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王との謁見

 王宮があるのはバビロン市の北端。

 整備中の街道と、建設中の新王宮を横目に、宮殿へと入る。


 すると。

 「王様、役立ちそうな人材を連れて参りました」

 ニトクリスが紹介してくれた。

 「私がバビロン王・ナボポラッサルだ」

 王様といえば奥まった所でふんぞり返るイメージだが、全然違った。

 辞書によると、バビロニアの主流民族はカルデア人らしい。その一方で王様はどうやらウルク出身の豪族で、元々はアッシリア帝国が派遣した属州総督だったのだとか。どうやらカルデア人の独立熱に加え、王様の野望が顕れたのがこの新バビロニア王国らしい。


 * * *


 「かつて大繁栄したというメルッハの都市をお主は知っているそうじゃな?」

 メルッハ(インダス)というよりは、更に東(にほん)なのだが、それを言うと面倒そうなのでやめておこう。

 「知っての通り、バビロニアの都市は破壊し尽された。それ故、見本とする都市が無いのじゃ。メルッハの都市はカルデアの伝統を継いでいると聞いておる」

 「そこで、貴殿にこのバビロンの再建を願いたい」

 思ってもいない一言。

 しかし実際のメルッハも残念ながら、河川の流路変化による移転に加え、北方からのアーリヤ人による破壊と同化によって既に滅んでしまっている。まあ、この王は伝統というよりも大都市を目指しているのだから、伝統だけならば他にも手本になる都市は残っている。


 「……バビロンを、大都市にすれば宜しいのですか?」

 「そうじゃ」

 こうして全く伝統も何も知らない私は、『バビロン世界都市化計画』の主要メンバーになってしまった。


 「了承して貰えて嬉しい」

 王様がこう言うので、私とニトクリスが退出しようとした所で。

 「呼び止めて悪いが、更にもう1つ願いがある」

 「何でしょう?」

 「王太子補佐になってはくれまいか、勿論、報酬は(はず)む予定だ」


 勿論快諾して、王太子秘書のニトクリスとともに私は王太子に面会することとした。


 王国の中枢部にいれば、美子(みこ)の手掛かりも掴みやすいだろう。どの時代にいるかも分からない中で、西洋世界の母ともいうべきバビロニアにいれば、後々捜しやすいだろう。


 これが、後のバビロニア王・ネブガドネザル2世と出会うまでの顛末である。

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