第2話、集う
今日一日、高校は退学した一日、ダンジョン探索者になった。
「17歳でダンジョン探索者か、難儀な奴だな」
「シン、レン、よろしくお願いいたします」
「ああ」
「レン、この娘馬鹿か?」
「シン、仲間参上だ。喜べ」
「シン、仲間参上です。よろしくお願いいたします」
「JKを辞めて、ダンジョン探索者とか、アホじゃないか、まあアホしかいないんだが、マシにならないのは、何の厄日だ」
忍者刀と拳銃と暗黒剣の戦士、狙撃手の戦士、双子の背を追った元JKの見習い。
「難儀な話ね」
風の一党教団海軍サキュバス神官団一族所属中佐シャルドネ・デ・サキュバス伯爵。
「シン、レンの背を追った元女子高生なんて、一つの自殺観望ね、まあ不幸とは言わないけど、シンの薬の時間よ」
「ああ」
薬師のシャルドネはシンの治療を担当し、ダンジョン探索者の治療もこなし、闇医者だが、腕は確かと評判。
「難儀な話ね。転職したら早いのに」
「難儀な性格なんだ」
「難儀な話ね。戦えば命を失う、使えば命を失う、戦わないと一日を得れない、戦わないと生を感じれない、戦わないといかない性が来る、どっちにしろ救えないわ」
「救いは求めてない」
「求めなさい、シンの命は足りないのよ、若い身空の不幸なんて、旧世紀の昼ドラよ」
「説教臭い人魔だな」
「人並みに生きれば早いのに、馬鹿な話ね」
「馬鹿しかいないんだ」
「旧世紀の朝ドラがマシよ、闇医者の愚痴だけど」
「それは失礼した。我々は馬鹿なんだ、アホの集まりに過ぎない、儲けなんて明日の予算でしかないし、闇医者の愚痴より、御両親の愚痴がでそうだがな」
「わかってるなら改めなさい」
「俺は馬鹿なんだ、アホしかいないダンジョン探索者の一人でしかない、神様も救えない」
「救いようがない勇者ね、もっと命を大事にするから救いようもあるけど」
「暗黒剣の関係で」
「シン」
「わかった。説教臭い仲間参上だな」
「貴女には丁度いいの、適材適所って神様に感謝しなさい」
「うざい」
「言葉は正しく使いなさい、学生じゃないだから」
「はいはい。わかりました」
説教臭い人魔のサキュバス、この形に3人になった一行はパーティー登録。
受付嬢が応対。
「暗黒剣のシン、狙撃手のレン、見習いのコユキ、なんでこんな職業に現役が来るのかしら、シン、暗黒剣は禁止よ?」
「わかってる、しつこいな」
「何言ってんの、沢山の連中が生きたかった証じゃない、貴方は暗黒剣を使えば、生命力を失うのよ、最後に待つのは死よ、もっと命を大切しなさい」
倫理観は現場がまとも、働く全員は酒も煙草も薬もしない、安い喧嘩もしない、最低限の矜持がある。
「なんで俺の周りはこう説教臭いだ」
「貴女が命を大事にしないからでしょう」
暗黒剣は魔剣、命を失う代わりに力を与える、いかなる敵も命を対価に倒す、勇者の代わりに短い命を定める、ダンジョン探索者の宿命は最後はこうなる死体、勇ましい代わりに力及ばずは常に残酷な現実の死体。
愚かな現実、愚かな宿命、愚かな勇者、愚かな戦士、愚かな絆、愚かな戦い、愚かな生き方、愚かな命、愚かな死、愚かな答え、代わりに全てを許した。短い命の代わりに終わらない青春を与えた。
「まあ、ダンジョン探索者の宿命だけど」
「真面目な奴、なんで真面目やら」
「修羅の宿命だからよ、ダンジョン探索者って終わらない迷宮の始まりと終わりだからよ」
「はいはい。わかりました」
「よろしい」
この形、パーティー登録は済む、拳銃と忍者刀をつけたシン、スナイパーライフルのレン、M4カービンと銃剣のコユキ。
「一階の初回からコボルトの群れかよ、ついてるね」
「シンは死なせない」
M4カービンをフルオート、一体に数発、リズミカルに撃つ、コボルトの群れを殲滅した。
「甘い」
シンはトドメをさす。
「妹は用心深い、先に進もう」
3人は進む。
「暗黒剣の宿命か、まるで呪いみたいだ」
弱った探索者を狙うモンスターを駆逐する毎回。
「ちょっと待ってくれ!」
3人は止まる、追ってきたMP5K2丁、デザートイーグル2丁、手榴弾を取り付け、防護を着けた青年が来た。
「追い付いた、あんたら暗黒剣のシンと双子の兄のレン、で見習いのコユキだろ、俺はダンジョン探索者のパーティーが解散した余り者だ」
「でかい拾い者だ。戦えるな?」
「ああ。よろしく頼む」
「ちょっと待って、武尊、走りすぎ、あいて!」
「姉の三花だ。俺は武尊」
「シン、兄のレン、仲間のコユキ、よろしく」
5人になったパーティー。
「弱った探索者を襲う癖のコボルトだな」
「OK」
MP5K2丁にフルオート、三花はM4カービンにフルオート、コボルトが踊る。
「OK」
「グッジョブ」
姉弟はハイタッチ、コユキは明るいと歓迎した。
「家のシンはあれだし、コユキは見習いだし、武尊、三花が主力かな」
「コユキは十分な即戦力だ。問題はない」
レンが珍しげに微笑む、コユキは認められ、背中を押され、シンにグッジョブをした。
「ゆくぞ」
パーティーのリーダーはシン、この先に進む5人。
「100万より、味方だな」
「はい」
「ああ。そうだな」
歩く先のコボルトの群れ、シンの忍者刀と拳銃に無双、一発にヘッドショット、一回の突き技に串刺し、引き抜きと後方に宙返りする着地、前衛の動きに他は圧倒された。
「ナイスファイトシン」
「ああ。いくか」
この先に一人のコボルト。
「その体、暗黒剣に蝕まれた体、他者が生命力を出すなら、特別な暗黒剣を打とう」
このレンが珍しげに微笑む。
「妹の暗黒剣に兄でいいか?」
「構わん、良い兄を持ったな」
この暗黒剣を打つコボルト。
「暗黒剣だ。使え」
受け取るシン。
コボルトは立ち去る。
駆逐と帰還した昼休み、飯は5人で食べる事になった。
「暗黒剣を持つ暗黒剣のシン、なるほどね、あいつか」
一日の昼休み位の話は過ぎる。