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とある勇者パーティーの剣士の話  作者: 邪眼
第一章、黒い森の少女
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複雑なんだな

 ウィン達はトラヴィスに言われた通りに用意されている部屋へと戻り、各自思い思いに時間を潰した。

 その中には何故かアルフィーもいた。


「……ここお前の家だろ」

「まあ、そうなるっすねぇ……」

「自分の部屋とかねえの?」

「いやー、覗いては見たんっすよ。……そしたら僕の部屋が弟の倉庫みたいになってたんすよね。

 あっ、弟は趣味で錬金術を研究してるんっすよ。そんでもってその素材だか何だかよく分からない物が何かこう、ごちゃっと、……まあ、ごちゃっとなってたんっすよ」

「それはまた……御愁傷様としか」

「まあ、里長弟に押し付けて飛び出したのは僕の方っすから、あんまり文句も言えないんすよ」

「複雑なんだな」

「そっすね、へへ、情けないっす」


 そして、そんな風にウィンとアルフィーが何の気なしに話をしていたのが途切れたちょうどその時、アルフィーの弟であり、里長でもあるレイフ・ロイがやってきた。

 一緒について来たトラヴィスは扉の前で待機させ、部屋の中まで入ってくる。


「おまたせして済まなかった。少し仕事があってな

 それと……なんで兄さんがここに?」


 と、そこでアルフィーを見たレイフは酷く驚いたような、ホッとしたようななんとも言えない顔をした。


「100年前だか50年前だか忘れたけど出て行ったきりで、時々手紙は寄越すのに全く帰ってこないから心配してたんだ」


 皆が備え付けられたテーブルに着くのを待ってから、そう言ってニッコリ微笑んだレイフに対し、気まずそうなアル

フィーは少し気まずそうな笑みを浮かべてうつむき、それから少しアルフィーの顔色をうかがうようにしながら謝罪の言葉を口にする。


「いや、その。里長無理やり押し付けちゃって悪かったなって、その、思って……」

「なんだ、兄さんはそんな事を気にしていたのか?」

「えっ?」

「兄さんが長に向いてないなんてことは村中のエルフが知っているし、私も兄さんに管理職何てやらせたら何かしでかさないか心配で夜も眠れなくなってしまうよ」


 少し茶化すように笑う(レイフ)に、アルフィーは少し気恥ずかしげなそれでいて何処か吹っ切れたような笑顔を浮かべ、それからそれを誤魔化すように、ずれた話題を本来の物へと軌道修正する。


「ま、まあ、それはともかくっすね、レイフはウィン達に話があるんっすよね?」


 アルフィーがウィンとレイフの顔を交互に伺うように覗き込み、小首をかしげる。

 エルフは殆どの者が整った顔立ちをしているが、その中でも特に可愛らしい容姿を誇っているアルフィー(♂)がそんな仕草をしたために、ウィンは何とも言えない気持ちになり、困ったように頷く。


「あ、ああ。そうだ、な。うん」


 因みに、アルフィーとレイフは髪や瞳の色以外全くと言っていいほど似ていない。

 アルフィーをどんぐり眼の可愛らしい子リスに例えるならば、レイフは細くつり上がった目が特徴のしなやかな美しい体躯の狐だ。しかしどちらも人間基準では美人と言わざる負えない事に変わりは無く、そんな二人の視線を一度に受けたウィンは、相手が男だと分かっていても妙にドギマギしてしまう。勿論だがそう言った趣味はない。

 ……先程からアリスが何故か刺すような冷たい視線を送って来るせいで嫌な汗が止まらない事や、チェルシーが鼻血を噴出しながら後ろに椅子ごとぶっ倒れ、それをナタリーがゴミでも見るような目で部屋の隅まで蹴り転がしていった事は、最早この際ご愛嬌という事として気にしない様にしよう、とウィンは心に決めた。


「それで、ウィルフレッド殿は「ウィンでいいぞ」……ああ、分かったよ。

 正直言って私もそこまで堅苦しい口調は得意ではなくてね、トラヴィスが後で威厳がどうのと騒ぎそうだが兄さんと知り合いって言うなら今更だ、遠慮無く呼ばせてもらう事にするよ。

 ……そう、話を戻すけども、ウィン君は彼女(・・)に会って、だからこうして私にエルシーの事を聞きに来たということでいいのかな?」


 刹那の間に目の前に間に生み出された混沌(カオス)を、生暖かい笑みを浮かべたレイフが無駄に洗練されたスルースキルで華麗にスルーして行く。


「まあな。えーっと、あいつは……確か、ラナ、だったか?」

「彼女がエルシーの母親だって事は?」

「一応」

「ふむ、……どこから話した物かな」


 レイフは暫しの間考え込むように顎を撫でて目を瞑り、それからぐるりとその場にいる面々の顔を見て、やはり難しい顔で何か言いたげに口をモゴモゴと動かして、それからやっと考えがまとまったのか口を開いた。



「彼女は、ラナは忌児だったんだ」


何時もより何か短いですけど切りが良かったので投稿です。


作者は評価、コメントをくれると飛んで喜びます。


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