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とある勇者パーティーの剣士の話  作者: 邪眼
第一章、黒い森の少女
14/33

よしよし偉いぞ〜

 iPhoneさんのキーボードに全角スペースを登録出来たので文章の書き方を変えました。

 同じ2000文字ですが改行が少ない分僅かに分量が増えているかもしれません。

 ウィンはエルフの男に連れられて里長の家を訪れ、勇者たちの泊まっている部屋へと案内された。

 里長の家というだけあって他の建物より大きく造りもしっかりしており、また扉なども艶のある樹木で作られた立派なものだった。

 ウィンが通された部屋はエルフらしく小綺麗で落ち着いた雰囲気の大部屋で、客間の様な役割の部屋らしかった。

 部屋中央にはテーブルと机が置かれ、勇者含む三人が椅子に腰掛けてウィンの到着を待っていた。


「ウィンって、どっか抜けてるわよね〜」


 そして、その部屋の扉を開けて一歩踏み込んだ瞬間、出会い頭に勇者であるナタリーにそんな事を言われた。


「うっ…」

「まあウィン(コイツ)は昔からカッコつけながらもちょくちょく何かやらかす様な奴だったもの。早いところ慣れることをオススメするわ」


 ウィンがいきなりそんな言葉が飛んで来るなど予想外もいい所だったために僅かに顔を引きつらせると、速攻でアリスからの追い打ちがかけられる。

 ウィンは「やめたげてよぉ!!」と叫びたくなるのを堪え、恨めしげにアリスを見るも彼女はどこ吹く風でニコニコしていたため、ウィンは冷や汗をかきながら沈黙した。


 何故沈黙したかというとアリスがニコニコしながら毒舌を揮うのは大抵が凄く怒っている時なのだ。


「すまん」

「わかればいいの、わかれば。

 ……というかよく牢屋壊さなかったわね。

 ウィンってガサツに見えて変な所で神経質なんだけどそのストレスの原因のストレッサー排除が大雑把っていう凄くよくわからない性格してるのよね〜。

 まあ今回はよく我慢した方か。……よしよし偉いぞ〜。」

「ちょ、俺もそろそろいい歳の男だし頭撫でるとかやめてくれよマジで」


 アリスが嫌がるウィンの頭をグリグリと撫で回してにわかに部屋が騒がしくなった中、ずっと難しそうな顔で何事か考えていたチェルが漸く口を開いた。


「なあ、彼らは事情を説明すると言っていたがウィンが捕まったのには何か特別な事情があったのだろうか?」

「……そうね、私も気になったのだけど実は幻惑の霧ってあんなに簡単に破れるようなものじゃないのよ。あの時はだいたいあと四、五回は魔法を打つつもりだったの。

 ……それに明らかに里にいるエルフの人数も里の規模にしては少い。

 幻惑の霧が薄かったのは多分結界維持に大した人数を割けなかったんじゃないかしら。


 __つまり、今このエルフの里ではエルフの人数が減る様な何かが起こっている。


 かもしれない、ってこと。完全に憶測だけどね」


 アリスはチェルの問いに真剣な顔をして応えたが言い終えると「まあ、説明されるまで分からないけどね」とあえて明るく笑って見せた。


「あ、そう言えばここって何処だ?俺ただでさえ迷ってた上に目隠してここまで連れてこられたから全く検討もつかないんだが。」

「ブロムシュテット王国王都ブロムシュテット北西にあるケネス大森林のそこそこ奥地にあるエルフの隠れ里。

 因みにこの里の正式名称はバイソンフットらしいね。

 エルフの里って結構あっちこっちに点在してるんだって。初めて知ったわ」

「ご丁寧にどうも……ってそういうことじゃなくてだなナタリー。具体的な位置だよ位置。

 ほら、あるだろ?だいたい北にどれ位とかさ。」

「全くの素人にそんな無茶な!!……えーと。だいたいあの野営地から北北西に二日半位だったかしら?」


 やっとの事でアリスの魔の手より解放されたウィンは、早速意趣返しとばかりにナタリーに無茶振りをふっかけたが、ナタリーはナタリーで無茶だと言いつつどうだったかと真剣に考えて答える辺りに素直な性格が現れているようだった。


 それから暫くの間四人はやいのやいのと馬鹿騒ぎと言う程では無いもののあれやこれやと騒がしかったが、ドアから少し控え目なノックの音が聞こえると全員がピタリと騒ぐのをやめて緊張した様な面持ちでドアを見た。


「どうぞ」

「失礼いたします。里長がお呼びですので皆様にご足労願いたく存じ上げます」

「了解しました」


 まだあどけなさの残る必要以上にへりくだった声にナタリーが答え、扉を開けるとそこに居たのは人形の様に可愛らしい少女だった。

 さらさらとした碧い髪は肩口できっちりと切り揃えられており、ごく薄い黄色の瞳は大きくもおどおどと伏し目がちだ。

 身長はナタリーよりも拳二つ分ほど低い程度だろうか。

 地味な色のロングスカートに白いエプロンというぱっと見メイド見習いと言った様な出で立ちだった。


 と、チェルが唐突にものすごい勢いで立ち上がり、椅子が凄い音をたてて倒れるのにすら目もくれずにその少女を唖然とした表情で見つめた。


「ヒッ」

「ど、どうしたチェル、ほら、女の子怖がってるからとりあえず座れ、落ち着け」

「ああ、またチェルの悪い癖が……」

「悪い癖って?」


 周りが騒然とする中、チェルの呟いた声がやけにはっきりと皆の耳に届いた。



「……美しい」

他人を散々ロリコン扱いしていたチェルシー本人がマジもんのロリコン……。


次回

「私はロリコンじゃない、フェミニストです」


「……レズ?」

「ちがあああぁぁぁぁぁぁう!!!!」

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