【風邪と共に去りぬ】
「緊急指令、緊急指令!各員に伝達、異物が侵入した。関連組織は警戒を厳にし、非常事態に備えよ!」
「了解。聞いたな、お前ら!俺達の見せ場だ、全力全開で行くぞ!」
「返事はサーイエッサーだ、馬鹿野郎!口から物捻り出す前にサーを付けろと宿主も言っていただろうが!」
───数十分後。
「撃退完了、我らの勝利だ。勝鬨を上げろ、野郎共!」
「勝った・・・のか?」
「ああ、生きてるって素晴らしい・・・」
「敵将、討取ったり!」
「この結婚が終わったら俺、戦争するんだ・・・」
「雑兵ズに武将が混じってるぞ!何処の所属だ?!それとお前、死亡フラグがなんか違う」
直後一人の男性の体内より、無数の目には見えない程に極小の何かが、別の男性へと飛び去って行った。悪質な流行り病が蔓延しており、元の男も何かが飛び込んで行った男も、その病に冒されていたのだった。今、二人にその心配は無い。目に見えない何かにより、病原菌は完全に駆除されたのだから。そしてその何かはまた、別の感染者を探して旅立って行った。
三日後、その二人は遺体で発見される事となる。流行り病ではなく、射殺体として。高齢の男を拳銃のようなもので撃った後、肥満体型の男が自殺した、とみられる格好だった。軍曹と呼ばれ恐れられた彼は今、何処とも知れぬ土の下で眠っている。