1章 少女と青年
別にロリコンの話ではないです。
1章 少女と青年
外は、雷鳴を伴う激しい豪雨だった。
一人の青年が、窓にぶつかるように降る雨を眺めていた。彼の名は、ジン。短い黒髪は上に向かって伸びている。彼は、赤みがかかった茶色の瞳を窓に向けていた。
ふと、扉を打つ音が聞こえた。どうせ雨だろう、ここはほとんど人通りがないのだから。しかし、扉をたたく音とともに、女性の声が聞こえた。どうやら来客のようである。ジンは、戸を開けて、客人を招き入れた。
客は、15歳ほどの少女と、20代半ばの青年の二人だった。両者とも雨合羽のようなものをはおっている。二人は、恥ずかしそうに入ってきた。
「すまない。急に押しかけてしまって。」
少女は、申し訳なさそうに言った。
「別に、たいしたことじゃない。俺も退屈だったしな。」
そう言いながら、俺はタオルを二人に渡した。そして、二人に座るよう勧めて、客をもてなす準備をした。とは言っても、温かいミルクをだすくらいしかできないのだが。
少女は、腰まである長い茶髪を後ろで束ねている。彼女は、エメラルドグリーンの瞳をこちらに向け、ほほえんだ。
「おれの名はユウカ。で、こっちがウェール。ちょっと訳あってウェールは口が聞けないけど、堪忍してな。」
男のような声で、少女、ユウカは言った。漆黒のマントで体を覆っている。ウェールと呼ばれた青年は、きれいな青い瞳と、肩まで伸びた長いブロンドの髪をしていた。彼は朱色の服を着ていた。
「そうか、俺はジン。まあ、ゆっくりしてけ。」
そうはいったが、二人の名に、聞き覚えがあった。しかし、どこで聞いたのか分からない。俺の思い過ごしだろう。
「しかし、なんだってこんな、なんにも無いところに?」
俺は、二人に尋ねた。
「ははっ。ここは通過点だよ。1年も経つと街が気になるからな。」
「1年間捕まってでもいたのか?」
「いや、人目を避けるために天璃山にこもってただけさ。」
ユウカは愉快だというように笑いながら答えた。天璃山というのは、ここより南にある、大きくて険しく、人がほとんど入らない山だと聞いたことがある。
「なんで山にこもってたんだ?」
「いや、おれたち、ちょっと城でごたごたを起こしてしまってな。」
「城ってバイザー城か?あそこはまるごと石になっちまってるぞ?」
バイザー城は、このバイザー国を治めていたが、何者かによって魔法で城全体を石にされたと言われている。
「いや、だからその・・・」
ユウカは言いだしにくそうにしていた。
「・・・なんだよ。」
俺は続きを促した。だが、予想もできないとんでもない答えが返ってきた。
「実はな、城を石にしたの、おれなんだよなっ。はははっ」
ユウカは高らかに笑ったが、傍らのウェールはかなり嫌そうな表情をした。当然だ。笑い事ではない。
そこで気がついた。事件があった日、城から一人の青年が少女を抱えて出てきたという。人々は青年に話を聞いたが、青年は一言もしゃべらず、結局分かったのはウェールとユウカという名前と、収容所の教官とその担当になっていた子供という関係だけだったという。
「ウェールはまだその時の事を気にしているみたいだけど、おれはスカッとした気分だったぜ。」
ユウカは暗い雰囲気をふりとばそうとして言ったのだろうが、とてもじゃないが良く聞こえない。多くの人を石にしておいて、今もまだ石化が解けていないというのに、笑えるのはおかしいだろう。すると、ウェールは悲しそうな表情でユウカを見つめた。ユウカもその視線に気づき、見つめ返した。ふた呼吸ほどの間のあと、ユウカが口を開く。
「分かってるって。おまえが気にしているのがそれじゃないってことくらい。」
あれだけで気持ちが通じたというのも疑問だが、それよりも、ほかに何かあったのだろうか。
「じゃあ、何を気にしてるんだ?」
俺の問いに、ユウカは、
「話せば長くなるけど、簡単に言えば心を操られて利用された事だな。」
「え?利用・・された?だれが?なんのために?」
「そりゃ、王が、おれを使う為にだろうな。」
ユウカの声が落ちる。俺は訳がわからなくなった。陛下が人を使う為に別の人を操った?なぜそんなまわりくどいことを?そもそもこの少女をなぜ使おうとした?様々な疑問が俺の中で渦巻く。そんな俺に気づいたのか、ユウカが言葉を付け足した。
「おれは笛の音色に魔力を宿せる。多分奴らはそれを使いたかったんだろうな。」
魔法使いのなかには、物に魔力を宿し、特別な能力を発揮する者もいる。ユウカも、笛を吹くことで、何か特殊な力をだせるのだろう。
「何ができるんだ?」
「音色を聞いたすべての者に魔法をかける。眠らせたり、惑わせたり、変身させたりな。」 魔法は、範囲を広げると効果が落ちやすい。大きな力がいるうえ、力が分散する。そのため、一般的に狭い範囲に使う。しかしユウカは、笛の音色に魔力を乗せ、比較的広範囲に効果を出せるのだという。
雨はやんだが、空は暗いままだった。
ウェールはユウカの頭を撫でたあと、腕を指揮者のように振った。
「・・・そうだな。こいつにも一曲披露するか。」
ユウカはそう言うと、木製の笛を取り出した。ウェールも笛を出し、合奏を始めた。
小さな小屋に、心地よいメロディーが響く。心のすみずみまで響く音を聞きながら、俺は会話を整理した。このことが本当なら、この美しい音色を利用する者がいるということだ。そんなことはさせたくない。俺は、そう強く思った。
何かいろいろぐだぐだですいません。文章は多分まとまりがないです・・・




