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弱肉強食

処女作です。お手柔らかに。

月並みな子供であった私は、やはり思う事も月並みで、身近な大人が世の理であり、それこそが真理であると、確信していた。

やがて大人になるにつれ、それは間違いであり、いかに身近な大人が、"そう言ったものからかけ離れた弱者"であったのか…頭が狂いそうなほど、刻み込まれていった。

そんな私が、強者になる為に足掻くのは、生物が生きる為に息を吸い、水を飲み、物を食べる事のように、極々自然な事であった。

「社長、どうかクビだけは…どうかクビだけは…私には、家庭が…」

目の前の一匹の雄が、何かを言っているようだ。 恐らくくだらない事だろう。

そんな事よりも、早めにあの雌の所へ向かわねばなるまい。

私は、何かを唱え続けるソレを尻目に、コートを羽織り、車へと向かった。


-国道七号線 事故により渋滞-


最近、このような、事故による渋滞が頻発している。やはり、早めに出たのは正解だったようだ。

恐らくこの事故も、車の前半分だけが、まるで噛みちぎられたかのようになくなっていると言う、何とも野蛮な事故なのであろう。

この文明社会に居ながら、何故そういった、芸のない、獣のような真似を…

私は、それにしても長過ぎる渋滞に嫌気がさし、普段なら避けて通る、すれ違えないほど細い道へと、入っていった。

裏路地を少し進んだ所だろうか、四〜五十メートル前に、突っ立っている人影が見える。

「あんたが悪いんだ…あんたが…クビに…うわぁぁぁ」

どうやら、さっき何かを訴えかけていた雄のようだが、様子がおかしい。

顔が真っ二つに割れ、中から五メートル程度の、トカゲのような、イグアナのような、そんな風貌が覗いていた。


-はぁ…彼もか。

折角、我々を餌とする者もおらず、餌となる鉄も対価次第では豊富にあり、か弱き生物が文化的生活を行なっているこの星で、何を自暴自棄になる事があるのだろうか。

彼はきっと、どこの惑星に行っても、弱者なのであろうと、そう…思うのであった。

処女作でした。ありがとうございました。

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