ガレット君の言葉にミゲルさんが答える。


「こっちが布陣する前に出てきてもおかしくなさそうだけど。そうでもないみたいね。まるで獲物を待つ狩人のようね。」


ミーファちゃんの言葉に確かに敵は一切の動きを見せていない。

布陣する前に攻め込めば勝機が上がると思うのだが、それをしないのは何かを狙っているからだろうか?

そんな僕たちののんきな話の間に、敵が動いた。


といっても最初に動いたのは互いに雑兵ばかり、騎士団である僕たちはめぼしい敵を見つけてそこを突破するか強敵を見つけて足止めするかの二択だ。

そういうことで今は戦場の情報を探している。

そんなときだった。

僕たちのもとにある急報が寄せられたのわ。








「急報!王都で内乱が起きた!」


僕がその言葉の意味を理解しりまでに数秒を要したのわ。

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