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 ヴィオニック禁呪図書館。

 街を見おろす丘の上、クロスカイン邸の隣にたつ荘厳な建物。

 この島に古くからある図書館で、古今東西の禁呪書が眠っているらしい。

 メイドのマリアがそういってた。


 おそらく領主エドワードは、ここで服従魔法の知識を得たのだろう。

 それだけじゃない。

 この地下には迷宮ダンジョンが広がっている……。

 中には魔物が徘徊している。ゆえに探索は危険をともなう。

 ここに来てすぐに、俺は地下迷宮ダンジョンの探索をした。

 聖獣カーバンクルとはいえ、なぜ領主は俺が自由にダンジョン探索するのを許したか?


 やはり《照明魔法》を使えるからだろう。

 迷宮の暗闇を照らすのに、これほど役に立つものはない。

 それ以外にも、アンデッドモンスターを怯ませる効果がある。

 いまのところ、これを使えるのはカーバンクルの俺だけだ。

 だから、俺にレベルアップさせ、さらに《照明魔法》を鍛えるために、ダンジョンの探索を許したんだ。


 そんな俺でも大体の予想がつく。

 エドワードが《照明魔法》に固執する理由。

 地下迷宮ダンジョンの最下層には、なにかとんでもないものが眠っている。

エドワードはそれを求めている……。



 図書館の正門は鍵が開いていた。

 押し開けると、埃くさいニオイが鼻をついた。

 ロビーを抜け、歩きながら陳列する書物を眺めた。

 何語かは知らないが、画数が多くて古めかしい感じの文字だ。

 むろん、この世界の文字なんて読めない。

 だが屋敷の物資に書かれていた文字よりも、ここにある書物の文字は難解な印象を受ける。

 この島の古代文字か? それとも外国語の文字か?

 この島以外にも大陸があるとしたら、やはりこれは他国の古代語だろうか。

 まったく驚くなぁ。


 こうしてみると。

 俺はまだこの世界のことをよく知らないんだよな。

 島のなかの図書館で暮らしているようだが……。

 だから島の外の世界を知らない。

 俺が知っているのは、この島のわずか少しの部分だけだ。

 ここに来て、もうだいぶ時間が経ったのに……見るもの全てが新鮮で驚きの連続だ。


 この異世界はなんて広いんだ!

 いつか世界旅行をして、もっとたくさんのことを見て学びたいな。



 さてと。

 本題に入ろう。

 この図書館の2階にいた人影を探す。

 そいつの歌声のせいで眠れないのだ。見つけて叱ってやる。

 そのつもりだったが、なんかもうどうでもよくなってきた。

 それよりも、掟に背いた禁忌タブーの探検というのは、このうえなくたのしい。


 本棚のジャングルを抜け、ロビーの片隅で2階に至る螺旋階段を見つけた。

 それを駆け上がろうとした瞬間に、アッと驚いた。


 その螺旋階段の上に何かいる!

 そいつは犬のように素早い動きで手すりにまたがると、スルスルと滑り降りてきた。

 床に着地すると、その勢いのまま俺に飛び掛かってきた。



 とっさに避けたが、そいつの爪が俺の頬を引っ掻いた。

 痛みに耐えて、そいつを視線で追う。

 次から次に本棚の上を跳び移り、そいつがまた俺に飛び掛かってきた。


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