最終回「希望は星の光を超えて」
「———私は負けない! 生きたいと、生きてほしいと願う人々がいる限り!!」
激戦の荒野、あらゆる物が焦土と化した不毛地帯に2つの影が立っている。黄金に輝く鎧を身に纏い少女は漆黒の鎧に身を包む異形の怪物と相対していた。
二人の立っている間には幾多の戦いの傷跡が残されている。
「ぐ、ぐう⋯⋯何故だ! 何故我の力が弾かれる! たった小娘一人にぃ!!」
怪物から無数の斬撃が放たれた。大地を抉り、空気を引き裂く致命が殺到する。呼応して少女は拳を輝かせた。光を携えた拳を振るい斬撃を弾き落とす。弾かれたそれは地面を深々と引き裂いた。
「貴方にはわからない! 世界の何もかもを滅ぼそうとしている独りぼっちの貴方には!」
「ワケの分からんことをぬかすなぁ!!!」
斬撃はより密度と速度をまして空間を歪ませる。そう見える程にエネルギー高めた破壊の奔流が怪物の手から放たれた。それが通った後には何も残らない。一切合財を塵に帰す程の天文学的な死が近づいてくる。
だが少女の瞳は煌々と燃えていた。既に息も絶え絶えに体のあらゆる場所が悲鳴を上げている。力の源たるオーラ力も底をつく寸前であった筈なのだが、なぜだか少女は体中に力が漲っているように感じられた。ここに来るまでに出会った人々との思い出が少女の闘志を何度でも蘇らせる。
眼前に死が迫るその時、少女の拳からは眩い輝きが溢れ出した。
「私は! 一人じゃない! これまでに散っていった人々の想い。今日まで生きてきた人々の願い。これから生まれてくる命の煌めき。私たち人類は希望と共に立っている!」
少女の手から放たれる極光は輝きを増すたびに、斬撃の嵐は光に押し戻された。
「これが人の、私たちの力だぁぁぁ!!!!!!」
「ば、馬鹿な。この我が負ける⋯⋯滅びる⋯⋯使命すら果たせずに⋯⋯!」
解放された光は瞬く間に広がり少女と怪物を呑み込んだ。
12月31日 人類は奇跡を起こした。一人の少女を犠牲に
———決着!