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とある勇者パーティーの剣士の話  作者: 邪眼
第一章、黒い森の少女
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それは酷いな……

 辺り一面真っ暗闇の森の中でウィンとトラヴィスが対峙していた。ウィンが仕切り直すように口を開く。


「弓の事はまあどうでもいいわ。で、黒児ってのは何だ?」

「ど、どうでもいいのか。……そうだな、何と言うべきか。……黒児というのはのは貴様の様に髪も目も真っ黒な者の総称だ。」


 トラヴィスは少しだけ答えに迷いながらも質問に答える。


「へー。で?何かあんまいい意味ではなさそうだったよな。それに今回の事とも何か関係ありそうだし」

「うむ、……まあ、そうだな。良い物では無い」

「……敵と戦うことにおいて、俺達としてはなるべく不安要素は消して置きたい訳だ。

 お前はどうか知らねえが勇者が居るとはいえ人である俺達の事を快く思ってないこの里の連中も居そうだしな。

完全にアウェイになるのは結構マズイ訳だ。

 チームワークとまでは言わねえがある程度の結束はやっぱ必要だろ?

 度合いにもよるが黒髪黒目が問題だってんならアリスに幻術使ってもらうなりなんなりして実は暗い藍色だったとかそんな風に誤魔化す必要だって出て来るんだ」


 何処となく歯切れの悪いトラヴィスにウィンは少し困ったような表情でゆっくりと諭すようにそんな事をのたまう。


「いや、……説明しようにもなんと言うか、昔からの言い伝えみたいな物で話すと長くなるんだ。お前も聞いたことくらいあるんじゃないか?」

「んー、"金髪金目は勇者の卵"みたいな話ならあるんだがな」

「……人の間でも言い伝えられていると思っていたが……黒子はそれの正反対でな、"黒髪黒目は魔王の種子"といった所だ。冒険者なら彼方此方に行くから小耳に挟んだ事くらいありそうなものなんだがな」

「マジか、聞いたことねえ……ん?いや、ちょっとまて?何かあった様な……」


 首を傾げてウンウン唸りながら考え込み、其れから唐突にはっと顔を上げたウィンの表情はみるみるうちに苦虫でも噛み潰したかのような物に変わっていった。


「……あー」

「心当たりがあるのか」

「いや、何でもねえよ。昔ちょっと本でちらっと読んだかなって程度のうろ覚えだ。

 人間でそれが伝わってんのは多分何でもかんでも縁起を担ぎたがるお偉方位だろう。あとは平民の余程の年寄りだ。

 金の髪と目ってだけで勇者になる訳じゃないからな。

 平民はそういう容姿の子を産んでも騒ぐっちゃ騒ぐがそこまでお祭り騒ぎにはならないんだ。

 それと同じで黒髪黒目の奴が必ずしも魔王になるってわけでもないからか平民には多少不吉がられる程度にしか伝わってないっぽいな」

「そ、そうか……それにしても貴様は余程貴族が嫌いな様だな」

「当たり前だろ、まともな奴も居るっちゃ居るが大抵がトコトン突き抜けたクズだからな」


 腹立ち紛れに憶測をぺらぺらと喋り倒すウィンの勢いに若干押されたトラヴィスは話題の転換を図ろうとして_____失敗した。


「あいつらほんっと何なんだよ偉っそーにしやがって、前森で遭難してたの拾った奴なんでろくに荷物も持てねえ貧弱デブの癖に人をこき使った挙句に作業が遅いだとかなんとかいちゃもんつけて怒鳴りやがるんだぜ!!?マジでぶん殴ろうかと思ったわ!!!なあ、そう思わねえか?」

「あ、あぁ。それは酷いな……」

「あと他にもよ…………」


 その夜、結局トラヴィスは見廻り中ずっといつの間にやら始まってしまったウィンの愚痴に付き合わされたのであった。

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