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甘くて苦くて、やっぱり甘い  作者: 佐藤sugar
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8話 会えない

 その日は、何の音沙汰もなく一日が終わった。渚が学校に行く直前に渡したため食べる暇がなかったのは分かっている。私も今すぐ仲直りがしたいと思うほど傲慢ではない。

 だが、次の日もそのまた次の日も彼女からの接触がなかった。自分から渚に話しかけようとするも、目をそらし、去っていく。押し付けるような渡し方が良くなかったのだろうか。それとも、やはり私が嫌われてしまったのか。


「でも、受けっとてはくれた……」


 もし私の事が本当に嫌いになっているのであれば、チョコレートは受け取ってはくれなかったはずだ。そう考えると完全に拒絶されているとは 思えない。この考えは自分にいいように解釈しているだけだろうか。


 一週間が経った。一週間前と何ら変わりはなく、ただ時間だけが過ぎていくだけだ。相変わらず渚は意図して私と会わないようにしており、登校時間も一日ごとにずらしている。そして、それが私の不安を一層掻き立てる。まだ、渚とは仲直りできていない。


 二週間が経った。未だ渚は私を避けて、話そうとしない。三年生の私たちは受験で忙しく、渚と会う時間もより少なくなってしまう。無理やり話そうとしても、「ごめん、今忙しいから」や「ちょっと友達に呼ばれているから」しか言わず、露骨に私を避けているのが分かる。私を無視しないだけまだ良いほうだと考えなければ、恐怖でどうにかなってしまいそうだ。


 三週間が経った。高校の入学試験による指定休校日や三連休が重なったため渚と会うことも叶わない日が続く。家に行っても彼女は受験勉強で忙しく、邪魔になってしまうはずだ。このままでは本当に話せずに卒業になったら、私はどうしたらいいんだろうか。


 遂に、一か月が経った。明日は卒業式、今日と明日が最後のチャンスだろう。今日は卒業式前のレクリエーションがある。午後まで授業があるわけでもなく、午前中には学校が終わるのだ。渚の下校中に話しかけるしかないだろう。しかし、今まで逃げられてばかりで、捕まえることができるかと問われれば、結構難しいだろう。


「今日こそは!」


 通学カバンを持ち、勢いよく玄関を開け、直後に私は硬直する。そこには──────渚がいた。


「な、渚……」

「おはよう紬」

もし少しでも面白いと思っていただけたら幸いです。評価してくれると嬉しいです!


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