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とある勇者パーティーの剣士の話  作者: 邪眼
第一章、黒い森の少女
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……ちょっホント止めギブギブぐえっ

「さあ!次は魔術の勉強の時間よ!!」


 朝食後、ナタリーはやたらとテンションの高いアリスに引きずられるようにして部屋に戻った。

 ……と言うよりも実際に引きずられて行った。物理的に。


「あの〜…アリス?なんでそんなに張り切ってるの?って言うか襟引っ張らないで?かなり苦しいんだけd、……ちょっホント止めギブギブぐえっ」

「アリス…とりあえず落ち着け、教えるのが楽しいのは分かったから。そのままだとナタリーが死ぬ」

「えっ、ウィン何…ってわぁぁあっナタリーちゃんゴメン!!ナタリーちゃん飲み込みいいから教えるのが楽しみでつい…」


 引きずられて行くナタリーの顔が青くなってきた辺りでウィンが止め、我に返ったアリスが落ち込む。


「げほっげほっ、いや……大丈夫。

ふぅ……アリスって魔導師なのに力強いんだね。……びっくりした」

「あ〜本当にゴメンね……でも腕力は大方ウィンの所為なのよ!!私魔導師でしかも乙女なのにウィンったら自分と同じ筋トレメニューやれって言ってきたのよ!!あの時は思わず杖の頭で殴っちゃったわ」


 落ち込んだアリスがオドオドと謝ってくるのがなんだか微笑ましく、ナタリーが思わず笑うとつられた様にアリスも笑い、おどけて応える。

 ナタリーはアリスの使っている人の身の丈程もある長さの杖を軽く一瞥して、そんな杖で人をぶん殴る魔導師が乙女かどうかはツッコまず、とりあえず横に置いておく事にした。


「…ま、まあそれは置いといて。チェルは俺と模擬戦でいいよな?」


 おおよそナタリーと同じ事を思っていたウィンは、同時に次は自分が弄られそうな雰囲気を察知して早々に逃げの一手を打つと、何も考えていないであろうチェルはそれに同意した。


「あ、はい。どうやら私には魔術の才が乏しい様なので。それに剣を振り回して居る方が性に合いますし」

「えー、魔法とか魔術使えると便利だよ?チェルも一緒に教えてもらおうよ〜」

「うっ…な、ナタリー様の仰せならば」

「普段は様付けて呼ばないでって言ってるでしょう?」

「ひっ…!!」


 ナタリーの声が甘える様な物から一転、凍りつく様な冷たい声に変わる。


「そ、そう言えばナタリーって初めて会った時は今みたいな口調だった気がするんだが、何時の間にこんな砕けた口調になったんだ?」

「えっ?ああ…アレは外向けっていうか知らない人?とか脅す時向けの口調だね。私まだ9歳だしとりあえず初対面の相手にはナメられない様にしないとって言われてさ。でも流石に仲間に対してそんな偉そうな態度とるつもりはないよ」


 9歳にしてはやたらと強かなナタリーの発言にただでさえ引き気味だったウィンの顔が今度こそ完全に引きつる。

 アリスも反応に困ったのかへ、へえーなどと棒読みで相槌を打っちつつも目が泳いでいた。


「…あの、魔術……」


 そして思いっきり脱線した会話はチェルの控え目な主張で我に返ったアリスによって元の魔術についての話に戻るのであった。

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