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「……そうですよね。私しってます。本来なら貴方はやもり竜(サラマンダー)に敗れて死ぬはずでした。《死に戻り》スキルにより、私はその光景を何度も見てきたんです……。なのに、貴方は生きている……。それが信じられません。きっと今の貴方には運命さえも変える力があるのでしょうね……」



 そうか……。

 俺はあのやもり竜(サラマンダー)に敗れて死ぬはずだったのか……。

 そしてきっとエドワードも、この農民の反乱で捕まり処刑される。

 その未来を変える為に、マリアはひとりで頑張ってきたんだ……。


 でも大丈夫。

 もうひとりで苦しむことはない。

 俺がその悲しい運命を変えてみせる!



 そしてマリアはヴェルナスとエリーの縄をほどいた。



「あなた達がこの聖獣に挑んで、もし勝てたら領主様の所に案内します。しかしあなた達が負けたら、そのときは私の要求をのんでもらいます。私の要求は、このカーバンクルをあなた達のリーダーの所に連れて行くことです……」



 それを聞いたヴェルナスが思わず吹き出した。当然だ。俺のような小動物に負けるわけないと思っているのだろう。



「負けねえ。俺がこんな犬畜生に負けるわけがねえ!」


「ヴェルナスが戦うなら……私も!」



 うん。

 ふたりとも根性があるな。

 いいぞ。その意気だ。


 悪いけど、時間がないのでこちらも本気でいく。


 ヴェルナスは短剣ダガーを抜いて猪突猛進。

 エリーは不器用ながらショートボウを引いて狙いを定めてきた。

 しかしこれまでの観察から、彼女の弓の腕前は半人前だと分かる。


 まったく……。

 それでよく地下迷宮ダンジョンを抜けてこられたなぁ。

 俺とマリアが厄介なやもり竜(サラマンダー)を倒してしまったせいだろう。


 おそらくあれが地下迷宮ダンジョンの侵入者を追い出す番犬の役割をしていたのだろう。

 奴がいなくなったせいで、この子供たちが地下迷宮ダンジョンを抜けられるようになったんだ。


 裏を返せば俺たちなら十分にダンジョンを攻略できるということだ。


 そして接近戦が得意なヴェルナスだが、こいつは猪と同じだ。

 突進するしか能がない。

 彼が1歩踏みだす間に、俺は10メートルを駆け抜ける。


 ふたりを翻弄して、ちょうど良い射程距離にはいった。

 この角度なら、じかに彼らの目に《照明魔法》を浴びせられるぞ……!


 そして念じた。

 すぐに額の石から《照明魔法》が発動した。


 それで決着がついた。

 彼らは眩しさのあまり《盲目状態》になって転げまわっている。

 こうなったらどうすることもできないはず。

 もし彼らの目が治ったら、また《照明魔法》を浴びせればいい。

 それでエンドレス盲目状態というわけだ。


 やもり竜(サラマンダー)を倒したぶん俺のレベルは上がっている。

 だから《照明魔法》もこれまでにないほど強烈だ。


 そして彼らの闘志をくじいた。

 つまり俺の勝ちだ。



「ちきしょおおお! 俺がこんなふてぶてしい犬に負けたぁぁぁ……!」



 さて約束だ。

 俺をレオンハルトの所へ連れて行ってもらおう。


 背後からマリアが俺のことを抱き寄せる。

 そして頬ずりをされた。



「さすが勇敢で賢いカーバンクルですね。やはりフューリーちゃんは最強です。きっとすべてを終わらせて、無事に帰ってくると信じています。なぜなら貴方はあの伝説の《守護聖獣》様の生まれ変わりなんですから……」



 もちろん。

 そして今度はエリーに抱っこされながら、俺たちはダンジョンの中に潜っていった。

 ヴェルナスもさんざん悔しそうな顔をして、しぶしぶついてきた。


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