第8話、
「結論から言うわ。コユキは助からない」
沈黙の4人。
「コユキの病気は心臓病なんだけど、遺伝子の病気なのね、いい、遺伝子を治療する機械がないわ」
「どれくらい持つ?」
「私は薬師が専門、だけど医学とか、他の知識も修めてるの、コユキが生きてるのは奇跡、よくこの歳まで生きてるのは奇跡」
沈黙したシン。
「コユキはいつ死んでもおかしくない、遺伝子の病気は現代では治らないわ」
「コユキは18歳の364日は持つ、持たせる」
「ええ、コユキがそういうのなら、神様が許すなら、ええ」
ダンジョン探索者の施設にバイクが飛び込む、中央に停車、懐から葉巻。
「分煙の時代よ、受動喫煙はマナー違反よ?」
分煙のマークを指差すシャルドネ、道化衣装男性は葉巻を戻し、キャンディーを食べた。
「世知辛い話、警察に追われてまして、娯楽を売ったら、逮捕だと、嘆かわしい」
コユキはこいつだと銃を向ける。
「私に銃は通じません、私のバイクもおなじです」
「ふざけやがって!」
コユキの銃がバイクのタイヤにフルオート。
「コユキ、止めろ」
レンが止める。
「なんで、弾は当たった」
「所謂の完璧主義者でして、漫才師の相方がいないピン芸人が生業でして、ソロの道化師をしておりますフールと申しますダンジョン探索者の皆さん」
構える全員、フールはキャンディーを舐める。
「プリン味は外れですね、チーズ味が正解、フルーツ系のキャンディーが原始的に美味しい」
「なんだてめえ?」
「フールと申します」
「フール、世界中にゲームを売る犯人だな?」
「ゲーム、ああ、娯楽の呼び名ですか、一流の娯楽と自負してます。私の組織が大繁盛で、部下達が大忙しという、素晴らしい娯楽でして」
「フールのバイクに銃は効かん、魔法斉射!」
ダンジョン探索者の魔法使い達が魔法斉射、だがフールのバイクは柔らかく戻る。
「え、魔法が」
「所謂の完璧主義者でして、ピン芸人の極みと自負しています」
シンが忍者刀を引き抜き、フールに投てき、フールを貫通し、壁に突き刺さる。
「え、何それ」
「なんだこいつ」
「化物」
「落ち着いて、フールは正体不明、攻撃は控えて、防御に徹して、回避を勧めるわ」
「銃、刀剣、魔法、他の手は?」
「格闘?」
「通じると思うか?」
警察も来る、銃がずらりと並ぶ。
「落ち着いて、フールに銃は通じないわ、正体不明の化物よ、あるいは魔法使い」
フールはバイクを旋回、他は退く。
「逃がすな!」
一切の攻撃が通じないフール、化物と呼ぶのも無理はない。
「ダンジョンのモンスターでも攻撃は効くぜ」
「あれ、多分、特殊な単体型ユニークモンスターだ、物理、魔法透過を持つ」
「じゃあ、あれバイクもか?」
「恐らく」
「キャンディーは?」
「恐らく」
「葉巻は?」
「恐らく」
「なんじゃそりゃ」
店内は交戦の後。
「負傷者はいるの?」
「いない、ピン芸人って柄か?」
「ピン芸人とか、道化師とか、勘弁してよ」
「あれ何?」
「正体不明よ、私も初めて遭遇したわ、転生輪廻のサキュバス神官の初よ。あり得ない確率よ、交戦は避けて」
「警察から、愉快犯のフールを捕らえた側に賞金10億円を払います」
一攫千金のダンジョン探索者達は対フールを考える。
「コユキ、怪我は?」
「ないけど、あれバイクもキャンディーも、葉巻も、フールもユニークモンスター?」
「そうなる」
「シャルドネのマナー違反よってつうじるんだ、何あれ、ピン芸人って凶悪犯?」
現場は大混乱、銃、刀剣、魔法が通じない、日本の警視庁も行方を追う凶悪犯。
「うん。力を使うしかない」
「待ちなさいコユキ、焦ってはダメ、切り札は取っておくものよ」
「シャルドネ、でも」
「フールが単独行動とは思わないわ」
「凄い厄介な犯罪者」
「フールは知能犯よ、愉快犯も兼ねた凶悪犯、フールは組織は調べないと」
「厄日だ。とんだ化物が来た」
ダンジョン探索者達は対フールを考える、話し合う、ダンジョン探索者本部も懸賞金をかける。
世界中の政府が注目したフール、一切の攻撃が通じない化物、正体不明の魔法使いと推測され、転生輪廻の大賢者シャルドネがわからないと呼ぶ、一切は不明。
「キャンディーはどこから買う?」
「フールの捨てた包み」
警察や、ダンジョン探索者が触る包み、だが掴めない、後から来た鑑識が困惑。
「え、なんで?」
「まるで立体画像ね」
「立体画像に体重はない」
「そうね、私も思うけど、立体画像よね」
「まるで幽霊みたい」
「なるほど、幽霊みたいね、確かに」
世界中に被害者がでるフールの提供する娯楽。
「あれって捕まるの?」
「幽霊、立体画像は捕まらないわ、下手したら無罪放免よ」
知能犯、愉快犯、凶悪犯、ピン芸人、道化師、娯楽、ゲーム、様々もあれ何とわからない様々。