2
次に意識を取り戻すと、そこはどう見ても病院だった。辺り一面白い壁、ベッド脇には何やら仰々しい機械が置いてあり、そこからコードやホースが俺に繋がっていた。
「なんじゃこれ?」
鬱陶しいそれらを身体から引きちぎって、よっこらせと起き上がる。すると機械から警告音?が鳴ったかと思うと、複数の人の走る音が聞こえる。乱暴にドアが開けられ、三人のナースさんが飛び込んできた。
「えっと、、、おはようございます?」
とりあえずは挨拶をしておかねばならないので、朝か昼かはわかんないけど、、、
「嘘でしょ、、、」
一人がそう呟くと、もう一人が慌てて走って出て行った
「先生ー先生ー大変ですぅぅぅ!!!!」
直ぐに女医さんが来て色々診られたが、俺は全く違和感とか痛みとか無いし、あらゆる精密検査も異常無しと結果が出た。
「君がここに運ばれてきて、もう10年意識不明だったんだよ」
「はぁ?」
なんの事かわからなかったが、あの神と名乗る幼女の事を思い出した。確か時間軸がどうとか言ってたな、、、
それから色々10年間の空白を聞かされ、とりあえずは一週間検査って事で引き続き入院したままになった。要するに、この10年で、正体不明のウイルスが世界中に蔓延し、何故か男性だけが絶滅状態になった。国をあげて研究しているが、解決の目処は立っておらず、日本だけでも俺を含めて 2名しか居らず、しかもそのうち一人は、齢90のおじいちゃんで生命維持装置に繋がれてる状態。全世界では百名ほど、そのうち繁殖行為が可能なのは10名にも満たない。しかも一回射精したら、 2週間は極度の倦怠感に襲われるらしい。
「マイケルお前は大丈夫だよな?」
俺は息子を庇うように優しく手で覆うと、言葉をかけた。当然返事はない。
「あ、康二様は大丈夫です。」
「え?」
「意識がない間に検査いたしましたが、SSSを超えるSSSSです。」
「何それ?」
「無限に性交できます。」
「無限って、、、」
三人のナースさんと女医さんが心なしか赤面しているが、ちょっと意味がわからない。
「10年も寝ていらしたのですから、知らないのは当然ですよね。言ったでしょ。全て検査しております。それとこの国は、今や近親婚、重婚、つまりハーレムを形成するのも合法です。」
「おおぅ、、、」
不覚にも反応してしまったが、今はそうじゃない気がする。そうだ家族はどうなったんだろう。
「康二様のお父様は、 2年前に例のウイルスでお亡くなりになりました。」
四人は揃って頭を下げる。
「しかしお母様の幸子様と妹様の今日子様はお元気でございます。」
そっか親父も謎のウイルスには勝てなかったか、、、ってか妹?
「妹って???」
「康二様がこの病院に来られてから 4年後、妹様がお産まれになりました。ちなみ担当医は私です。」
ネームプレートには『木田愛子』とあった。
「そうですか愛子先生ありがとうございます」
俺は頭を下げてお礼を言った。
「はうぅぅ、、、いきなりの名前呼び、、、」
愛子先生は鼻血を流しながら倒れた。
なんやねんこれ