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とある勇者パーティーの剣士の話  作者: 邪眼
第一章、黒い森の少女
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話が脱線してるわ

 ナタリー、チェル、ついでにウィンも。ちゃんと聞きなさいよ。

 今日はまず魔術を扱うに当たっての基礎である魔力について教えるわ。


 今まではこれを飛ばして魔力の扱いを教えていたけれどそれはこれを説明するに当たってどうしても話が長くなるので腰を据えた状態で教えたかったかなの。

 別にこれを知らなくても魔術は使えるけれど知っていた方が遥かにいいので教えることにしたわ。

 魔術は知識とイメージが最も大切だからね。


 まず魔力とは、私達の魂が自然界に漂う魔素を取り込み、変換し、生み出されるの。

 そして、生み出された魔力は身体の至る所に蓄えられるわ。個人差はあるけれど一般には血液、眼球、頭髪などに蓄積し易いと言われているわね。


 ……ああ、それと大抵の場合瞳や髪の色は魔法を使ってるうちに魔力の色に染まっていくわ。ちなみに私の目もそうよ。元は緑ね。髪は元から赤かったんだけどね。

 ナタリーちゃんなんかは聖・光属性がよく現れたプラチナブロンドだしね。流石勇者。


 ん?魔力の色が何か分からない?


 …魔力は色を持っているの。それも人によって千差万別で完全に同じ色の人は双子だった場合を覗いて居ないと言われているわ。

 そして魔力の色って言うのはその魔力に一番馴染む属性を示すの。赤なら火、青なら水と言う様にね。

 まあ、要するに適性と考えてもらって構わないわ。


 え?適性が髪とかの色に出てたらマズイんじゃないかって?

 やっぱりナタリーちゃんは勘がいいわねぇ〜。


 ズバリ、その通りなの。

 髪や目を見れば得意な属性、苦手な属性が分かってしまう。そうしたら頭の回る敵だった場合、敵は当然の様に対策をしてくるでしょうね。


 ここで思い浮かべて欲しいんだけど魔法使いと言えばどんな人を思い浮かべる?


 フードを目深に被った人を連想する人が多いと思うけれどこのフードは髪や目の色を隠すためにかぶるようになったらしいわ。


 え?私はフードも何もかぶってなくて大丈夫かって?


 ふふ、大丈夫。だって私は殆どの属性に適性がある中でも特に火属性に特化してるってだけだもの。どんな属性で向かってこられたってどうとでも対処出来るわ。

 そう、あえて言えば私みたいに普通に髪色を晒している様な魔法使いにはそれ相応の自信、実力があるって事だから注意した方がいいってことね。まあ時々単なるバカもいたりするけれど……。


 いけない、話が脱線してるわ。

 えーっと……魔素の話をしてたのよね。


 魔素はマナとも呼ばれ、私達の体にも何割かは魔素が含まれているそうよ。

 魔素が何であるか、という事は未だに誰も解き明かせていない世界の謎って言われてるわね。私たちの魂が魔素で構成されている、なんてのが今現在での定説ね。


 で、魔素から魔力への変換なんだけど、これが上手く出来なければ一流の魔法使いとは言えないの。


 まあ普通にしていても常時変換はされ続けているんだけど大量に魔力を使った場合なんかはとにかく早く回復出来れば出来る程腕のいい魔法使いって事になるわ。

 一発魔法打ちましたー、回復出来ないのでこれで終わりでーす。とか最早論外だもの。


 変換方法は、目を閉じて自分の中心にある魂に意識を向けてより多くの魔素を取り込む様に促す。まあ要するに瞑想ね。……感覚が掴めるまでは全く上手くいかないけれどそれは本人の努力次第よ。

 猛者になると他の事をしながら瞑想する人もいるわ。


 あーでもなぁ…うーん、面倒だから魂の説明はまた今度にするわ。あ、別にただ単に面倒だからってだけじゃなくて知っててもどうこうするのは初心者には難しいってのもあるからね。

 ……ということで、瞑想してみようか。


 ほらほら、"えー"じゃないの!!ちなみに寝たらお仕置きが待ってるからせいぜい寝ないように頑張るのね!!


 お仕置きは何かって?確か電流系、くすぐり系、恥ずかしい系、人には言えない系、あとは…え?もういい?

 やっとやる気になったわね。……最初からそうしてればいいのに。


 …………。


 ウィン、貴方何速攻で寝てるのよ。


 前も同じ事やった気がするって?そうだったかしら??

 とりあえず死なない程度に炙るからこっち来なさい。


 あ、逃げた。



 ……

 …………

 ………………



◆◇◆◇◆



 日が森の木々を赤く染めながら沈み始めた頃。


「……今までは簡易授業だったから分からなかったけどアリスってアレだね。魔法の話始めると止まらなくなる様なタイプの人だったね」


 部屋の窓辺に陣取ったナタリーが赤く染まっていく森の美しい風景を眺めながら少し呆れた様に笑うと、同じ様にウィンが言う。


「アイツの話は長い上にあっちこっちに飛ぶからな……。

 一気に大量の情報教えられたって一般人に覚えられっこねえのに本人が無駄に天才だからそこん所がわかってねえんだろうなぁ」

「えっと、私は魔法が使えるかどうかは別として全て覚えたのですが……」


 それを聞いたチェルの発言にウィンとナタリーが固まるが、講義で最終的に全員が撃沈した事によって若干機嫌を損ねたアリスが辛辣な言葉を吐く。


「チェルは賢いのかバカなのかどっちかにしたらいいと思うわ」

「違うぞアリス、チェルはアレだ、よく言うだろ?勉強が出来るバカって。勉強は出来るけど行動がアホなアレだ」

「ああ…」

「ああ…って!!ああ…って!!何でそんな納得みたいな反応するんだい!?ウィンもウィンでアレはないだろ!おい、聞いてるのか!!そんなあからさまに目をそらさないでくれ!!」


 だって実際そうだよね、と言う言葉を飲み込み、再び森の風景に目を向けたナタリーはまだ見ぬ残虐極まりないであろう敵について思いを馳せるのであった。

この世界では魔術、魔法について特に区別はされていません。

時々魔法って言葉がまじるかもしれないですがあまり気にしないで下さい。


あとこの世界では完全な金髪(茶色などが混ざらない金髪)と黒髪(真っ黒)がかなり珍しいと言う設定です。

チェルシーの様に茶色混じりの金髪や、鼠色の髪の人間はザラなんですけどね。

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