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走馬灯1
声がした方を見ると、小柄な少年の姿がそこにはあった。
今までこんな人は居なかったはずなのに……
一瞬瞬きをすると、なぜか風景が変わっていた。
……なんだここ……カフェか?
いや、さっきまで私は暗いところに居たはずだ。
こんな一瞬で瞬間移動など出来るものか。
超人じゃあるまいし。
だがカフェらしき建物に私がいることには間違いない。
どういうことだ?
「お客さーん、どうしたんです?考え込んでますけど」
後ろから、さっきの少年の声がした。
私はバッと後ろを振り返った。
その少年はそっと笑い、私をカウンターに座らせた。
「コーヒーで良いですか?」
少年はポットを持って来て私に聞いた。
私はもう何が起こったかが分からなさすぎて頭がショートしそうだったから、とりあえず「はぁ……」とだけ答えた。
コーヒーを注ぐコポポポ、という音だけが響く。
少年は私にコーヒーを差し出して、おじぎをした。
「この度は御来店いただきありがとうございます。僕は『ユイ』と申します。この走馬灯屋の管理人兼オーナーです」
……走馬灯……屋?
え、もしかして、私……